美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第2章 愉快な仲間たち

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あの時ばかりは両親も青くなり、『酔うと何を言い出すか分からない。今後一切、飲酒はまかり成らない!』とキツク私に言い渡した。

内容は敢えて聞かなかったが、何があったのかはおおよそ想像できた。きっと吹き出し関連のことだろう。だから私は両親の言葉に従い、今に至っている。

「病気? お酒が飲めないなんて可哀想」と言いながら、マミはさんは「 ウーロン茶と勝祭かっさいお願いしまーす」と水槽の向こうの人に声をかけた。

――日本酒とは……意外だったが渋いチョイスだと思った。

「待ってました!」

それからすぐに飲み物はきた。私のウーロン茶はビアグラスに入ってきたが、マミさんの頼んだ勝祭はグラスに並々と注がれてきた。だから敷いてあるのはコースターではなく木製の升。渋い演出だ。

そして、これはお通しだろうか。小鉢が三つ載った大皿が各々の前に置かれた。

「えーと」と言いながらマミさんが首を伸ばした。真似てそちらを見ると黒板に書かれた『本日のお通し』の文字が目に映る。

「十一月だから“ブリのあら大根”かぁ。それから“ブロッコリーの煮浸しオカカ和え”に“レンコンの金平風”ときたか!」

マミさんはメニューと料理を交互に見ながら嬉々と唸り、「旬の食材ばっか、やっぱりこの店最高!」と升ごと掲げ上げた。それから視線で、私にもグラスを掲げるように促した。

何に対して乾杯するのだろうと思いながらも、ウーロン茶の入ったビアグラスを持ち上げると、マミさんは「乾杯」と言ってカチンとグラスを当てた。その拍子にグラスからお酒が零れる。でも、升がそれを受けるから勿体なくはない。

「さあさあ、食べてみて。ここはお通しだって手を抜かないから超絶に美味しいのよ」

喉を潤すとマミさんは早速箸をつけ、私にも勧めた。

彼女の言葉に従ってブロッコリーを抓んだ。「おっ!」マミさんの言うとおりだった。微妙なゆで具合と微妙な味付け。美味しい! こんな所を知っているとは――。

「マミさんって、見かけによらずグルメなんですね?」
「見かけによらずって、あんた、喧嘩売ってんの?」
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