2 / 7
雪の降る日
しおりを挟む
「今日もまた雪」
おばあさんは窓の外に視線を向けると小さな溜息を吐きました。
「これでは、また今日も会いに行けないわ」
膝に置いた編みかけのマフラーが目に映ります。
「――これができあがる頃には止むかしら……」
おじいさんが大好きだった萌葱色。その色のマフラーをそっと撫で、おばあさんはおじいさんを思います。
「安らかな眠りだったけど……」
おじいさんが亡くなったのは一ヶ月ほど前のことです。
「もうすぐ編み上がったのに……」
あまりにも呆気なくて、おばあさんは未だにおじいさんが生きているように思えて仕方がありません。
ぼんやりと萌葱色のマフラーを見つめ、もう一度外に目を遣り、眉を顰めます。
「おじいさんは寒いのが大の苦手だったのに……」
呟くおばあさんの脳裏に寒さに震えるおじいさんが浮かびます。
「大変! こうしてはいられないわ」
おばあさんは悲鳴のような声を上げると、大急ぎでまた手を動かし始めました。
おばあさんは窓の外に視線を向けると小さな溜息を吐きました。
「これでは、また今日も会いに行けないわ」
膝に置いた編みかけのマフラーが目に映ります。
「――これができあがる頃には止むかしら……」
おじいさんが大好きだった萌葱色。その色のマフラーをそっと撫で、おばあさんはおじいさんを思います。
「安らかな眠りだったけど……」
おじいさんが亡くなったのは一ヶ月ほど前のことです。
「もうすぐ編み上がったのに……」
あまりにも呆気なくて、おばあさんは未だにおじいさんが生きているように思えて仕方がありません。
ぼんやりと萌葱色のマフラーを見つめ、もう一度外に目を遣り、眉を顰めます。
「おじいさんは寒いのが大の苦手だったのに……」
呟くおばあさんの脳裏に寒さに震えるおじいさんが浮かびます。
「大変! こうしてはいられないわ」
おばあさんは悲鳴のような声を上げると、大急ぎでまた手を動かし始めました。
0
あなたにおすすめの小説
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
稀代の悪女は死してなお
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女は処刑されました。
しかし、彼女には思惑があるようで……?
悪女聖女物語、第2弾♪
タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……?
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
理想の王妃様
青空一夏
児童書・童話
公爵令嬢イライザはフィリップ第一王子とうまれたときから婚約している。
王子は幼いときから、面倒なことはイザベルにやらせていた。
王になっても、それは変わらず‥‥側妃とわがまま遊び放題!
で、そんな二人がどーなったか?
ざまぁ?ありです。
お気楽にお読みください。
転生妃は後宮学園でのんびりしたい~冷徹皇帝の胃袋掴んだら、なぜか溺愛ルート始まりました!?~
☆ほしい
児童書・童話
平凡な女子高生だった私・茉莉(まり)は、交通事故に遭い、目覚めると中華風異世界・彩雲国の後宮に住む“嫌われ者の妃”・麗霞(れいか)に転生していた!
麗霞は毒婦だと噂され、冷徹非情で有名な若き皇帝・暁からは見向きもされない最悪の状況。面倒な権力争いを避け、前世の知識を活かして、後宮の学園で美味しいお菓子でも作りのんびり過ごしたい…そう思っていたのに、気まぐれに献上した「プリン」が、甘いものに興味がないはずの皇帝の胃袋を掴んでしまった!
「…面白い。明日もこれを作れ」
それをきっかけに、なぜか暁がわからの好感度が急上昇! 嫉妬する他の妃たちからの嫌がらせも、持ち前の雑草魂と現代知識で次々解決! 平穏なスローライフを目指す、転生妃の爽快成り上がり後宮ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる