1 / 3
プロローグ
しおりを挟む
街外れにひっそりと佇む蝋燭のような蔵。
ここが『ロウソク専門店 灯火屋』さんのお店です。
営業時間は午後九時から午前三時。
夜間に営む変わった店です。
でも、誰も文句は言いません。
引き戸を開けるとチリリーンと涼やかなベルが鳴り、店主に来客を知らせます。
その音に答えるように「いらっしゃいませ」と鈴の音のような声が聞こえます。
声の主はこの店の店主。
星空の瞳を持つおかっぱ頭の少女です。
少女はいつも上がり框近くにある文机を前に、白猫を膝に置き座っていました。
そして……文机の上には装飾の施された美しい燭台がひとつ。
燭台には蝋燭の火がほのかに灯っていました。
蝋燭の長さは、その日、その時、違います。
白猫がしなやかに伸びをして、また、丸まります。
彼は艶やかで美しい身体を、少女以外、誰にも触らせません。
高貴な雰囲気漂う白猫は、興味を引く話しのみ目を開けます。
その瞳の輝きは、月の冷たさに少し似ています。
白猫がニャーとひと声発して目を開けると、なぜか蝋燭が消えました。
火が消えると少女は――。
……時に喜び
……時に怒り
……時に哀しみ
……時に楽しみ
――ます。
今日も蝋燭が灯りました。
お客様がいらっしゃったようです。
ここが『ロウソク専門店 灯火屋』さんのお店です。
営業時間は午後九時から午前三時。
夜間に営む変わった店です。
でも、誰も文句は言いません。
引き戸を開けるとチリリーンと涼やかなベルが鳴り、店主に来客を知らせます。
その音に答えるように「いらっしゃいませ」と鈴の音のような声が聞こえます。
声の主はこの店の店主。
星空の瞳を持つおかっぱ頭の少女です。
少女はいつも上がり框近くにある文机を前に、白猫を膝に置き座っていました。
そして……文机の上には装飾の施された美しい燭台がひとつ。
燭台には蝋燭の火がほのかに灯っていました。
蝋燭の長さは、その日、その時、違います。
白猫がしなやかに伸びをして、また、丸まります。
彼は艶やかで美しい身体を、少女以外、誰にも触らせません。
高貴な雰囲気漂う白猫は、興味を引く話しのみ目を開けます。
その瞳の輝きは、月の冷たさに少し似ています。
白猫がニャーとひと声発して目を開けると、なぜか蝋燭が消えました。
火が消えると少女は――。
……時に喜び
……時に怒り
……時に哀しみ
……時に楽しみ
――ます。
今日も蝋燭が灯りました。
お客様がいらっしゃったようです。
0
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
25匹の魚と猫と
ねこ沢ふたよ
児童書・童話
コメディです。
短編です。
暴虐無人の猫に一泡吹かせようと、水槽のメダカとグッピーが考えます。
何も考えずに笑って下さい
※クラムボンは笑いません
25周年おめでとうございます。
Copyright©︎
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる