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さいしゅうわ
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ロナ・マルアレア。ごく普通の男爵令嬢であった彼女は、突然その人生を終わらせた。ロナの容姿を気に入り、それを欲した魔法の国の人間ザガラの手によって。
ザガラは魔法の国で、可もなく不可もなくという程度の存在だった。ただ、異常なまでに、容姿に執着する人物だった。魔法で容姿は変えられる。けれど自分の魔力量では、一日などとても変身していられない。
そこでザガラは、両親から少しずつ気付かれないように魔力をもらうことにした。しかし、気付かれないようにするには、少量しか奪えない。年月が経てば、若さを維持することにもまた魔力が必要になる。
これがエスカレートしていき、ザガラはついに一線を越えてしまった。
魔法の国唯一の法を破った。
禁忌を犯したザガラは逃亡する。長い時間逃亡生活をしている故、捕まらない自分は優秀なのではないかと思い始めていた。それがジュエルたちの、ただの暇潰しであったとも知らずに。
ザガラの逃亡先の国は、知らぬ内に、魔法の国の覇王ジュエルに命運を委ねていたことになる。
そしてついに、ジュエルが暇潰しに飽きた。
それが、この国であった。
暇潰しに飽きたジュエルは、次の暇潰しを探している。
「第二王子だったか。おまえの望みをひとつ、叶えてやろう」
空気が、揺れる。
何ということだ。ギャレットにそんなことを言ったら、何が起こるかわからない。どんなとんでも発言をしやがるか想像も出来ない。これなら、ミレイが望みを口にしてくれた方が、比ぶべくもない。だが、今更ミレイが望みを口にすることは出来ないし、ギャレットを黙らせる術もない。ジュエルの発言を遮ることなど、誰にも出来ないのだ。
誰もが諦念する。やり残したことを考え、生き残る術を考え始めた。
「の、ぞみ?ああ、では」
ぼんやりする頭で、ギャレットはそう口にした。周囲は唇を噛みしめ、俯く。
「すまない、水を一杯、もらえるだろうか」
会場中が静まり返った。
「水?」
「ああ。ちょっと、喉が渇いて」
ジュエルが聞き返すと、ギャレットは喉を押さえながらそう答えた。
会場中が熱気に包まれた。
第二王子万歳、ありがとう、バカでありがとう!
そんな拍手喝采に見舞われた。
のだが。
「おい。誰に口を利いているんだ、貴様」
カイン様がご立腹でした。
この後、お腹いっぱい気を失うまでお水をいただいたギャレット殿下は、お風呂を怖がり、側仕えに容赦なく気絶させられてお風呂を済ませるようになるのですが、それはまた別のお話しでございます。
*~*~*~*~*
「なあ、カイン。次はどんな暇潰しをしようか」
足下には、先程まで遊んでいた国がある。その形がわかるほど上空で、ジュエルとカインは空中散歩を楽しんでいる。
結局この国に悪戯は出来なかったが、結構楽しめたので良しとする。
「あなた様のお心のままに」
深く頭を下げるカインに、ジュエルは目を細めた。
「ふうん?私の、ねえ」
ジュエルはカインを覗き込む。
「では、暇潰しは後で考えるとして、また、子作りに励もうか」
カインは真っ赤になってジュエルから距離をとる。が、失敗。素早くその手を掴まれ、その胸に引き寄せられる。
「あ、あ、あの、あ」
唇を、なぞられる。妖艶に微笑むジュエルの顔が近付く。
カインに抗う術は、ない。
「んっ」
魔力の強い者は、子どもが出来にくい。その魔力により、永い時を生きることが出来るため、子孫を残しにくくなるのだ。ジュエルとカインは魔法の国の一位と二位。
かなり頑張ったが、子どもはまだ出来ていない。
ただ、ジュエルにとって、子どもはついでのようなものだった。
ジュエルはカインのすべてが欲しい。
ただ、それだけだから。
*おしまい*
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
