外れスキル【転送】が最強だった件

名無し

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第四六話 ハッタリ

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「いいか、お前ら耳糞掃除してよく聞けっ! 俺はなあ、こんなか弱い子を見捨てて逃げちまうくらいなら、死んだほうがマシなんだよバーカッ!」
「まあまあ、勇敢な殿方ですこと。目に見えて動きが鈍っていらしゃいますのに、やたらと強がりますのね……」
「ハッハッハ! ハッタリが俺の最大の武器でな……? これがあると極限状態でも自分を鼓舞できるし、とんでもない馬鹿力も発揮できるから便利だぜえっ!」
「……マスター、本当にしぶとい、この男……」

 いつもより少し開いたエルフィの目が、ガウロの土壇場での粘りがいかに凄いかを物語っていた。彼は体力がなくなっていく過程でエルフィの攻撃が掠り始めても一切動揺せず、それどころか逆に笑みを浮かべてみせるなど、百戦錬磨のエルフィでさえも追い打ちすることをためらうほどの不気味さを放っていたのだ。

「マガレもロンもボヤッとしてないで参加しなさい!」
「えー、エルフィがいるから充分でしょうに……」
「そうだよ、そんなのエルフィに任せておけばいいのさ!」
「やりなさい!」
「「……」」

 ロンとマガレットの二人が渋々といった様子で参戦するも、やる気がないらしくてエルフィの邪魔になるだけであっさりと戦線を離脱してしまった。

「まったくもう……とんでもない役立たずどもですわ!」
「ど、ど、どんだけあたしの【朦朧】スキルで助けられたと思ってるのさ!」
「マスター、そりゃないよ。僕の【忘却】スキルがなかったらここまで殺せてなかったのに……」
「うるさいですわ! 二人とも黙りなさいっ!」
「へへっ。こんなときに仲間割れとはな、助かったぜ。シルウ、お前も疲れたのか回復魔法の威力が少し弱まってきたな……!」
「……ガウロ、実際に戦って見てわかりましたが、あなたのスキルには正直興味があります。その子も殺さないので、ここで誰かの体に【寄生】して逃げてみては……?」
「ハッハッハ……。その手には乗らねえ。そのロンとかいうやつのスキルで記憶を消されちまうだろうからな……?」
「仲間にそんなことをするわけありませんことよ……? そんなことができるなら既にやっています」
「そりゃ【忘却】ってのは一度触れた相手にしか効かないはずだからなあ。しかも味方には効かないときた。つまり誰かの体に乗り移った途端、異物の俺だけ最近の記憶を消去されてわけがわからないうちにやられちまうってわけだ。意志力がなくなれば【寄生】状態だって解けちまうからな」
「……おバカに見えて意外と頭はキレる男のようね」
「いやあ、照れちまうぜ。馬鹿だからこそ研究熱心なんだよ。ハッハッハ……」
「くっ……」
「マスター、心配しなくても大丈夫だ。こいつもうすぐ殺せる」
「あら……エルフィ、それは良い兆候ですわねえ……」
「おー、よくわかってんな。ま、そろそろ限界だし仕方ねえかあ……なわけねえだろ!」

 ミケの体に乗り移ったガウロはそれでも余裕の表情を崩すことはなかった。

「ご自慢のハッタリとやらで、あとどれくらい耐えられそうですかね?」
「あ! あそこに誰かいる! おーいっ!」
「……哀れな男。そんなものに引っ掛かると本気で思ってますの……?」
「本当だって! おーい、ここだー、助けてくれー!」
「エルフィ、何をしているのですか、早くこの汚物ごと殺しなさい!」
「……」
「エルフィ……!?」
「マスター、まずい。本当に誰か来る」
「……は?」
「マ、マジかよぉ」
「そ、そんな、本当なのかい……」

 エルフィの言葉によってシルウ、ロン、マガレットの間で戦慄が走る。

「ほおら、俺の言った通りだろー……?」

 ほぼ一瞬の出来事であった。『サンクチュアリ』の面々が気付いたときには、ファルナスら『デスペラード』のメンバーが今まさに襲い掛かろうとしてくるところであった。

「ハッタリ野郎の渾身の真実が伝わらなくて残念だぜ……。もちろんただのハッタリのつもりだったんだけどな……! ふー……俺はちと休ませてもらうぜえ……」

 ガウロがコントロールしているミケの体が座り込んで動かなくなったのは、その直後のことであった。
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