【完結】【R18】【BL】ミスティの記憶と悲しみの竜

柚槙ゆみ

文字の大きさ
31 / 48
第三章

触れあい(R18)

しおりを挟む
「本当に、いいんだな?」

 ミスティは小さく頷いた。ルトの手がミスティの頭の横につかれる。真上から見下され、黒い瞳で見つめられる。ミスティはそっと目を閉じた。少しして唇にやわらかい感触が触れる。ミスティの心臓は早鐘を打っていた。これは恐怖からではない。照れくささと緊張とよろこびからだ。

「んっ……」

 唇を開かされ、ルトの舌が口腔へと入ってくる。この感覚をなんとなく知っていた。以前にもこうして同じようなキスをしたのだろうか。
 ルトに歯列をなぞられると、背中にゾクゾクした感覚が這い上がってくる。二人の唾液は混じり合い、ぴちゃぴちゃと耳慣れない音がする。ルトとのキスは気持ちがよかった。あんなに緊張して怖いと思っていたのに、彼の行為はやさしく丁寧だ。
 口腔を撫で回されているうちに、自分の体が熱くなり、あらぬところに違和感が生まれ始めた。

(なに、これ、これ、変だ……キスが気持ちいいから? なんでアソコがおかしくなるの?)

 自分の下半身が気になって、モゾモゾと足を動かした。そのとき、ルトが唇を離しそのままミスティの首筋にキスをしてきたのだ。

「んっ、あっ! ル、ルト……っ」

 そんな場所にもキスをされたことがあるのだろうか? ミスティが覚えていないだけであるかもしれない。考えれば考えるほどわからなかった。覚えていないということが、ここまでミスティを混乱させ不安にさせるのか。

「すまない……」

 ルトが謝った。なにがすまないなのかミスティにはわからない。毛布を剥がされ、ルトの手がミスティの上着にかかる。

「えっ……」

 ルトの手が強引に上着を掴んで引っ張った。ボタンが弾けミスティのシャツが開かれる。驚いて上半身を起こそうとしたのだが、ミスティを見上げるルトと視線がぶつかり体を強張らせた。

(赤い……目……)

 野盗を肉塊にしたときの目の色と同じだ。ルトは今、我を見失いかけているのかもしれない。ミスティは怖くなった。さっきまではルトのキスが気持ちいいと思っていたのに、それが一気に萎んでいく。

「い、いやだ、ルト……だめだ……っ」

 ミスティが抵抗するも、ルトはやめてくれなかった。ミスティの手首を掴んで地面に押しつけてくる。露わになった胸に先に唇を寄せられ、ビクッと体が反応した。こんな場所を誰かに触られたことなどない。驚きと恐怖でミスティはなにもできなかった。そのうちにルトの手はミスティの腰にかかり、ズボンまで引き下げてくる。

「ミスティ……すまない、止まらないんだ……」

 ルトの苦しそうな声が聞こえたが、ミスティはそれどころではない。必死にズボンを上げようと手を伸ばすが、その手もルトに捕まってしまった。

「んんっ……ぅんっ……ぁん……っ」

 口を塞がれた。さっきよりも深く濃厚なキスをされる。息も絶え絶えな上に、再びあの快感がやってきた。舌同士が擦り合わされ、抵抗しなくてはいけない気持ちがあるのにその力が抜けていく。

「んっ、んっ、んっ、はぁ……あっ、あぁ……んっ」

 ミスティがキスに夢中になっていると、ルトの手が下腹部で硬くなっている剛直を掴んできた。

「ぅんっ! あっ! や、やぁあっ!」

 ルトのキスから顔を逸らし反射的に声が出る。大きな手があらぬところを握って扱いていた。キスなどとは比べ物にならないほどの強い快感に、ミスティは背中を弓なりに反らせて身悶える。

「気持ちいいのか? 濡れている……」

 ルトが小さく呟くと、右手首の拘束が解かれる。そしていつの間にか毛布はすべて剥がされシャツの前は大きく開かれ、ズボンは片足を抜かれて大きく開かされていたのである。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……な、なに、これ、僕、どうなって……」
「キスだけでは足りない……ミスティ……」

