外れスキル【転送】が最強だった件

名無し

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第二一話 発覚

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「もう目を開けてもいいぞお。んじゃ、またな。お嬢ちゃん」
「あ……」

 視界に現れたのは、既に去り行くガウロの赤い背中。広い肩にはアザレアの大きな尻も見える。

 ……なるほど。覗きにきたにしては時間帯的に早すぎると思ってたんだ。実際はナンパしようと思ってアザレアを追いかけてたんだろうな……。

「ふう……」

 安心したせいか急激にお腹が空いてきた。油断するとお下げ髪の先端が地面に届きそうになるほどフラフラだ……。

 あの宿、めっちゃ狭いし風呂もないけど夕食のパンだけは出るんだっけか。今日は色々ありすぎてもう夜になりそうだし、とりあえず帰ろうかな。仲間探しは明日からでいいや……。

「――ただいまー」
「もしゃもしゃ……ごくんっ。おかえりなのだ」
「……お、もう起きてたのか」
「うん」

 宿に戻ると、例の少女がベッドの上で食事しているところだった。

 もう眠くはないみたいだな。こっちも食べつつ色々話を聞きたいが、まずは意識をルザークの中に戻したい。女の子の体だとどうも落ち着かないんだ。今までずっとぶらさげていたものがないっていうのもあるし、俺に対するバルテスの欲望に満ちた顔を見て以降、尚更そう思う……。

「これ旨いぞ。お前も食うか?」
「しっ。あとで……」
「うん」

 もしルザークが起きた場合、また失神させなきゃいけないので面倒だからそっと押入れを開けた。

「あれ? いない……」

 ま、まさか逃げられた……? そう思った矢先、冷たいものが頬に当たった。短剣だ……。

「おかえり、ミケちゃん。待ってたよ……」
「ぐっ……」

 お下げ髪を強く引っ張られて振り返る。……や、やはりルザークだ。一体何故? あの状況からは逃げられないはずなのに……。まさか、あの少女が助けたのか? そう思って彼女を見ると、夢中でパンの残りを頬張っていた。違う……のか?

「おいおい、あの子は関係ないぜえ。俺は自分でなんとかしたんだからよ……」
「ど、どうやって……」
「なんとかしようとしてたら俺のスキルの隠し効果がわかったんだ。感謝しないとなあ」
「【回収】の隠し効果……?」
「おう。これは以前触れたものを手元に戻すのが普通の効果だが、隠し効果は一度触れたことがあるものを遠方からでも回収できるってわけだ……」
「……」

 なるほど。なんとか失った短剣を手元に戻そうと試行錯誤した結果だろうな。ただ、その場合は精神力の消費も大きなものになるはず。というわけで意識の【転送】を試みたがダメだった。クソッ。まだそこまで消耗してなかったらしい……。

「お前、また意識を乗っ取るつもりだったろ、今」
「え……」
「魔法陣が出てたぞ。バレバレなんだよ」
「……あ……って、なんでそのことを……」

 こいつが意識の【転送】のことを知っているはずがない。マイページの非公開設定は認証した本人にしか閲覧できないようになってるんだから。

「考えてもみろ。俺は気付いたらこんなところに押し込められてて、パーティーメンバーが誰なのか見てみたらミケちゃんだけ。しかも勝手に受信拒否になってるし、アザレアに連絡してみたら一方的に怒鳴られるし……。そのうえ、異名にロリコン野郎ってのが追加されてる始末。誰かが妙なスキルでも使って俺を乗っ取ってたって思うしかないだろ? それで調べたら出てきたんだよ。【転送】ってのが……」

 なるほど。スキルのほうを調べやがったのか……。

「んで、ミケちゃんのスキルが非公開になってたから、きっと今はそこに乗り移ってるんだろうって思ったわけよ」
「……」

 ルザークのやつ、東地区のどうしようもない不良の割に頭は悪くないな。以前のミケじゃないってこともすぐわかるだろうし、もう言い逃れはできまい。

「お前よお……一体誰なんだよ。言わないならどうなるか、わかってるよな……? おっと、妙な真似しようと思っても無駄だぜ。たっぷり寝てたおかげで、こっちには体力も精神力もたっぷりあるんだからよ?」
「……わかった。言う」
「よし……話せ」

 仕方ない。こいつ、かなり警戒してて隙が見当たらない。何もかも話して仲間に引き込むしか手がなさそうだ……。
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