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第6章 再就職
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「……お邪魔します」
怖ず怖ずと部屋に入った途端、その豪華な部屋に思わず目を見張り、「ホテルのスイートルームですか!」と突っ込んでしまった。
そんな私を西園寺オーナーは無言で一瞥すると、立派なベッドの上からクイックイッと指を振った。どうやら『こっちに来い』と言っているらしい。
恐る恐る近付いていくと――マミさんの言うとおり、ゲッソリとやつれた西園寺オーナーがいた。
「お久し振りです。ちょっと見ない間に酷い有様ですね」
「お前はオブラートに包んだ物言いができないのか?」
「はぁ、とっても正直者ですから」
「そうだったな。まぁいい」と言いながら西園寺オーナーがクイッと顎を引いた。
人間には言葉というものが備わっているというのに……彼はボディーランゲージで私を操作したいらしい。
チッと心の中で舌打ちをして、「お握り定食じゃなくて、お握り弁当になってしまいましたが、どうぞ!」と、手に持った保温式のランチパックを西園寺オーナーの前に差し出した。
「――ありがとう」
へっ、空耳? 西園寺オーナーがお礼を言った?
あまりの驚きに目が泳ぎ、「えー、あー、うー」と返事にならない。まるで取調室の犯人みたいだ。
「ちょっと確かめたいことがあったんだ」
しかし、西園寺オーナーはそんな私の態度に突っ込みも入れず、可動式のサイドテーブルの上に、三段になったお弁当箱を広げた。それで私も我に返った。
「お弁当ですが、内容は寸分違わず、この前と同じ物です」
中身はおむすびと根菜類のお味噌汁。そして、卵焼きと野菜の天ぷら――あの時あの店で食べた庶民の料理だ。
だから口の肥えた西園寺オーナーが、どうしてこれを欲するのか、意味が分からなかった。
怖ず怖ずと部屋に入った途端、その豪華な部屋に思わず目を見張り、「ホテルのスイートルームですか!」と突っ込んでしまった。
そんな私を西園寺オーナーは無言で一瞥すると、立派なベッドの上からクイックイッと指を振った。どうやら『こっちに来い』と言っているらしい。
恐る恐る近付いていくと――マミさんの言うとおり、ゲッソリとやつれた西園寺オーナーがいた。
「お久し振りです。ちょっと見ない間に酷い有様ですね」
「お前はオブラートに包んだ物言いができないのか?」
「はぁ、とっても正直者ですから」
「そうだったな。まぁいい」と言いながら西園寺オーナーがクイッと顎を引いた。
人間には言葉というものが備わっているというのに……彼はボディーランゲージで私を操作したいらしい。
チッと心の中で舌打ちをして、「お握り定食じゃなくて、お握り弁当になってしまいましたが、どうぞ!」と、手に持った保温式のランチパックを西園寺オーナーの前に差し出した。
「――ありがとう」
へっ、空耳? 西園寺オーナーがお礼を言った?
あまりの驚きに目が泳ぎ、「えー、あー、うー」と返事にならない。まるで取調室の犯人みたいだ。
「ちょっと確かめたいことがあったんだ」
しかし、西園寺オーナーはそんな私の態度に突っ込みも入れず、可動式のサイドテーブルの上に、三段になったお弁当箱を広げた。それで私も我に返った。
「お弁当ですが、内容は寸分違わず、この前と同じ物です」
中身はおむすびと根菜類のお味噌汁。そして、卵焼きと野菜の天ぷら――あの時あの店で食べた庶民の料理だ。
だから口の肥えた西園寺オーナーが、どうしてこれを欲するのか、意味が分からなかった。
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