23 / 47
第二十三話 似た者同士かも
僕は師匠に自分の家を紹介することになった。
師匠と会うのはおよそ一年振りだから、弟子の僕がまさか豪邸に住んでるなんて思いもしないはず。
ベホムたちはみんな僕らに気を遣って、師弟水入らずということで二人だけにしてくれたんだ。なんせ久々の再会を果たせたわけだからね。
「師匠、見てください。これが僕の家です」
「お、おおぉ……ピッケル。これもお前が家を回復した結果なのだなっ!」
「よくわかりましたね。さすが師匠!」
「当然なのだ。以前は時間を戻す回復術を使うにしても、1分くらいしか戻せなかったのに、回復術師として本当に成長したようだの……」
「あはは……あの頃のこと、今でも鮮明に覚えてますよ。今じゃ、十年以上も時間を操作できるようになりましたけどね」
「そ、そりゃ凄い成長だの……。しかし、それくらい操作できるとなると、エネルギーの消耗もさぞ激しかろう?」
「はい、そりゃもう……。先日は、幽霊を回復したのもあって、一日中死んだように寝ちゃって……」
「……ゆ、幽霊までも回復しおったのか。相変わらず、ピッケルの回復術は規格外だの……」
「師匠。あの頃はそんなに褒めてくれなかったのに……」
「それは、まだピッケルが未熟だったのもあるが、弟子を思う師の心があるからこそ、なのだ」
「はいはい、そういうことにしておきます。でも、これも師匠の指導の賜物ですよ。さ、中へ……」
「あぁ……ん、ちょっと待て。ピッケルよ、なんか先客がおるようだぞ?」
「え? あ……」
「ピッケル、また女の子連れてきた!」
エルシアがカンカンの様子で僕らの元へと駆け寄ってくる。もちろん、ホウキを構えて師匠を威嚇していた。
「エルシア、落ち着いて。この人は僕の師匠だから」
「え……⁉ ピッケルの師匠なんだ……? あたいと同い年にしか見えないけど、もしかして、ピッケルが回復術を使って子供に戻しちゃったの?」
「いやいや……」
「おっほん。エルシアとやら、よく聞くがよい。わしはな、こう見えてドワーフの一族なのだ」
「ど、ドワーフ⁉ お髭が生えてるお爺ちゃんのイメージしかなかったけど!」
「失敬な。偏見もいいところなのだ……」
「そうだよ、エルシア。一概にドワーフといっても、住んでる地域によって違いがあるから……。それと、師匠はこう見えて25歳なんだよ」
「へ、へえぇ……」
「ピッケル……乙女の年齢を他人に言ってはダメだと習わなかったのかの?」
「ご、ごめんなさい、師匠……あ、そうだ。師匠、エルフとドワーフだから、相性ピッタリかもしれないですね!」
「ふぅむ。むしろ、相性は最悪だと思うがの……」
「ま、まあまあ。師匠、とにかく中に入ってくださいよ」
こうして師匠を屋敷の中に迎え入れると、エルシアはいつもと違う反応を示した。
僕の傍にピッタリとくっついて相手を警戒するっていうより、いつもと変わらない感じで師匠のことをジロジロと見ていたんだ。
僕の師匠っていうのもあるだろうけど、エルフにとってドワーフの存在は興味深いのかもしれない。
「どう、ピッケルとあたいのおうちは凄いでしょ」
「ふむう、そうだのお。わしの弟子として誇らしいわい」
「ジー……」
「ピ、ピッケルよ、なんかこの子にやたらとジロジロ見られとるんだがの……」
「師匠、我慢してくださいよ。エルシアの友達になってやってください」
僕が耳打ちすると、師匠は若干不満そうだったものの頷いた。
「ま、まあ弟子のためなら我慢しよう。正直、エルフは苦手なのだがのう……」
「あ、そうだ。旅には出なくてもいいんですか?」
「しばらくはじっとしておるつもりだから安心せい」
「おお……」
そりゃよかった。エルシアは一人でいるのがとても寂しかったみたいだからね。それに、二人とも馬が合いそうな気がする。見た目も似たようなもんだし。
「エルシアよ、わしの名はミシェル・アリスティアだ。しばらくここにいてやろう」
「別にいなくていいもん! あっかんべーだ!」
「こ、こやつ……!」
「ははっ……」
エルシアのやつ、師匠に反抗しつつもどこか嬉しそうだ。こんな姿の彼女を見るのは初めてかもしれない。
そのあとお茶を飲みながら、師匠との思い出話に花を咲かせた。大体、僕の回復術の話だ。
それについて、近くでじっと耳を傾けてたエルシアが質問してきた。
「ねえねえ、ミシェル。ピッケルの師匠なら、あなたも時間を操る回復術を使えるの?」
「わしが使えるかというとだな、実はまったく使えん」
「えぇ⁉」
「もちろん、論理は知っておる。しかし、論理だけがわかっても、この術は使えない。選ばれた者でなければ……」
「選ばれた者?」
「うむ、そうなのだ。彼の回復術は、心が深いからこそできる。ピッケルは、心の奥行きが普通の者よりもずっとあるのだ」
「心の奥行きかあ。なんかわかる気がする! それって広げられるの?」
「心の奥行きには天性のものもあるし、後天性のものもある。もちろん、わしがいたからこそピッケルの心はここまで広がり、時間を操る回復術が使えるようになったというわけなのだ」
「なるほど……さすが、あたいのピッケル!」
「いやいや、わしの弟子だからわしのものだが?」
「あたいのものだもん!」
「「ムムッ……!」」
「……」
おっかない顔で睨み合うエルシアと師匠。さっきまで和やかに話してたのにこの変わり様。やっぱり似た者同士なのかもしれない……。
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
アベル・ヴィアラットは、五歳の時、ベッドから転げ落ちてその拍子に前世の記憶を思い出した。
大人気ゲーム『ヒーローズ・ジャーニー』の世界に転生したアベルは、ゲームの知識を使って全男の子の憧れである“最強”になることを決意する。
そのために努力を続け、順調に強くなっていくアベル。
しかしこの世界にはゲームには無かった知識ばかり。
戦闘もただスキルをブッパすればいいだけのゲームとはまったく違っていた。
「面白いじゃん?」
アベルはめげることなく、辺境最強の父と優しい母に見守られてすくすくと成長していくのだった。
クラスで異世界召喚する前にスキルの検証に30年貰ってもいいですか?
ばふぉりん
ファンタジー
中学三年のある朝、突然教室が光だし、光が収まるとそこには女神様が!
「貴方達は異世界へと勇者召喚されましたが、そのままでは忍びないのでなんとか召喚に割り込みをかけあちらの世界にあった身体へ変換させると共にスキルを与えます。更に何か願いを叶えてあげましょう。これも召喚を止められなかった詫びとします」
「それでは女神様、どんなスキルかわからないまま行くのは不安なので検証期間を30年頂いてもよろしいですか?」
これはスキルを使いこなせないまま召喚された者と、使いこなし過ぎた者の異世界物語である。
<前作ラストで書いた(本当に描きたかったこと)をやってみようと思ったセルフスピンオフです!うまく行くかどうかはホント不安でしかありませんが、表現方法とか教えて頂けると幸いです>
注)本作品は横書きで書いており、顔文字も所々で顔を出してきますので、横読み?推奨です。
(読者様から縦書きだと顔文字が!という指摘を頂きましたので、注意書をと。ただ、表現たとして顔文字を出しているで、顔を出してた時には一通り読み終わった後で横書きで見て頂けると嬉しいです)
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。