33 / 78
第33話
『『『『『ウゴオオォォォッ!』』』』』
冒険者ギルドにほど近い町の中心部にて、ゴーレムたちの咆哮がこだまする。
「な、なんだ、あの変異種ゴーレム!? いつの間にか数が格段に増えてやがる!」
「う、嘘だろ……。一体だけでも手に負えないっていうのに、それがざっと数えても百体はいるぞ……」
「も、もうこの町は終わりだ。逃げろおおぉぉぉっ!」
急激に数を増やしたゴーレムたちの異様な迫力は、それまで臨戦態勢を整えていた冒険者たちが武器を捨てて一目散に逃げ出すほどであった。
だが、その場に留まるパーティーも一組だけだが存在し、それを遠目に目撃した冒険者たちからは次々と驚嘆の声が上がる。
「お、おい、あいつら見ろ! ゴーレムたちが来るのに逃げようとしないぞ。死ぬつもりなのか……!?」
「って、あのパーティー、どっかで見たことあると思ったら、もしかしてあの問題児連中じゃないか?」
「あっ、本当だ。なんていうパーティー名だっけ?」
「えっと……そうだ、思い出した! A級パーティーの『暗黒の戦士』だ――!」
「――わははっ! 折角私たちがこうして戦ってやってるってのにさあ、随分な言われようじゃねーか!」
ゴーレムたちに囲まれた『暗黒の戦士』のリーダー、両手斧使いのダリアが豪快な笑い声を上げる。
「まったくっすねえ。あっしらが問題児なら、町を見捨てて逃げ回る連中は問題外っす!」
じりじりと後退しつつも、アピールするかのように大声を上げる短剣使いのセイン。
「セイン。中々上手いこと、言う……ククッ……」
大鎌使いのリシャールが噴き出す。
味方するパーティーが皆無という明らかに苦しい状況であるにもかかわらず、彼女たちの顔に悲愴感は一切見られなかった。
「さあ、いつまでも笑ってねえで、私たちがゴーレムを引き付けてる間に頼むぜ、リシャール!」
「頼んだっすよ、リシャール!」
「あいあい……」
リシャールの瞳からフッと輝きが消失した刹那。
『グオオオオオオォォォッ……!』
力みのない動きによって彼女の大鎌が閃き、ゴーレムの体が左右に分かれる。
「やりぃっ! すげーぜ、リシャール! すっかりコツを掴んだんじゃねーか!?」
「この調子ならS級まで行けそうっすよぉっ!」
「……てへっ。まぁ、これもラウルのおかげ……」
よく見ていないとわからないほど薄く笑うリシャール。
彼女たちはその調子でギルド周辺に犇めいていたゴーレムをどんどん減らしていき、遂には殲滅することに成功したものの、遠目にはまだ暴れ回るゴーレムたちの姿があった。
「ふう……。こっちは片付いたとはいえ、向こうのほうはまだまだいるなー」
「リーダー、おかしな話っすよねえ。こいつら、倒しても倒してもきりがねえ感じっす……」
「っていうか……変異種って、こんなに湧くんだ……」
「私も妙だと思ってるぜ。なんせ、変異種は一年に一回しか湧かないって聞いたことがあるしよ!」
「なのに、こんなに大量に湧くなんて想像すらしてなかったすねえ。てかオズのやつ、遅すぎっす――」
「――おーい!」
「「「あっ……」」」
ギルドの入り口からダリアたちに声をかけてきたのは、もう一人のメンバーである治癒使いのオズだった。その傍らには受付嬢のイリスの姿もあった。
「おいおい、オズ、こんなときにナンパしてたのか!?」
「ふぅ、ふぅ……。ダ、ダリアよ、バカなことを言うな! 一人、怪我して逃げ遅れた受付嬢がおったからわしが助けたんじゃ!」
「みなさん、どうもありがとうです。私だけ逃げ遅れてしまい……って、あなた方はもしかして『暗黒の戦士』の方々では……!?」
「お、よく知っとるな! お嬢ちゃんはお目が高い! もしや、わしにホの字かのぉ? イダッ!?」
ダリアから拳骨を食らい、頭を抱えるオズ。
「やっぱりナンパじゃねーか。てめーはまず私を攻略してからにしろ! ま、無理だと思うが。わははっ!」
「そ、そりゃ、ダリア姉さんを攻略なんて人類には到底無理っす――イダッ!?」
「ったくよぉ。そんなに私の拳骨を食らいたいっていうなら、もっとやるぞ!?」
「「ひぃっ……!」」
セインとオズが揃って縮み上がる中、リシャールがイリスに対して怪訝そうな表情を浮かべる。
「てか、あんた……なんで自分たちのことを知ってる?」
「リシャール様でしたよね? 実は、あなた方をラウル様に紹介したのがこの私なのです……!」
「「「「えぇっ……!?」」」」
「ラウル様はあなた方との出会いが、人生を浮上させるいいきっかけになったと喜んでおられました。なので、そんな方々がギルドを守ってくれて、本当に誇らしいです……」
「いやー、そう言われると照れちまうな。こっちのほうこそラウルから助けられたからなー」
「まったくっすねえ。ラウルさんには一生頭が上がらないっすよ」
「うん。自分たちが強くなれたの、ラウルのおかげ……。てか、あんたはラウルとどういう関係……?」
イリスに向かって目を光らせるリシャール。
「えっ……どういう関係って……。その、あえて言うなら、とっても信頼し合っている大人の関係、ですかね? ふふっ……」
「……むぅ。む、無になれ、自分……」
「「「リ、リシャール、落ち着けっ!」」」
既にリシャールは大鎌を高々と振り上げていて、慌てた様子の仲間たちから制止されるのであった……。
あなたにおすすめの小説
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
散々利用されてから勇者パーティーを追い出された…が、元勇者パーティーは僕の本当の能力を知らない。
アノマロカリス
ファンタジー
僕こと…ディスト・ランゼウスは、経験値を倍増させてパーティーの成長を急成長させるスキルを持っていた。
それにあやかった剣士ディランは、僕と共にパーティーを集めて成長して行き…数々の魔王軍の配下を討伐して行き、なんと勇者の称号を得る事になった。
するとディランは、勇者の称号を得てからというもの…態度が横柄になり、更にはパーティーメンバー達も調子付いて行った。
それからと言うもの、調子付いた勇者ディランとパーティーメンバー達は、レベルの上がらないサポート役の僕を邪険にし始めていき…
遂には、役立たずは不要と言って僕を追い出したのだった。
……とまぁ、ここまでは良くある話。
僕が抜けた勇者ディランとパーティーメンバー達は、その後も活躍し続けていき…
遂には、大魔王ドゥルガディスが収める魔大陸を攻略すると言う話になっていた。
「おやおや…もう魔大陸に上陸すると言う話になったのか、ならば…そろそろ僕の本来のスキルを発動するとしますか!」
それから数日後に、ディランとパーティーメンバー達が魔大陸に侵攻し始めたという話を聞いた。
なので、それと同時に…僕の本来のスキルを発動すると…?
2月11日にHOTランキング男性向けで1位になりました。
皆様お陰です、有り難う御座います。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない
あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。