俺たちが辿り着く運命論

せんりお

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番外編 溺愛社長1 モブside

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社長が噂の番を会社に連れてきた。

昼頃、営業から帰ってくると社内はざわざわと普段にはない興奮した空気に包まれていた。 

「なんだこれ。何があったんだ?」

耳が早い同僚に聞いてみる。そいつも興奮した顔をしてそわそわしていた。

「社長が番を連れてきたんだってさ!」

「社長が番!?あの社長にそんな人いたのか!?」

回りがざわざわしているわけがわかった。
なんてことだ!うちの社長に番!
なんせうちの社長は仕事は異常にできるわ、容姿やスタイルはモデル並み、その上金持ち、言語は何ヵ国語も話せるしといった3拍子どころか何拍子も揃った超スーパーαだ。だが、その弊害か性格は冷酷だと噂されている。実際、滅多に笑わないし、っていうか声だして笑ったところ見たことないし、使えないものは容赦なく切り捨て、利用できるものは遠慮なく使うっていう徹底振りだ。
そんな社長に番…大事件だ。

「どうも最近番になったらしい。パーティーで出会ったって話だ。」

「…さすが。詳しいな」

どこから仕入れてくるんだか、と横目で見るとにやっと笑う。まあ、情報があるのは有難い。

「しかもな…半端じゃない美人らしいぞ。社長に見劣らないレベルの。」

「…なんだそれ。超見たい」

あの社長に劣らない美人ってどんな存在だよ。それはどんな世界だ。どうにかして見れないものか。

「っていうかそもそもなんで番さんはここにいるんだ?」

素朴な疑問だ。そんな俺に同僚はまたにやっと笑った。

「秘書課に知り合いがいて、そっから聞いたんだが、なんでも社長と番になったのがどっかの記者にバレて、追っかけ回されて避難してきたらしい。社長は怒り心頭だって話だ。」

「それはまた…嫌な話だな。」

俺は眉をひそめた。同僚も言いながら顔をしかめている。

「あぁ。だがまあ、あちらさんはそれが仕事だからな。それよりも問題は社長のご機嫌だけどなー」

「…ほんとだよ」




そんな会話を終えて、俺はデスクに向かった。
しばらく仕事に取り組んで、一段落ついてあーあと伸びをしたところに声をかけられた。

「おーい、この書類椎名さんまで届けてくれないか?」

「え、俺ですか!?」

椎名さんっていえば…社長秘書か。とんでもなく仕事ができて、あの社長の右腕。

「頼む、他に手の空いてるやつが今いないんだ。」

「はあ、わかりました。」

「助かる、ありがとな!」

隣から同僚がこそっと囁いてくる。

「いいなー、社長の番見れるかもじゃん」

はっとした。そうじゃん!椎名さんって社長秘書…バカか俺は!今社長お怒りなんじゃ…なんで俺呑気に頼まれてんだよ!


半分地獄行きみたいな気分で俺は社長室がある階へ向かった。



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