 ルトが自身の剛直を出し、小ぶりの、まるで子供のようなミスティの肉茎と共に掴んできた。お互いの剛直からあふれる愛蜜が混じり合って、聞いたことのない粘着質な音が聞こえていた。

「あっ、あっぁ……なんで、こんなこと、する、あっ……」
「これも治療実験だろう?」

 真っ赤な目のルトが口元に笑みを浮かべ、二本の肉茎を掴んだ手を激しく動かし始めた。ミスティはこんな強い快感を知らない。
 朝、目が覚めて下半身がそうなっていることはある。ときどき濡れていることもあった。でもこんなふうに掴んで弄った経験はなかった。

「やっ、あっ……、あっ、ん、はぁん!」

 あまりに強い快感に、ミスティは抵抗ができない。やめてほしいのにやめてほしくない。頭の芯がジンジンと疼き、もうそれしか考えられなくなっていた。
 迫り上がり膨らむ気持ちよさ。この先、自分がどうなってしまうのかわからず怖いくらいだ。腰の奥の熱が爆発しそうだった。

「だめだ、ルト、だめ、あっ……、あっ、出そう、なにか、出る……っ」

 漏らしてしまいそうな感覚が我慢できない。やめてと、力なくルトの腕を掴んで訴えるが、全く意味がなかった。膨らんだ熱をミスティは抑さえられず、全身がググっと硬直した。

「も、だめっ……無理! ああああぁああっ!」

 ビクビクと腰が跳ねる。信じられない快感が全身を駆け巡っていった。頭の中は真っ白だ。なにも考えられなくて、ただ真っ青な空だけが目に入る。

「ああ、俺もだ……」

 ルトがそう言って肉茎を扱く手を止めた。そのとき、ミスティの顔になにかが降りかかってくるのがわかった。額や頬、唇にもそれは付着する。気怠い腕を上げて唇に触れ、それを指先で掬う。血ではない。白濁色の粘液だった。

「いやかもしれないが、少しでも体に、入れろ」

 ルトの指がミスティの口の中に入ってくる。生臭く少し塩気のあるそれを口腔に塗りたくるようにされた。

「これ……な、に……」
「ミスティが今出したものと同じだ」

 何度も口の中へそれを運ばれる。しかしミスティは襲いくる睡魔に抗えなくなってきた。目を開けていたいのに、瞼が重く自然と閉じていく。言いたいこともたくさんあったのに、なにも口にできないままミスティは眠りに落ちていったのである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【8話完結】恋愛を諦めたおじさんは、異世界で運命と出会う。

キノア9g
BL
恋愛を諦め、ただ淡々と日々を過ごしていた笠原透(32)。 しかし、ある日突然異世界へ召喚され、「王の番」だと告げられる。 迎えたのは、美しく気高い王・エルヴェル。 手厚いもてなしと優しさに戸惑いながらも、次第に心を揺さぶられていく透。 これは、愛を遠ざけてきた男が、本当のぬくもりに触れる物語。 ──運命なんて、信じていなかった。 けれど、彼の言葉が、ぬくもりが、俺の世界を変えていく。 全8話。

