3 / 7
可愛いお客様
しおりを挟む
パチン。
薪が爆ぜる音におばあさんの手が止まります。
「雪が全ての音を飲み込んでいるみたい……」
静まり返った部屋の中で、おばあさんの耳に届くのは、コチコチと時を刻む鳩時計の音と時折爆ぜる薪の音だけでした。
「きっと外は凍えるような寒さでしょうね」
でも……とおばあさんが暖炉の火に目を遣ります。
「ここは春のように暖かいわ」
おばあさんが座るロッキングチェアは、暖炉の前にありました。
部屋には明かりが灯っていません。雪明かりとオレンジ色の温かな火の光だけです。
「――あら?」
手を動かそうとして、また止まります。
薪の爆ぜる音に加えて微かに鳴き声が聞こえたような気がしたからです。
顔を上げるとおばあさんは鼻の頭に乗った丸い眼鏡をクイッと上げ、耳を澄ましました。
「みゃー、みゃー」
幻聴ではないようです。か細い声が聞こえます。
「赤ちゃん? 子猫?」
そんな鳴き声です。
さらに耳を澄ますと……声はどうやら玄関の方から聞こえてくるようでした。
おばあさんは急いで椅子から立ち上がると、大慌てで飛んで行きました。そして、玄関のドアを開けた途端――。
「みゃー」
ハッキリと可愛い声が聞こえました。
「あらまぁ!」
おばあさんの目がまん丸になります。
小さな白猫が行儀良くお座りをして、おばあさんを見上げ「みゃー」と鳴いたからです。
まるで、『ごきげんよう』と挨拶をするかのように。
薪が爆ぜる音におばあさんの手が止まります。
「雪が全ての音を飲み込んでいるみたい……」
静まり返った部屋の中で、おばあさんの耳に届くのは、コチコチと時を刻む鳩時計の音と時折爆ぜる薪の音だけでした。
「きっと外は凍えるような寒さでしょうね」
でも……とおばあさんが暖炉の火に目を遣ります。
「ここは春のように暖かいわ」
おばあさんが座るロッキングチェアは、暖炉の前にありました。
部屋には明かりが灯っていません。雪明かりとオレンジ色の温かな火の光だけです。
「――あら?」
手を動かそうとして、また止まります。
薪の爆ぜる音に加えて微かに鳴き声が聞こえたような気がしたからです。
顔を上げるとおばあさんは鼻の頭に乗った丸い眼鏡をクイッと上げ、耳を澄ましました。
「みゃー、みゃー」
幻聴ではないようです。か細い声が聞こえます。
「赤ちゃん? 子猫?」
そんな鳴き声です。
さらに耳を澄ますと……声はどうやら玄関の方から聞こえてくるようでした。
おばあさんは急いで椅子から立ち上がると、大慌てで飛んで行きました。そして、玄関のドアを開けた途端――。
「みゃー」
ハッキリと可愛い声が聞こえました。
「あらまぁ!」
おばあさんの目がまん丸になります。
小さな白猫が行儀良くお座りをして、おばあさんを見上げ「みゃー」と鳴いたからです。
まるで、『ごきげんよう』と挨拶をするかのように。
0
あなたにおすすめの小説
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
黒地蔵
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
児童書・童話
友人と肝試しにやってきた中学一年生の少女・ましろは、誤って転倒した際に頭を打ち、人知れず幽体離脱してしまう。元に戻る方法もわからず孤独に怯える彼女のもとへ、たったひとり救いの手を差し伸べたのは、自らを『黒地蔵』と名乗る不思議な少年だった。黒地蔵というのは地元で有名な『呪いの地蔵』なのだが、果たしてこの少年を信じても良いのだろうか……。目には見えない真実をめぐる現代ファンタジー。
※表紙イラスト=ミカスケ様
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる