美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

文字の大きさ
107 / 170
第5章 解雇

04

しおりを挟む
そうなのだ。食事会の次の日。私の許しも得ないで西園寺オーナーが公表してしまったのだ。

「本当、驚いちゃったわよ」

途端に話題の中心は私に移る。

「マジで特別な間柄だったなんて! ねぇ」
「いえ、それは……」
「本当、水くさいわよ!」

マミさんも他のメンバー同様、話題にすぐさま食い付く。今泣いたカラスが……だ。

「ですからその件につきましては……」

一番驚いたのは私だ! あんな風に発表しなくてもいいのに……。

何と西園寺オーナーは大々的にマスコミ各社にプレスリリースして、その後すぐに記者会見というものをしてしまったのだ。

「私、あの時ばかりは、オーナーはクーラウのオーナーであって、クーラウのオーナーって立場だけじゃないんだって思い知らされたわ」

誰も私の意見に耳を貸そうとしない。
マミさんはそう言うと「やっぱり西園寺の人間よね」としみじみする。

「そうそう、知ってる?」
「何が?」
「あの会見で例のお嬢様を筆頭に、綾時信者が高熱を出して寝込んだんだって」

綾時信者って何だ?

「ああ、聞いた、聞いた!」
「あれだけきっぱり恋人の存在を明らかにしたら太刀打ちできないわよね」

マミさんが嬉々としながら私の方に視線を向ける。

「でも……その代わり」

意味深に皆が頷き合い――。

「夏乃お嬢様の登場かぁ」

声を揃えて「お気の毒にぃぃぃ」と合唱をしながら手を合わせた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

処理中です...