道具屋のおっさんが勇者パーティーにリンチされた結果、一日を繰り返すようになった件。

名無し

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十九話 道具屋のおっさん、燃え滾る。

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「エレネ、もう夜に外行くのはやめよう」

「はい……」

 あれから何度か夜のフィールドでゾンビアタックしたんだが、夜間のモンスター相手にいくら闇雲に迅雷剣を振り回しても、電撃がまだ弱い上に相手が強すぎるせいか一向に倒せなかった。

 とはいえ、夜は長いし暇だ……。そんなわけで俺たちは覚醒カードを手放して寝ることにしたんだが、一気に眠気が来てしまってすぐ側のベッドにたどり着くまでには意識を失っていた。

「――エレネ、おはよー、ブチュッ」

「ちゅっ」

 エレネと愛し合いながら時計を確認すると、もう午前8時をとっくに過ぎていた。こりゃまずい。勇者パーティーが来る前に急いで道具屋を出なければ……。

「あ……そうだ」

「ど、どうしたんですか? モルネトさん……」

「ポーションを作ろうと思ってね」

「ええ? でも、早く逃げないと……」

 エレネのやつ、よくわかってるじゃないか。まあ俺が勇者どもの悪辣さを嫌というほど説明してやったからだが。

「いずれやっつけてやるさ。その前に、少しサービスしてやるんだよ」

「サービス?」

「イツデモキノコー!(ニューバージョン」

「わわっ……」

 早速例の秘密道具をボロンと取り出し、空き瓶に黄ポーションを流し込む。一切手を加えていない天然のものであり、これぞまさしく神のエキスだ。エレネのやつ、両手で顔を隠してるが指の隙間からちゃんと見てるのバレバレだぞ。

「ま、まさか、モルネトさん……」

「ん、エレネ、お前も飲むか? 新鮮だぞ」

「……いえ、今はいいです」

「まあいいから。少し飲め」

「……は、はい……」

 エレネ、少しとか言いつつ結構ゴクゴク飲んでる。しかもうっとりしやがって……。いくらなんでも変態すぎだろう……。

「それ以上飲んだらなくなるからもういいぞ。美味しかったか?」

「……はい。とっても濃厚で美味しかったです……」

「……エレネ、お前はもう世界一淫らな兎ちゃんだよ。オメデトウ!」

「はい……」

「トロンとしてるんじゃねえよボケ! さあもう行くぞ!」

 頬を紅潮させてもじもじし始めたビッチを引っ張り道具屋から出る。もちろん例の出来たてほやほやの生温かい黄ポーションを戸棚に置いておく。やつらが手に取る位置は把握済みだ。

 道具屋を囲む塀に隠れて様子を見る。

 ――お、来た来た……。勇者パーティーが当然のように道具屋に入っていく。早く俺のポーションをご馳走したいので、今回鍵は掛けてない。油断すると笑いそうになるから困る。

 お、瓶が割れる音とともに怒号が飛んできた。ゲロゲロと吐く声も聞こえる。

 ざまあああ! やつら、一斉に道具屋を出てきたかと思うとすぐに燃やしてしまった。最速記録だ……。だがこれで済むと思うなよ! これがざまあの始まりだカスども!



 ※※※



 いつものように例の馬車をストップさせてやるとオスガキを殴り飛ばし、さらに電撃もサービスして気分よく乗り込む。

「いいかぁ? 爺さん、このことを誰かにチクったらよお、オラがこの剣でメスガキをなぶり殺しにてやっからな」

 御者の爺さんの背中に迅雷剣を押し当てて脅してやる。プルプル震えてて面白いが、あんまり凄むと心臓発作を起こすかもしれないからこれくらいで勘弁しといたる。

「しょ、承知しました……。なのでその子の命だけは、どうかご勘弁を……」

「おう。爺さんに免じて考えといてやるよ」

「ひっく……ぐすっ……」

 エレネのやつ、俺の横で泣き始めた。演技うめえなあ。どんどん上達してる。

「ほら、良い芝居をしたご褒美だ。チュー」

「ちゅー」

 怯える爺さんのすぐ後ろで俺たちはいちゃついてるわけだが、どうせ耳も遠いし大丈夫だろ。しかしエレネのやつ、コロッと態度変えてコレだからな。いやー、女ってこええなあぁ……。

「――つ、着きました……」

 オルグの武器屋『インフィニティ・ウェポン』に早くも到着した。爺さん、かなり憔悴してるな。最早見てて気の毒になるレベルだ。

「精々頑張れよ爺さん。くたばったらオラ、葬式行ってやっからよ」

 まあ行かないんだけどな。

「は、はい。ありがたいことですじゃ……けほっ、けほっ……」

 馬車が出発し始めたわけだが、偉く不安定だな。こりゃ事故に遭うのも時間の問題か……。

 武器屋の中でエレネとしばらく待ってると、遂にやつが大きな乳を揺らしながらやってきた。あのふざけたハーフエルフのガキだ。

「覚悟おおおおおぉ!」

「……くっ、何事?」

 振り下ろした迅雷剣から電撃がほとばしり、生意気なクソガキへと向かっていく。

「……へ?」

 あれえ? ぜんっぜん効いてない、だと……? 確かに命中したはずなのに……。

「今、一体何を……」

「……あ。わ、わりーわりー。誤爆しちまって……」

「……なるほど。私は平気なのでお気になさらぬよう……」

 あっさり納得されてしまった。こいつ、色んな意味でズレすぎだろう……。

 てか魔法耐性、めっちゃ高いんだろうな。そういや、ハーフエルフは身体能力だけでなく、魔法攻撃力や魔法耐性がかなり高いと聞いたことがある。またこんな重要なことを今頃思い出してしまった。俺がレベル低いのもあるんだろうけど、このままじゃ勝てる気がしないな。

 エレネ同様ビッチそうだからエロを交えて懐柔する手もあるが、俺としては実力で押さえつけないと側に置きたくない。男が本気出せば女より断然強いってのを思い知らせてやる必要がある。神様から強いカード貰ってレベル上げて、早く性奴隷にしてやりてえなあ。

「あの……その剣、もしかして売っていただけるのだろうか……?」

「ごめんな。これ売り物じゃないんだ。な、エレネ」

「はい。すみません……」

「……くっ。無念……」

 悔しそうにひざまずいてる。なんかこういうところ、女騎士っぽいな。いちいち乳揺らしやがって。あー、早くこいつを力でねじ伏せて屈服クッコロさせてえなあ……。
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