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第24話
しおりを挟む『『『『『――カアアァァァァアッ……!』』』』』
『誘導魔法』の効果が早速出たようで、けたたましい鳴き声とともに巨躯のカラスたち――ジャイアントレイブンの群れが登場し、またたく間に上空を真っ黒に染め上げていく。
「ちょ、ちょっと……!? あ、あんな量を果たして僕が受け止められるのか……!?」
あまりの数に動揺したのか、盾使いのルエスが俺たちの先頭でシールドを震わせる。
まあそれも当然か。あのカラスたちはエンシェントミイラと同じB級モンスターとはいえ、体力はそこまでない代わりにパワーや機動性が一段も二段も上だからな。
しかも、それがざっと数えても三十羽はいるし、あの様子だと仲間を呼んでもっと増えるだろう。
ちなみに、今回俺はサポート役に徹することにした。変異種のことを考えると何が起きるかわからないので、それまでなるべく力を温存しておきたかったんだ。
「ルエス、大丈夫だ。俺を信じてくれ」
「うぅっ……。わ、わかった。化け物クラスの君ならなんとかしてくれると信じているっ……!」
『『『『『ガアアアアァァッ!』』』』』
「っ!?」
いよいよ上空の黒い塊が稲妻のように襲い掛かってきた。ルエスの大きな体がまったく見えなくなるほどの圧倒的な量だ。
「「ル、ルエス!?」」
「ユリム、カレン、心配しなくても大丈夫だ。あれを見てくれ」
「「えっ……」」
助けに行こうとしたユリムとカレンが唖然とした顔を見せる。
それも当然だろう。無数の鋭利なクチバシと爪による攻撃に対し、ルエスは普通に耐えきっていたからだ。
それどころか、思ったより大したことがないとわかったのか、今では慣れた様子で軽々と受け流していた。
「し、心臓が止まるかと……。てかラウル君……これって絶対君が何かしてくれたからだよね……!?」
「いや、俺は『自動体力回復魔法』に加えて痛みを感じにくくなる『物理耐性魔法』をやっただけで、あれだけの数を耐えられるのはルエスの盾の技術のたまものだよ」
「そ、そうなのか。相変わらずラウル君の治癒の技術は桁違いに凄いけど、そんなに君に盾の技術のことを誉められると、なんだかめっちゃ嬉しいかもしれない……!」
「くすくす……。ラウルさんが一番というか別次元ですけど……ルエスも凄いですね……」
「そうね。ラウルには驚かされっぱなしだけど、ルエスのことも見直したわ!」
「はっはっは! というか、ユリムとカレンはそこでじっと見てるだけかい……!?」
「「あっ……!」」
はっとした顔で顔を向け合うユリムとカレン。すぐに俺のほうを向いてきたので、サポートをしたことを証明するべくうなずいてやると、二人とも安心した様子で走っていった。
俺がかけたのはそれぞれ、『筋肉強化魔法』と『魔力増大魔法』のみ。
片手剣使いのユリムはタイミングを見計らって突っ込み、魔術使いのカレンは少し距離を置いて詠唱を始める。
これだけの数、彼らだけに任せるのはちょっと危険かもしれないと思ったが、さすがS級なだけあって動きの質が抜群に良く、非常に洗練されていると感じた。
正直、以前所属していたパーティー『神々の申し子』が霞むレベルだ。ライバルといわれていたとはいえ、こんなにも強いパーティーだったなんて知らなかった……。
「す、凄いです……! 体がとても軽くて……まるで蝶になったみたいなのです……!」
ユリムがしなやかすぎる動きで、巨大カラスの急所である額を次々と的確に貫いていく。見事だ。
「ユリムッ、ラウルのサポートで気持ちよくなってるのはわかるけど、そろそろそこから避難して!」
「あ……はいです……!」
カレンの台詞でわかるように彼女の詠唱が完了して、巨大な魔法の岩石が怒涛の勢いで現れてはレイブンたちの頭上に命中して消えていき、周囲に大規模な砂埃が舞い上がった。
「――う、うっそぉ。いつもと全然違う! こ、これ、本当にあたしがやったの……?」
カレンがぺたんと尻餅をついてしまった。視界が正常になる頃には、あれだけいた大型カラスたちがすっかりいなくなっていた。
「もちろんだよ、カレン。ルエスとユリムもだが、俺がちょっとサポートしただけで、あとはみんなの実力があってこそだ」
「私……ラウルさんが凄いだけだと思うのです……」
「うんうん。ホントそれよね……」
相変わらずこのパーティーは謙虚だな。俺も見習わないと……って、空間が歪んだかのように見えたあと、そこから一匹のモンスターが飛び出してくるのがわかった。
『――私の仲間たちを、よくもやってくれたな……』
「「「「っ……!?」」」」
モンスターが言葉を喋っただと? これがジャイアントレイブンの変異種なのか……。
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