元・社畜とオーク ~コピースキルで【異世界行商】始めました~

たいよう一花

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05-3. ステータス開示 3

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 雪成――ユキナは、オークに開示された自分のステータスを、まじまじと覗き込んだ。秘匿(ひとく)スキルの表示が他人から見たらどのようになっているのか気になっていたのだが、その項目は一切見当たらない。ちゃんと隠されていた。

「うんうん、なるほど、なるほど。どうなってんのかわからんが、すごいなステータス。異世界だなぁ……」

「その様子だと、ユキナの世界にはステータス表示がないのだな?」

「ええ、ありません。ゲームの中にしか」

「遊びの中にはあるのか。つまり概念(がいねん)としては存在する」

「ええ、そうです。ステータスって客観的に見れて面白い反面、これ、実装されてると結構へこみますね。……まあ、俺の能力が劣っているのは自覚してたけど……」

「劣ってる? そうは思わんぞ。今は比較対象が俺しかいないから、おまえは誤解しているのだ。俺はオークだからな、人間とは生まれつき様々な面でかけ離れている。おまえの各項目の数値は、人間の平均値から見ればそれほど悪くないぞ」

「平均値って、どれぐらいなんですか?」

「一般的な成人男性なら、体力気力魔力の最大値は50~60あたり。力から魅力の項目は10前後が平均値だな。徳はかなりばらつきがあるため一概には言えんが、真っ当に生きている普通の人間で、だいたい20ぐらいかと。おまえの徳は38だから、普通よりかなり高いといえる。高いと言えば運の数値は桁外けたはずれだな。通常なら良くても5ぐらだから、おまえの100という数値は、尋常ではない。これほど高い数値を、俺は見たことがない。恐らく女神が幸運を授けた影響だろう」

(やっぱそうか。なるほど……。他の数値も、確かに悲観するほど悪くない。でも、体力なんかの数値は、お世辞にもいいとは言えないな……)

「これって、鍛えたら上がったりします? 毎日ランニングとかしたら、体力が上がったり?」

「もちろんだ。体力気力魔力は鍛錬次第で、ある程度まで伸ばすことができる。その他の数値も同様だが、鍛錬による上昇幅は、スキルの有無や生まれつきの特性に左右されるため、個体差が大きい。おまえが何かを伸ばしたいと思うなら、俺なら器用さに注目する。かなり良い数値だ。人間の平均値は10ぐらいだが、おまえは40だからな。鍛錬次第で更に上がる可能性が大いにある」

「器用さ……」

 人間関係やコミュニケーション能力が不器用だと自覚するユキナは、念のために質問してみた。

「この器用さって、手先の器用さですよね?」

「そうだ。何かを作る職人系の仕事に就いている者や、画家や演奏家、料理人などは、大抵、この器用さの数値が高い」

 そういえば料理は得意な方だ、とユキナは思ったが、まさか自分に人並み以上の能力があるとは意外だった。

「知らなかったなぁ……俺に優れた一面があるなんて……嬉しいなぁ……」

「うむ。ステータスは他者と比較して劣っている部分を嘆くのではなく、優れている面を一層伸ばすために活用するとよい」

 そう言ったオークの口調は優しく、ユキナは彼の為人(ひととなり)に好感を持った。
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