冷徹勇猛な竜将アルファは純粋無垢な王子オメガに甘えたいのだ! ~だけど殿下は僕に、癒ししか求めてくれないのかな……~

大波小波
BL
 フェリックス・エディン・ラヴィゲールは、ネイトステフ王国の第三王子だ。  端正だが、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち。  鋭い長剣を振るう、引き締まった体。  第二性がアルファだからというだけではない、自らを鍛え抜いた武人だった。  彼は『竜将』と呼ばれる称号と共に、内戦に苦しむ隣国へと派遣されていた。  軍閥のクーデターにより内戦の起きた、テミスアーリン王国。  そこでは、国王の第二夫人が亡命の準備を急いでいた。  王は戦闘で命を落とし、彼の正妻である王妃は早々と我が子を連れて逃げている。  仮王として指揮をとる第二夫人の長男は、近隣諸国へ支援を求めて欲しいと、彼女に亡命を勧めた。  仮王の弟である、アルネ・エドゥアルド・クラルは、兄の力になれない歯がゆさを感じていた。  瑞々しい、均整の取れた体。  絹のような栗色の髪に、白い肌。  美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳。  第二性はオメガだが、彼は利発で優しい少年だった。  そんなアルネは兄から聞いた、隣国の支援部隊を指揮する『竜将』の名を呟く。 「フェリックス・エディン・ラヴィゲール殿下……」  不思議と、勇気が湧いてくる。 「長い、お名前。まるで、呪文みたい」  その名が、恋の呪文となる日が近いことを、アルネはまだ知らなかった。

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

悪役令息の僕とツレない従者の、愛しい世界の歩き方

ばつ森⚡️8/22新刊
BL
【だって、だって、ずぎだっだんだよおおおおおお】 公爵令息のエマニュエルは、異世界から現れた『神子』であるマシロと恋仲になった第一王子・アルフレッドから『婚約破棄』を言い渡されてしまった。冷酷に伝えられた沙汰は、まさかの『身ぐるみはがれて国外追放』!?「今の今まで貴族だった僕が、一人で生きて行かれるわけがない!」だけど、エマニュエルには、頼りになる従者・ケイトがいて、二人の国外追放生活がはじまる。二人の旅は楽しく、おだやかで、順調に見えたけど、背後には、再び、神子たちの手がせまっていた。 「してみてもいいですか、――『恋人の好き』」 世界を旅する二人の恋。そして驚愕の結末へ!!! 【謎多き従者×憎めない悪役】 4/16 続編『リスティアーナ女王国編』完結しました。 原題:転んだ悪役令息の僕と、走る従者の冒険のはなし

相性最高な最悪の男 ~ラブホで会った大嫌いな同僚に執着されて逃げられない~

柊 千鶴
BL
【執着攻め×強気受け】 人付き合いを好まず、常に周囲と一定の距離を置いてきた篠崎には、唯一激しく口論を交わす男がいた。 その仲の悪さから「天敵」と称される同期の男だ。 完璧人間と名高い男とは性格も意見も合わず、顔を合わせればいがみ合う日々を送っていた。 ところがある日。 篠崎が人肌恋しさを慰めるため、出会い系サイトで男を見繕いホテルに向かうと、部屋の中では件の「天敵」月島亮介が待っていた。 「ど、どうしてお前がここにいる⁉」「それはこちらの台詞だ…!」 一夜の過ちとして終わるかと思われた関係は、徐々にふたりの間に変化をもたらし、月島の秘められた執着心が明らかになっていく。 いつも嫌味を言い合っているライバルとマッチングしてしまい、一晩だけの関係で終わるには惜しいほど身体の相性は良く、抜け出せないまま囲われ執着され溺愛されていく話。小説家になろうに投稿した小説の改訂版です。 合わせて漫画もよろしくお願いします。(https://www.alphapolis.co.jp/manga/763604729/304424900)

仮面の王子と優雅な従者

emanon
BL
国土は小さいながらも豊かな国、ライデン王国。 平和なこの国の第一王子は、人前に出る時は必ず仮面を付けている。 おまけに病弱で無能、醜男と専らの噂だ。 しかしそれは世を忍ぶ仮の姿だった──。 これは仮面の王子とその従者が暗躍する物語。

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

王子様と一緒。

紫紺
BL
田中明夫は作家を目指して10年、全く目が出ない男だ。 ある日、書店の前で金髪青い目の青年が突然話しかけてきた。最初は胡散臭く思っていたのだが……。 南の国の第2王子アスラン、その護衛トーゴー、田中が住むアパートの大家や住人の奨励会員などなど。 様々な人間模様と恋模様が織りなすBL多めのラブコメ開幕です!

処理中です...