美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第4章 美しい女性

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「お前、話を聞いていなかったのか?」
「しっかりお聞きしていましたが?」
「一を知って十を知るだ。私は結婚する気などないと言っているのだ」

「……女なんか」と微かに呟く声が聞こえ、「あっ」と両手で口を覆った。

「まさか西園寺オーナーもゲイ?」
「馬鹿か! 友宏と一緒にするな!」

間髪入れず反論すると西園寺オーナーは心底嫌そうに顔を歪め付け加えた。

「別にあいつのマイノリティーを否定しているわけではないぞ」

そして、「だから、お前がベストなんだ」と理解不能な意見を述べた。

「私なら恋人として紹介できるということでしょうか?」

なぜに?

「ああ、そのとおりだ。お前は私に恋愛感情の『れ』の字も持っていないだろう?」
「はぁ、それは確かですね」
「だからだ!」

西園寺オーナーが強く言い切った。

「そんな奴はお前しかいない」

――自分がモテると自慢したいのだろうか?

「相手に恋愛感情があったら、親に紹介したと同時に結婚へのカウントダウンが始まる」

おそらく……いや、たぶんそうなるだろう。

「分かっていて、みすみすそんな地獄に陥りたくない」
「だから私だと?」

そういう理屈なら適任だと思うが……。

「絶対に反対されますよ。私は地位も身分もない皿洗いです」
「それは心配ない。父の眼鏡に適えばいいだけの話だ」
「お眼鏡に適う? それこそ無理ではないでしょうか?」

――と言ったところでハッとする。この話の流れ……これでは『恋人役を引き受けます』と言っているのも同じではないか!
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