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アカズキン(狼×女主/狩人×女主/ヘタレ/擬人化/ロリ)
狼さん_2
しおりを挟む「えーっとライガ、ちょっといいかしら……?」
「どうした?」
「その、私のと……ううん、何でもない」
「なんでも答えるぞ? 良いのか?」
「う、うん! 大丈夫、有り難う」
ノエルの年齢を聞こうかと思ったが、もし自分の想定している年齢だった時、この後起こるかもしれないことに対する嫌悪感や罪悪感が大きくなりそうで、知りたくはあったが聞くのをやめた。この物語の結末まで耐えられたら、全てが終わった後に聞いてもいいだろう。
「ごめんね、ライガの話の続き、教えてくれる?」
「あぁ」
彼は街で暮らすには不便だから、最近は専ら人間の姿をしている。
ただ、やはり狼の姿の方が身体能力が高いため、目立たない夜や遠方、人の少ない場所の移動には此方を使うことが多いようだ。
真ん中の狼人間の姿は、人間には怖がられるし、人間の身体に耳や尻尾がついていて、ライガ曰く『カッコよくないから嫌』とのこと。但し、通常の人型よりも筋骨隆々でとても逞しく、長く分厚い尖った爪が武器みたいに見えるところは、高評価の対象だそうだ。
「……ふふっ。ライガは面白いね。それに、一緒にいると安心する」
「なっ、き、気のせいだ!」
また、赤くなってそっぽを向いた。
"ライガ、ノエルのこと好きなのかな?"
街に近付くと、手前の岩陰でライガは狼から人間に変身した。
狼から人間に変身しても、服を着ているのは御都合主義なのかもしれない。いきなり全裸になられなくて良かったと、の絵は胸を撫で下ろしていた。
「これで良し……と」
「……わぁ、カッコいい」
「なっ……! なんだよ、いつも見てるだろ!?」
「そ……それはそうだけど……! その! お、思い出せないから! それに、思ったことがちょっと口から出ちゃっただけなの!」
「……思ったこと……」
"しまった……!"
記憶がないと伝えて、ライガもそれに納得はしたが、ここだけ切り取ったらいつもノエルがライガのことをカッコいいと思っているように聞こえる。実際、ノイもそう思っているのかもしれないが、あまりベラベラと喋らない方が良さそうだ。
「あ! そうだ! ねぇ、ライガのお勧めのお店を教えて? 私達、一緒に街まで来たりはしないの?」
「あ、あぁ! えっと、そうだな。ノエルと一緒に入ったカフェ! ホラ、ノエルの母さんの姉さんの家に行った帰り、よく行ってたワッフルの美味しいお店! ……って、今言っても覚えてないんだよな……」
「……ごめんなさい。……そうだ! 今日、この後は用事あるのかしら? 良かったら、一緒に行かない?」
お使いの準備の際に、念のため中にお札とコインらしきものが入った、お財布っぽいものを一緒に用意しておいて良かったと思った。
「行こう! 俺一人で行くには、ちょっと入り辛いと思ってたんだ」
「じゃあ、約束ね」
私が何の気なしに小指を差し出すと、その小指にライガは自分の小指を絡ませた。
"……約束する時って、何処の世界も変わらないのかな?"
ニッコリ笑って指切りする。ライガはその後嬉しそうに、カフェの話をしてくれていた。その姿を見ていると、胸の奥がどんどんとむず痒くなってきた。
「着いたぞ。住所の場所は、そこの家だ。一人で行って、大丈夫か?」
「うーん、多分?」
「……心配だな」
「そう?」
「あぁ。何て言うか、言葉にするのは難しいけど」
「何かしらね?」
「ついていこうか? 俺も。おばさんは俺も知ってるし」
「ライガにあまり、迷惑をかけられないわ」
「別に、迷惑でもなんでもないぞ?」
「じゃ、いってきます!」
「……いってらっしゃい」
ノイはライガに手を振ると、母の姉の家をノックした。
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