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第5章 解雇
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「貴方は人妻で子どももあるお姉さんを、未だに思い続けるストーカーみたいな変態なんです。認めたらどうですか?」
「おっお前……!」
西園寺オーナーの眼に、これ以上ないだろうというような怒りが籠もる。
「お前に何が分かる! 私は……」
「全く分かりません。そんな気色悪い経験したことがありませんから」
――というより、恋というものをしたことがないのだから知らないのは当然だ。
「くそっ!」と、彼が悔しさと苦痛が混じり合った舌打ちをした。そして、叫ぶように気持ちを吐露した。
「ああ、そうだ! 私はずっと富美乃が好きだった。私のものにしたかった。ずっとずっと……諦めきれなかった――告白もできない私は、ヘタレなストーカーだ!」
「これで満足か?」と深く息を吐き出し、不敵に微笑んだ。
「傷口を広げて塩を塗るような真似をして、ただで済むと思っていないな?」
怒りの籠もった彼の眼がギッと吊り上がる――が、私は怯まない。そんなの覚悟の上だ。
「お前は今日限りクビだ!」
思った通りだった。
「――それでも……傷口が膿んでしまったら膿を出すのが治療への早道です」
彼は治療もせず傷口を塞ぎ、徐々に傷を悪化させてしまった。
その状態は張り詰めた風船と同じだ。そのまま空気を送り込めば必ず爆発する。だから私は彼に風穴を開けたかった。それは見事に成功した。
悪魔の囁きに従ってクーラウを辞めさせられるのは不本意だが、彼の精神が破綻する前に彼の中の喜怒哀楽の『怒』だけでも表に出すことができて幸いだと思った。
――両親の教えどおりに、あの力が人様の役に立った……と思いたかった。そうじゃなかったら……報われない。
「おっお前……!」
西園寺オーナーの眼に、これ以上ないだろうというような怒りが籠もる。
「お前に何が分かる! 私は……」
「全く分かりません。そんな気色悪い経験したことがありませんから」
――というより、恋というものをしたことがないのだから知らないのは当然だ。
「くそっ!」と、彼が悔しさと苦痛が混じり合った舌打ちをした。そして、叫ぶように気持ちを吐露した。
「ああ、そうだ! 私はずっと富美乃が好きだった。私のものにしたかった。ずっとずっと……諦めきれなかった――告白もできない私は、ヘタレなストーカーだ!」
「これで満足か?」と深く息を吐き出し、不敵に微笑んだ。
「傷口を広げて塩を塗るような真似をして、ただで済むと思っていないな?」
怒りの籠もった彼の眼がギッと吊り上がる――が、私は怯まない。そんなの覚悟の上だ。
「お前は今日限りクビだ!」
思った通りだった。
「――それでも……傷口が膿んでしまったら膿を出すのが治療への早道です」
彼は治療もせず傷口を塞ぎ、徐々に傷を悪化させてしまった。
その状態は張り詰めた風船と同じだ。そのまま空気を送り込めば必ず爆発する。だから私は彼に風穴を開けたかった。それは見事に成功した。
悪魔の囁きに従ってクーラウを辞めさせられるのは不本意だが、彼の精神が破綻する前に彼の中の喜怒哀楽の『怒』だけでも表に出すことができて幸いだと思った。
――両親の教えどおりに、あの力が人様の役に立った……と思いたかった。そうじゃなかったら……報われない。
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