バースデーソング

せんりお

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次の日はたまたまバンド仲間たちに呼び出されて、夜は飲みに行ったからlumeにはいけなかった。
ツアーの祝杯だということで仲のいいやつらが誘ってくれたのだ。行かないわけにはいかない。というよりそれを都合よく使ってしまった。その飲み会にはたまたまセルジオが来れなかったことも誘いに乗った要因だった。だってセルジオには俺の様子がおかしいことなんかすぐにバレてしまうから。

沈んだ気持ちで行った飲み会だったけど仲間のおかげで楽しくて、少しニコラのことを考えずにいられたのもよかった。



お酒が入って少しふわふわした気持ちで家に帰った。一人になったとたんに襲ってくる寂しさや不安を振り払うように缶ビールをぷしゅっと開けたところで、携帯が鳴った。
差出人は、ニコラだ。
恐る恐るメールを開ける。「今日も忙しかった?明日は昼過ぎから来てほしいんだけど来れる?」
昼過ぎから来てほしい、という内容に目を見開いた。昼間はルカさんがいるんじゃ…まさか3人で別れ話とかじゃ…

「あー俺のあほ!」 

今からそんなこと考えてどうする。最悪なことになるとしても明日のその時でいい。考えるな。それに、昼間からいけるなら俺としてもゆっくり話が出来てちょうどいいだろ。
「ごめん、飲み会だった。明日は行けるよ」
と返信をする。
ぐいっとビールを飲み干して新しいものを開ける。ふと目に入った窓の外は昨日から降り続いていた雨がやっとあがったものの、まだ曇っていて月は見えない。
窓を開けてみると2月の、身を切るような空気がさっと流れ込んできて体が震えた。
傍に温めあえる恋人がいないことが無性に悲しくなってすぐに閉める。

「自分で追い込んでどうするんだよ」

自嘲的に笑いを浮かべて暖房を限界まで上げた。


全ては明日決まる。俺はニコラが幸せな方を選べばそれでいい。

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