隣のあいつはSTK

どてら

文字の大きさ
12 / 13

社畜のひとり遊び

しおりを挟む
「咲也くんって一人でしたりしないの?」
何を? と聞けばナニをナニするやつだと答えられた。
「あ~オナニーか」
「ぼやかさないんだ」
一々恥ずかしがることでもないだろ、男なら普通だ。
「やってるぞ三日に一回ぐらい」
「えっ!? 僕それ見たことないんだけど」
あったら大問題なんだが。
「おかしいな.......咲也くんのことは余す所なくいつも観察してるはずなのに」
「気持ち悪っ」
それでも平然としている浅木。こいつメンタルどうなってるんだろう?

いい機会かもしれないな。俺は浅木に少し待つよう言ってから家中歩き回った。数分後浅木の待つ居間に戻ってくると手にしていた盗聴器や隠しカメラの残骸をテーブルにばらまいてやった。目を見開く浅木、いや驚きたいのは俺の方だよ!! いくつ仕掛けりゃ気が済むんだ。
「これ仕掛けてるのを全部把握してたの?」
「まぁな」
「ど、どうやって」
「普通に盗聴器発見機使った」
ストーカーされていると分かった時真っ先に買ったのがこれだった。
「分かってたのに外さなかったのかい?」
「外したら逆上して襲われるかもしれないだろ」
何言ってんだ。そう呆れてみれば唖然とする浅木。
「.......咲也くん君って実は馬鹿なの? じゃあこの半年間盗聴器ありで生活してたんだね、危機感どうなってるのさ? それとも僕に見て欲しかったのかな」
浅木が早口でまくし立ててくる。その様子に恐怖を抱き俺は思わずデコピンをかました。
「痛っ」
「悪い、何かお前変だったから」
「いつも通りじゃない?」
ある意味いつも通りだな。
「俺にだって聞かれたくない話とか盗撮されたら困るデーターとかあるんだよ、その為に場所把握してんの」
主に仕事関係のことだけど。ストーカーされてるのを黙認した挙句それが原因でデーター流出なんて騒ぎになったらクビだしな.......あれ? そっちの方がいいのか?
「そうだったんだね、咲也くんの一人エッチ見れなくて残念」
本当に悲しそうに肩を落とす浅木。
「そんなに落ち込まくても見せてやるぞ」
「えっ!?」
デッキからいつも使っているものを取り出す。
「はいこれAV、観たら返せよな」
「そんなことだろうと思ってたよ」
「あと盗聴器も返しとくからもう仕掛けたりすんなよ」
「それ没収されたらストーキング行為出来ないんだけど!?」
「俺はお前の通報を待ってやるとは言ったがストーキングを認めてやるなんて言ってねぇよ」
「あっ本当だ」
意外に抜けているらしい浅木の落ち度を指摘してやれば口を尖らせて文句を言い出した。
「僕からストーカー取ったらただのイケメンじゃないか」
「なら尚更そうしとけよ」
イケメンの方がストーカーより絶対印象いいぞ。
「ちぇ~どさくさに紛れて咲也くんの一人えっち見学するつもりだったのに」
「頭の中の欲垂れ流してんじゃねぇよ。お前に見られながらやっても興奮しねぇわ」
「なら試してみ」
「その手にも乗らない」
俺の身持ちの固さに屈服した浅木は両手を床につけながら嘆いていた。その体制を土下座に移されたって聞いてやるつもりは無い。
「まぁそれは咲也くんと付き合いだしてからのお楽しみに取っておくとして」
取っとくなよ、冥土の土産にするぞ。
「咲也くん僕と付き合う気ない?」
「お前この流れでよく言えたな」
ちなみに褒めてないので照れるなよ。
「僕優良物件だよ? 顔いいし」
「男だけどな」
「貯金もある」
「男だけどな」
「炊事洗濯はお手のもの」
「時々下着盗んで帰るけどな」
「好きな人には尽くすタイプだし」
「愛が重いし犯罪だけどな」
「絶対浮気しない」
「ストーキングはするけどな」
「ねぇ、僕のこと好きにならない? 幸せにするよ。毎日君のお世話してあげる」
浅木と付き合ったら俺の食生活や部屋の掃除は任せられるだろう。うーん。






「お前家政夫になる気ないか?」
「やっぱり手堅いな~」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...