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第一章 リトア王国

ホットミルクを布教します

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リークはクルリと向きを変えてディルの肩に手を置いた。

「ディルも気に入った。ちょっと無口だけど俺の話すことに顔をしかめたりクスクス笑ったりしない。
おべっかも使わないし嫌な感じも向けてこない。いい奴だ。」

「あ、ありがとう…」

真っ赤になったディルとそれをニコニコ眺める天使なリーク。
キラキラまぶしすぎて目が潰れそう。
このかわいい天使が将来ナンパ王子になってしまうなんて…

何とも言えない気持ちで2人を眺めているとダミアンさんがテーブルや椅子などを持った使用人たちを連れて戻ってきた。

あっという間に庭にテーブルがセッティングされお茶菓子が並べられる。

「さあ皆様、お待たせいたしました。どうぞこちらへ。」

リークは何の迷いもなくのんちゃんをエスコートしていく。
ちょっと意外と思ったのは内緒だ。
ディルも私を優しくエスコートしてくれて4人が席につくとダミアンさんが私たちに飲みたい飲み物を聞いてくれた。
ホットミルクを頼んだ私を子供だなぁとリークが笑うので是非飲んでみるよう勧めた。

素直にホットミルクを頼み1口飲んだときの彼の顔は忘れられない。
あの瞬間を絵画にしたら名画になること間違いなしだ。

のんちゃんやディルもその美味しさに驚いていた。

「リーク様がこちらにいらっしゃっていることはイシェラ王宮に伝えておきましたので。リノア様がお連れしたわけではないことも説明しております。」

ダミアンさんがのんちゃんにそっと伝えている。

「後ほど迎えの方がいらっしゃるそうです。」

「ありがとうございます。ダミアンさん。助かりました。」

のんちゃんはホッとした様子で椅子に座り直した。

「ところでマリーはどうして応接間の入り口にいたの?」

そうだ、色々ありすぎてダミアンさんと話せてない。ジッとダミアンさんを見上げると心得ているという感じでにっこりうなずき私の斜め後ろに立った。

「マリー様はお父上の多忙さを心配されてお部屋の前にいらしたのです。
何故こんなにもお客人が多いのかお尋ねになられたのでご説明しようとお待ちいただいていました。」

「なんだ知らないのか?今王宮は飛馬の騎士の話題で持ちきりなんだぞ?
飛馬の騎士は春雷の右腕だろう。皆が春雷のもとを訪れるのは当たり前のことだ。」

リークはホットミルクのカップを両手で抱えたままドヤ顔している。
そんな顔もかわいいけど、クルートさんの話題って何のことだろう?
首をかしげる私にリークは

「なんだ、本当に知らないんだな。俺が教えてやる。」

と言い放った。
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