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第二三話 叡智
しおりを挟む「どうした? どうせはったりなんだろ? あ!?」
「い、いや、はったりなもんかよ……」
「じゃあ早く言えよ。なあに。俺のは大きいが、痛いのは最初だけだ。楽しもうぜ……」
嫌だ嫌だ嫌だ。やつのサボテンを入れられるなんて絶対に嫌だ。想像しただけで気が狂いそうになる……。
考えろ考えろよ考えるんだ。『サンクチュアリ』に対抗できそうな手段で、しかもルザークを満足させられるようなものを……。
地道に仲間を集める……なんて言ってもこいつが納得するわけないんだよな。誰が考えてもこれなら期待できそうだと思える、即効性のある手段を提示しなくてはいけない。
「あと30秒な」
「くっ……」
「楽しみなのだ……」
「くうぅ……」
エリンの能天気さに腹が立つ……って、それどころじゃない。やはり、この【転送】を用いた方法しかないだろう。強いやつに乗り移ることができれば一番いいんだが、相手がいることだからな。
「あと15秒」
「……」
クッソ……。滅法強いやつに乗り移る方法……。でも相手がいる……。ここをクリアできれば……。
「5、4、3……」
「わくわく……」
――そ、そうだ。あった。最高の方法が見つかったぞ。これならルザークも納得するはず。
「さあ、最高に気持ちいいことをおっぱじめようぜえ……」
「おー!」
「待て。それは中止だ。今から言う」
「「……は?」」
ルザークとエリンの怪訝そうな声が重なった。もうね、二人ともぶん殴りたい。
◇◇◇
善は急げというやつで、早速俺たちは『サンクチュアリ』打倒に繋がる場所へと赴いていた。
「まさか、その手があったとはなあ……。参ったぜ。なあ、エリン……」
「うむ……」
やや不満そうに短剣を回転させるルザーク。
やつは俺が提示した『サンクチュアリ』を倒す方法に対し、一切反論できなかった。いよいよそこに繋がる場所が見えてくる。鮮やかに輝くステンドグラス、勇ましく夜空を突き上げる十字架……俺の新しい体が待つ聖地だ。
王都グラステリア中央区三丁目に位置する大聖堂。そこには名の知れた冒険者や英雄たちが眠るといわれる。その中には、まだ生きている存在もあった。ボスの凶悪なスキルによって永遠の眠りに堕ちた者や石化した者は、今も姿を変えることなく礼拝堂の棺の中に納められているという。
英雄はともかく、名の知れた冒険者に関しては、身内の許可さえ下りれば面会し祈りを捧げることが許される。当然だが、俺が狙っているのは永遠の眠りに堕ちている冒険者の体だ。あと、一番使えそうなスキルを持っているのは当然として、できれば雄がいい。とにかくルザークからスケベな視線を感じて落ち着かないからな。
「――スキル? ああ、洗礼のことですな。それも永眠した者たちについて知りたいと?」
「そうです」
神父に対してうなずく。彼らのスキルを知るにはこうするしかない。英雄も名の知れた冒険者もプライバシーが強く守られていて、検索しても引っ掛からないようになっているんだ。
「是非その理由をお聞かせ願いたいのですが……」
「はい。彼らがどのような洗礼を受けて勇敢に戦ったのか興味があるし、今後の参考にしたいんです。特に永眠した者たちは以前と姿も変わらず、より身近に感じられて心身ともに引き締まると考えたんです」
「……なるほど。先人の叡智に学ぼうというのですな。それは若いのになんとも殊勝な心がけです。では、少々お待ちを……」
しばらくして、神父に呼ばれたシスターたちが後方隅の本棚の前で書類を漁り始めた。おそらく永眠した冒険者の所持していたスキルを調べているんだろう。……とりあえず最初の難関は突破したみたいだな。我ながら、スキルを調べる理由としては合点がいくものだったと思う。
「……お前、最高の屑になれる素質があると思うぜ」
「ルザークにだけは言われたくないな!」
「ケケッ……」
尻まで伸びてきたルザークの手を払う。他人の体を完全に自分のものにするのはなんか不謹慎な気もするが、ここまで来たんだ。もう引き下がれない。サボテンの餌食になるよりは遥かにマシだし……。
「ふわあ、ここはあまりにも退屈すぎて眠くなってくるのだ……。エリンも棺の中で気持ちよく永眠したくなってきたぞ……」
「……」
大聖堂で思いっきり欠伸するエリン。こいつも相当な屑になれる素質がありそうだな……。
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