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四十八話 道具屋のおっさん、見守る。
しおりを挟む「んん……モルネトどの……うっ。もう少し早く助けてほしかった……ぁ、ん」
「……」
全裸で物悲しそうに言うリュリアにそそられる。
というかだな、こいつの体があまりにもけしからんから、イツデモキノコが白ポーションの精製を止めようとしないから困る。最早バグってんじゃないかっていうレベルだ。
「モルネトさん、私にはもう飽きちゃったんですね……」
「……」
なんかエレネの目が怖い……。
「私、モルネトさんのためならなんでもします。窓拭きでも、お尻拭きでも……」
「……」
「エレネどの」
「はい、なんですかリュリアさん」
「……それなら、空気を読んでモルネトどのと二人きりにしてほしい。ここはエレネどののような子供の来る場所ではない……」
「……子供?」
な、なんか今、どこからともなくブチっていう音が聞こえたような……。
「リュリアさん、あなたもメスガキじゃないんですか……?」
「私もメスガキだが、エレネどのはどっちかというと……神様ほどではないにせよ、お子様といったところかと……」
「……」
怖い。怖すぎる。この二人、バチバチ目線がぶつかってるぞ……。オラ、心臓がバクバクしてきた……って、傍観してる場合じゃないな。奴隷同士が喧嘩してると空気が悪くなってしまう。ここはご主人様である俺がなんとかしないと……。
そうだ。あの手があったか。ちょっと作りすぎちゃってどうしようかって思ってたんだよな。
「こらこら。二人とも、喧嘩は止めるんだ。俺の特性白ポーション、朝までどっちが多く飲めるかで勝負を競おうじゃないか」
「……はぃ。絶対、私が勝ちます」
「いや、私だ」
「「むぅっ……」」
「――ファイッ!」
朝まで生ポーション対決。1250本もあるからなくなる心配はない。喧嘩する暇もなくなるし、見てるこっちも楽しめる。さすがはジーク・モルネトの鬼才といったところだろう。さて、どっちが勝つか見ものだな。
※※※
「くっ、負けた……うぷっ……」
「げぷっ……。勝ちましたぁ……」
「……」
朝チュンが勝負の終わりを告げる。勝者はエレネだった。まあ予想通りか。
リュリア121本、エレネ135本だ。エレネは終始美味しそうに飲んでてスムーズだったからな。リュリアも苦戦した前半に比べると後半は慣れてきていたが、それでも間に合わなかった。
「エレネ、よく頑張ったな」
「はぃ……」
「「ちゅっ、ちゅうぅぅぅ……」」
頑張ってたからなるべく長くしてやったが、やっぱり俺の味がした。オエッ……。
「次は、次こそは勝ってみせる……」
俺たちのキスを見てリュリアが燃えてるな。いいことだ。
「あ、あの、モルネトさんっ……」
「ん?」
「黄ポーションもください……。直で……」
「……しょうがねぇなあ。本当にドスケベだな、ウサビッチ」
「はい……。私はどうしようもないくらいドスケベなウサビッチです……」
「正直でよろしい。オラッ、飲め!」
「ゴキュッ、ゴキュッ……」
「ふうぅ……」
「美味しかったです……ペロペロッ……」
……幸せそうにイツデモキノコのお掃除までしてくれてご苦労なこった。乱暴に髪を掴まれて、物みてぇに扱われてるってのによ。これを見た善人モルネトが頭抱えてそうだな。想像しただけで顔が綻んでしまう。けっ、ざまあみやがれってんだ。いいやつであることになんの意味があるってんだ! 他人の養分になるだけのくだらない人生しか歩めなかった馬鹿野郎が!
……って、なんか大事なことを忘れちゃってるような?
「……あ……」
そうだった、勇者パーティーがもうすぐ来るんだった。対策、なーんも考えてなかったけどまあいっか。俺はジーク・モルネトだしなんとかなるだろう。
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