絶滅種のニンゲンに転生した俺は、獣人に買われて溺愛されてます

たいよう一花

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Chapter 1.極悪鬼畜研究所で絶体絶命の貞操危機(試し読み)

1-02 俺inワンダー異世界

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いったいどうしてこんなことになったのか、俺にはさっぱりわからない。
小説や漫画でよくある異世界転移とか、異世界転生なのか?
とにかく俺は突然、明らかに日本じゃない、この異世界で目を覚ました。

最初に視界に入ったのは、真っ白で無機質な部屋の、天井。
寝かされていたベッドの上で体を起こした俺は、人間とそれ以外の動物が混じったような、奇妙な人種に囲まれていた。

え……何?これ?
俺 in ワンダー異世界ランド的な、何か?!

俺が呆然としていると、黒いくちばしと翼を持つ、鳥人間みたいな生き物が話しかけてきた。

「大丈夫、怖くないよ。私の言っていること、わかりますか? わかるなら、首を上下に動かして、うなずいてください」

俺が頷くと、そいつは続けて言った。

「うん、聞き取りは問題ないようですね。認知機能を確認。培養中の基本言語ラーニングは、無事完了……っと」

鳥人間はそう言いながら、チェック表と見られる用紙を手に持ち、何かを書き込んでいる。
俺は口をポカンと開けて、そいつらを観察した。

動物人間?が6人。
ファンタジーRPGの世界かよ、というような眺めだ。
6人のうち5人は、人間に近い顔形をしているが、毛で覆われていたり、猫や兎を思わせる耳が付いていたり、側頭部に羊みたいな巻き角が付いていたりする。そしてあとの一人は、トカゲか蛇みたいな見た目だった。ゴツゴツした堅そうなうろこの肌をしている。
そこにいる者たちはいずれも二本足でまっすぐ立ち、白い服を着て、手指を器用に動かしながら何かの作業をしていた。

それらを茫然としながらただ眺めていると、最初に話しかけてきた鳥人間が手鏡を差し出しながら言った。

「はい、コレ、どうやって使うか、わかる?」

もちろんだ。
バカにしてるのか?

俺は、鏡を持ち鏡面を自分に向けて覗き込み――あまりの驚きに、言葉を失くした。
25歳のはずの俺が、高校生の時ぐらいの姿になっていたのだ!

まるで若返ったかのようだが、しばらくして、そうじゃないことに気付く。
一重で切れ長の細い目、薄い唇、日本人にありがちな、平凡なしょうゆ顔。その顔や身体的特徴は俺の数年前にそっくりだったが、微妙に違うところがあり、この体は本来の自分の体とは別物だという確信に至る。なぜなら高校生の時はニキビだらけだったのに、今の俺の肌はツヤツヤできれいだし、あったはずのホクロも無く、滑らかだ。ふと、むき出しの脚に視線を落とすと、子供の頃、遊んでいてザックリ切ったすねの傷跡も無い。

「え……嘘だろぉ……なんで?! どういうこと、コレ?!」

思わずそう呟くと、鳥人間が満足そうにニコニコしながら言った。

「鏡の使用目的も理解。その上、謎の言語らしきものを話している。これは珍しい。なかなか高い知能を持った個体のようだ」

「主任、どうします? 研究材料としてしばらく留め置きますか?」

「う~ん、もう6体、研究に回しているからねぇ……。維持費がかさむから、この『ドゥドゥ0801』は、研究費を稼ぐ方に回してみて、売れなかったら考えてみようか」

研究材料?! おいおいおいおいおいおい、ちょっと待て。俺が、研究材料?! そんでもって、売る?! 俺を、売る?! 冗談じゃない。何だってんだ、ここは?!
ハッ……!! これは夢か?! 俺はもしかして、悪い夢を見ているのか?!
毎日、生活費を稼ぐために疲れ切ってるもんな、残業残業でろくに睡眠も取れないし、貧乏で食費もけちっている。結果、体調も良いとは言えないし、変な夢を見てるのかもしれない。

俺はそう思って、わけが分からないなりに、とりあえず状況把握に乗り出した。

俺の名前は十茂坂ともさか優音ゆうと。25歳のしがない派遣労働者だ。24時間稼働の工場で、マシンオペレーターをしていた。ここに来る前の最後の記憶は、残業を終えて自転車で帰路に着き、安アパートに帰りついたところだ。うん、ちゃんと帰りついた、覚えてる。異世界物じゃ、トラックにかれるのはお約束だが、そんなものにかれた記憶は一切無い。というわけで、もしかすると俺は帰りついた途端、玄関先で意識を失って眠りこけているのかもしれない。

「くそぉっ、起きろ俺!! 起きろ、起きろ、起きろ!! 今すぐ目を覚ませ!!」

バシバシと平手で自分の頬を叩き始めた俺の手を、トカゲ人間が掴んで制止する。そしてあっという間に弾力のある拘束具で、俺の体をベッドに固定してしまった。

「放せ、やめろ!!」

興奮して叫び続ける俺に、鳥人間が優しく言った。

「大丈夫だから、暴れないで。拘束したのは、君が怪我するのを防ぐためだよ。ニンゲンは怪我をしたら、なかなか治らないから」

鳥人間の青い目が、キラキラと輝きながら俺を見つめている。
俺の視覚や聴覚、そして触覚が運んでくる感覚はとてもリアルで、これが夢の可能性を否定した。

……夢じゃないなら、じゃあこれは何だ?

「ふ、ふざけんなよ、おまえら……。俺を誘拐して、精巧な着ぐるみかぶって正体を隠し、おかしな研究してる秘密結社とかか?!」

最初思いついたのは、そういう展開だ。都市伝説的な、安っぽいホラーだかミステリーだか分からない展開。

しかし、そうじゃなかった。
そうじゃ、なかったんだ。

ここは、日本ですら、なかった。そんな国はどこにも無い。
ここは俺が生きていた世界とは全く違う世界だと、俺はこの後すぐに、知ることになる。
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