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アフターストーリー
アフターストーリー第15話 災いの結末
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「皇太子妃!?何で皇太子妃がこんな馬車に乗ってるのよ!」
「知らないわよ。私だって、乗せられたんだから」
(“こんな馬車”って、あれも結構立派なやつよ。そりゃあ、皇家の馬車の足元にも及ばないけどさ)
「それに夫って、皇太子じゃない!!」
「そうねぇ。そうなるわねぇ」
「は!?何その余裕!予定変更よ!アンタを連れ帰って、癒やしの乙女との交換交渉に切り替えるわ!そういうことだから、アンタには何が何でも来てもらうからね!」
女の言葉にもエルメは、余裕の笑みを崩さない。
「いいけど、逃げられると思う?乙女を逃した今、私は貴女に大人しく従うつもりもないし・・・それに夫は、地の果てまで追いかけて来るわよ」
エルメの冷静な言葉に女は「うるさいっ!!」と叫ぶ。そして、どこに隠し持っていたのか剣を取り出し、剣先をエルメへ向けた。
「剣とナイフじゃ、どっちが有利なんだろうねぇ。賢いアンタなら分かるわね?分かったら、ナイフを寄越しなっ!」
威勢を取り戻した女がそう叫んだ瞬間、ここに居るはずのない声がエルメの耳に届き、女の背後に最愛の人の姿を見つける。
「おい!貴様。私の妻になんて口のきき方をしている。このまま首を刎ねてやろうか」
女の首にサーベルを当て、殺気を放っているのはマリオンだ。そんなマリオンに「遅い!!」と開口一番文句をぶつけるエルメ。マリオンは苦笑すると、鮮やかな動きで女を拘束すると、遅れてやってきた護衛に引き渡した。護衛に連れて行かれる女は、負け惜しみの捨て台詞を吐いた。
「ハッ!?こんなじゃじゃ馬が帝国皇太子妃だって!?笑えるねっ!?」
(じゃじゃ馬で悪かったわね。アンタに言われたくないわ・・・)
内心反論したエルメに対し、マリオンはエルメの肩を抱き、見せつけるかのように言う。
「じゃじゃ馬、最高じゃないか!?貴様に彼女の良さが分かるはずなかろう。私の前だけでは、酔わせるほどの色気を漂わせるのだからな」
そしてエルメの唇は、マリオンによって強引に塞がれる。女は肩越しに突然見せつけられたキスシーンに、顔を真っ赤にして連れて行かれた。
そしてこの場に残されたのは、人前で当てつけのようなキスをされ顔を真っ赤にしたエルメと、満足そうに肩を抱くマリオンだった。
「しかし遅いとは、また随分な出迎えだな」
「遅いものは遅いのよ!」
マリオンは、そう返すエルメをそっと抱き寄せる。身体に感じる温もりに安堵する彼女の瞳からは、自然と光るものが・・
「怖かっただろう?よく頑張ったな」
いつもより何倍も優しい声にエルメは、まだ握りしめていたナイフを落とすと、彼の胸に頭をコツンとつけた。
「来てくれるって、信じてた。だから怖くなかった」
この言葉に嘘偽りはなかったが、身体を離したマリオンに取られた手は、震えていた。
そこに「エルメ様!」とアリスの声が届く。目を真っ赤にしたアリスが走って来た。押し倒されそうな勢いで抱きついたアリスは「良かった・・ありがとうございました!」と何度も繰り返した。
「もう、分かったから・・」
エルメは、アリスの背中に回した手で彼女の背中をトントンと叩く。あやすような仕草に落ちつきを取り戻したアリスは、抱きしめる腕を離した。
「あっ!エルメ様、これお返しします」
そう言ってアリスが差し出したのは、さっきエルメが渡したナイフだ。エルメはそれと落としたナイフを拾い仕舞おうとしたが、マリオンに「待て」と止められた。
「まさか、まだナイフを持っていたのか!?しかも、二本も・・」
「あら、前にマリオンが言ったのよ。皇族の身を守るのは、最後は自分だって」
「だからって、二本も持つか!?」
「いいじゃない。結果、それで助かったんだもの。それに、占いにもあったでしょう?“立ち向かう刃”って」
「また調子のいいことを言いおって・・」
マリオンの呆れる表情を横目に「そういえば、あの子は?」とエルメが聞くと、「大丈夫です。お母さんも無事に保護されました」とアリスが笑顔で答えた。
「そう、良かったわ・・ところで・・」
親子の無事に安心したエルメがそう言って、アリスに自分をどこへ連れて行こうとしていたのか尋ねる。するとアリスは「あっ、それは・・」と口どもる。しかし、彼女の中で何かを決めたのか、真っ直ぐな眼差しをエルメとマリオンに向けると言った。
