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ハイカブリ(同居人×女主/王子×女主/複数/媚薬/歪/二穴)
消せない_1
しおりを挟む「あぁぁぁぁ! フレリア! 無事だったんだね!」
「あっ、おっ……お母様、ただいま……」
「ほんとに! 心配! したんだよ!」
「ご、ごめんなさい……」
「アンタが悪くないことは分かってるよ! 悪いのは全部あのボンクラバカ王子なんだよ!」
「ボ、ボンクラバカ王子……」
「そうだよ! ……本当に……本当に、無事で良かった……」
「お母様!?」
へなへなとその場に萎れるように座り込んだ母は、その両目いっぱいに涙を浮かべていた。
“こんなに、心配してくれたんだ……”
その姿を見て、シアも同じように涙を浮かべた。
「ごめんなさい、お母様。私も不用意に外を出歩くべきではなかったわ……」
「フレリア……」
シアは同じように膝を床へとつけると、フレリアの継母を両腕でそっと抱え込むように抱き締めた。
「お兄様達が来てくれなかったら、私……」
「良いんだ、良いんだよ、無事に戻ってきてくれたんだから、それで良いんだ」
「お母様、心配かけてごめんなさい。それに、心配してくれて、ありがとう。……この言い方が良いのかは分からないけど、その、この言葉しか浮かばなくて……」
ニコリ、と涙を浮かべた瞳で笑う。その姿を見て継母は強く抱きしめ返した。
“ねえ、フレリア……。貴女のお母様って、こんなに暖かいのね”
強く感じたぬくもりに目を閉じる。少しだけそのまま抱き締めた後、ゆっくりと身体を離した。
「フレリア、一度ぐっすり眠ると良い。怖い目に合って、心も辛いだろ? シア、ランス。悔しいけど、あたしゃこの後用事があって、一晩留守にしなきゃいけない」
「例の商人との会談ですか?」
「あぁ、そうだよ。なんせデカい取引だからね。穴を空けるわけにはいかないのさ」
「仕方ねぇよ。母さん。行ってきな、俺達がフレリアのことは見てるからさ」
「えぇ。ご心配なく」
「……親としては、こういう時こそついていてやりたいんだがね。ごめんよフレリア」
「大丈夫よお母様。お兄様達もいるし、お母様の気持ちは十分に伝わっているから」
「……分かったよ。今日は、ゆっくり風呂にでも使って、ぐっすり眠りな」
心配性の継母は、名残惜しそうに家を出た。残されたのは、兄と妹の三人――。
一度シャワーを浴び、身体に残っている気がする、王子の痕跡を消そうとした。洗ったからと言って、痕跡がすべて消えるわけではなかった。実際は消えているかもしれないが、そうは頭と心が認識しないのだ。……それに、触られたあの感覚。冷たく擦れた痕に、皮膚を這う生暖かい舌。ねっとりと絡みつくような声に、無機質な指の動き。
“ゴシゴシ拭いても、あの感覚は消えないのね……”
暗い顔でお風呂場から出てきたノイに、シアが声をかけた。
「お腹を満たしましょう」
晩のご飯はシアが用意し、グルグルと空腹を訴える胃を美味しい食事が満たしていった。
“美味しいものをお腹いっぱい食べるって、やっぱりどの世界でも幸せな行為ね……”
眠気に襲われるが、まだ眠るわけにはいかない。
「……私、もう一回お風呂に入ってくるわ」
「えぇ、行ってらっしゃい」
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