美食倶楽部クーラウ ~秘密は甘い罠~

米原湖子

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第6章 再就職

06

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全く! 私という奴は……食い物に釣られるとは情けない。

食材を調達し終え早々にマンションに戻ると、樫野チーフは我が家のキッチンを占領して調理に取りかかった。

「さあ、座って!」

小一時間ほどすると、『出来上がりを待つのも楽しみのひとつよ』と言われ、自室に追いやられていた私を樫野チーフが呼び戻した。

普段私は一人だ。だから食事は対面式となっているカウンターで取っている。

でも……出来上がったばかりの料理は両親と囲んでいた四角いテーブルの三辺に並んでいた。

――懐かしい光景だ。

自然と上がる口角をそのままに、その一辺――私の指定席に腰を下ろした。

「すっごく綺麗なお料理。これ賄いじゃないですよね?」
「ミニ会席。年明けのランチに出すの」
「――ということは、もう決定している料理ですか?」

「そう」と樫野チーフがニッコリ笑った。

「年始の開業日第一弾ランチは友宏の会席って決まっているんだ」

料理を見つめながら白戸さんが言う。万感迫る思いがあるようだ。感嘆の息を吐いた。その気持ち、分かる気がする。本当に見事な料理たちだった。白戸さんだけじゃない私も感涙にむせびそうだった。でも――。

「あのぉ」と突然挙手する私を「はい、どうぞ」と樫野チーフは先生みたいに指差した。

「今日、お会いしたときから思っていたんですけど……お二人は、そのぉ、お付き合いをされているのでしょうか?」

――おまけに、樫野チーフはオネエ様全開だし……と心の中だけで呟いていると、「やだぁ、寧々ちゃんったら」と右隣に座る樫野チーフが大きな掌で私の背中をバシンと叩いた。

「いっつぅぅ」

顔を顰める私を白戸さんは気の毒そうに見ながら、「友宏の馬鹿力!」と諫める。

「あら、ごめんなさい。でも、お付き合いって……照れるじゃない」

ポッと頬を染めた樫野チーフがハニカミながら「私たち恋人同士なの」と微笑んだ。
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