「あの、これから行きませんか?」
「知らないわよ。私だって、乗せられたんだから」
(“こんな馬車”って、あれも結構立派なやつよ。そりゃあ、皇家の馬車の足元にも及ばないけどさ)
「それに夫って、皇太子じゃない!!」
「そうねぇ。そうなるわねぇ」
「は!?何その余裕!予定変更よ!アンタを連れ帰って、癒やしの乙女との交換交渉に切り替えるわ!そういうことだから、アンタには何が何でも来てもらうからね!」
女の言葉にもエルメは、余裕の笑みを崩さない。
「いいけど、逃げられると思う?乙女を逃した今、私は貴女に大人しく従うつもりもないし・・・それに夫は、地の果てまで追いかけて来るわよ」
エルメの冷静な言葉に女は「うるさいっ!!」と叫ぶ。そして、どこに隠し持っていたのか剣を取り出し、剣先をエルメへ向けた。
「剣とナイフじゃ、どっちが有利なんだろうねぇ。賢いアンタなら分かるわね?分かったら、ナイフを寄越しなっ!」
威勢を取り戻した女がそう叫んだ瞬間、ここに居るはずのない声がエルメの耳に届き、女の背後に最愛の人の姿を見つける。
「おい!貴様。私の妻になんて口のきき方をしている。このまま首を刎ねてやろうか」
女の首にサーベルを当て、殺気を放っているのはマリオンだ。そんなマリオンに「遅い!!」と開口一番文句をぶつけるエルメ。マリオンは苦笑すると、鮮やかな動きで女を拘束すると、遅れてやってきた護衛に引き渡した。護衛に連れて行かれる女は、負け惜しみの捨て台詞を吐いた。
「ハッ!?こんなじゃじゃ馬が帝国皇太子妃だって!?笑えるねっ!?」
(じゃじゃ馬で悪かったわね。アンタに言われたくないわ・・・)
内心反論したエルメに対し、マリオンはエルメの肩を抱き、見せつけるかのように言う。
「じゃじゃ馬、最高じゃないか!?貴様に彼女の良さが分かるはずなかろう。私の前だけでは、酔わせるほどの色気を漂わせるのだからな」
そしてエルメの唇は、マリオンによって強引に塞がれる。女は肩越しに突然見せつけられたキスシーンに、顔を真っ赤にして連れて行かれた。
そしてこの場に残されたのは、人前で当てつけのようなキスをされ顔を真っ赤にしたエルメと、満足そうに肩を抱くマリオンだった。
「しかし遅いとは、また随分な出迎えだな」
「遅いものは遅いのよ!」
マリオンは、そう返すエルメをそっと抱き寄せる。身体に感じる温もりに安堵する彼女の瞳からは、自然と光るものが・・
「怖かっただろう?よく頑張ったな」
いつもより何倍も優しい声にエルメは、まだ握りしめていたナイフを落とすと、彼の胸に頭をコツンとつけた。
「来てくれるって、信じてた。だから怖くなかった」
この言葉に嘘偽りはなかったが、身体を離したマリオンに取られた手は、震えていた。
そこに「エルメ様!」とアリスの声が届く。目を真っ赤にしたアリスが走って来た。押し倒されそうな勢いで抱きついたアリスは「良かった・・ありがとうございました!」と何度も繰り返した。
「もう、分かったから・・」
エルメは、アリスの背中に回した手で彼女の背中をトントンと叩く。あやすような仕草に落ちつきを取り戻したアリスは、抱きしめる腕を離した。
「あっ!エルメ様、これお返しします」
そう言ってアリスが差し出したのは、さっきエルメが渡したナイフだ。エルメはそれと落としたナイフを拾い仕舞おうとしたが、マリオンに「待て」と止められた。
「まさか、まだナイフを持っていたのか!?しかも、二本も・・」
「あら、前にマリオンが言ったのよ。皇族の身を守るのは、最後は自分だって」
「だからって、二本も持つか!?」
「いいじゃない。結果、それで助かったんだもの。それに、占いにもあったでしょう?“立ち向かう刃”って」
「また調子のいいことを言いおって・・」
マリオンの呆れる表情を横目に「そういえば、あの子は?」とエルメが聞くと、「大丈夫です。お母さんも無事に保護されました」とアリスが笑顔で答えた。
「そう、良かったわ・・ところで・・」
親子の無事に安心したエルメがそう言って、アリスに自分をどこへ連れて行こうとしていたのか尋ねる。するとアリスは「あっ、それは・・」と口どもる。しかし、彼女の中で何かを決めたのか、真っ直ぐな眼差しをエルメとマリオンに向けると言った。
「あの、これから行きませんか?」
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