美食倶楽部クーラウ ～秘密は甘い罠～

第６章 再就職

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幸いにも調味料類は揃っていた。その中にカレールーを見つけたので簡単ドライカレーを作ることにした。

「それにしても……このままでは飢えちゃうか」

一週間以上も引き籠もっていたので出不精に拍車がかかっていたが、仕方がない、と意を決する。

「食べ終わったら買い物に行くことにしよう。でも、近所のスーパーはお休みなんだよね」

『元旦も休まず営業します』が謳い文句だったスーパーだったが、今年から『人員不足のため』という理由で、元旦と二日は休業となってしまったのだ。

「定年が引き上げられる傾向にある昨今だものね」

人手不足が蔓延になりつつある日本ということだ。
それも当然のことだろう。未来を担う子どもの数が年々減っているのだから。

――などと日本の将来を心配するより、まず、自分の心配だ。
気持ちを切り替えて早く次の職を見つけなければ、と思いながら玉葱に包丁を入れる。


＊＊＊


ドライカレーで小腹を満たし、マンションを出る。

しかし……お正月は、車が少なく空気が澄んでいるからか？　行き交う人たちの雰囲気がどこか違うからか？　どこもかしこも神聖な気が漂っているように感じる。

理系脳の私がこんな風に思うのだから、お正月には特別な力が宿っているのかもしれない。たった一日、年を跨いだだけなのに……。