全員クセが強くて、今一主役のわからない話ですみません。
作者的にはカインが主役かな、と思うのですが、ギャレットかも。いや、ジュエル?ミレイ?大穴でウィラント?やっぱりどれも甲乙つけがたい主役級の人物たちです。
いろいろわかりづらかったかもしれませんが、優しくご指摘いただけると、そっと直しているやもしれません。
このあと番外編をいくつかお届けいたします。
よろしかったらお付き合いください。
ザガラは魔法の国で、可もなく不可もなくという程度の存在だった。ただ、異常なまでに、容姿に執着する人物だった。魔法で容姿は変えられる。けれど自分の魔力量では、一日などとても変身していられない。
そこでザガラは、両親から少しずつ気付かれないように魔力をもらうことにした。しかし、気付かれないようにするには、少量しか奪えない。年月が経てば、若さを維持することにもまた魔力が必要になる。
これがエスカレートしていき、ザガラはついに一線を越えてしまった。
魔法の国唯一の法を破った。
禁忌を犯したザガラは逃亡する。長い時間逃亡生活をしている故、捕まらない自分は優秀なのではないかと思い始めていた。それがジュエルたちの、ただの暇潰しであったとも知らずに。
ザガラの逃亡先の国は、知らぬ内に、魔法の国の覇王ジュエルに命運を委ねていたことになる。
そしてついに、ジュエルが暇潰しに飽きた。
それが、この国であった。
暇潰しに飽きたジュエルは、次の暇潰しを探している。
「第二王子だったか。おまえの望みをひとつ、叶えてやろう」
空気が、揺れる。
何ということだ。ギャレットにそんなことを言ったら、何が起こるかわからない。どんなとんでも発言をしやがるか想像も出来ない。これなら、ミレイが望みを口にしてくれた方が、比ぶべくもない。だが、今更ミレイが望みを口にすることは出来ないし、ギャレットを黙らせる術もない。ジュエルの発言を遮ることなど、誰にも出来ないのだ。
誰もが諦念する。やり残したことを考え、生き残る術を考え始めた。
「の、ぞみ?ああ、では」
ぼんやりする頭で、ギャレットはそう口にした。周囲は唇を噛みしめ、俯く。
「すまない、水を一杯、もらえるだろうか」
会場中が静まり返った。
「水?」
「ああ。ちょっと、喉が渇いて」
ジュエルが聞き返すと、ギャレットは喉を押さえながらそう答えた。
会場中が熱気に包まれた。
第二王子万歳、ありがとう、バカでありがとう!
そんな拍手喝采に見舞われた。
のだが。
「おい。誰に口を利いているんだ、貴様」
カイン様がご立腹でした。
この後、お腹いっぱい気を失うまでお水をいただいたギャレット殿下は、お風呂を怖がり、側仕えに容赦なく気絶させられてお風呂を済ませるようになるのですが、それはまた別のお話しでございます。
*~*~*~*~*
「なあ、カイン。次はどんな暇潰しをしようか」
足下には、先程まで遊んでいた国がある。その形がわかるほど上空で、ジュエルとカインは空中散歩を楽しんでいる。
結局この国に悪戯は出来なかったが、結構楽しめたので良しとする。
「あなた様のお心のままに」
深く頭を下げるカインに、ジュエルは目を細めた。
「ふうん?私の、ねえ」
ジュエルはカインを覗き込む。
「では、暇潰しは後で考えるとして、また、子作りに励もうか」
カインは真っ赤になってジュエルから距離をとる。が、失敗。素早くその手を掴まれ、その胸に引き寄せられる。
「あ、あ、あの、あ」
唇を、なぞられる。妖艶に微笑むジュエルの顔が近付く。
カインに抗う術は、ない。
「んっ」
魔力の強い者は、子どもが出来にくい。その魔力により、永い時を生きることが出来るため、子孫を残しにくくなるのだ。ジュエルとカインは魔法の国の一位と二位。
かなり頑張ったが、子どもはまだ出来ていない。
ただ、ジュエルにとって、子どもはついでのようなものだった。
ジュエルはカインのすべてが欲しい。
ただ、それだけだから。
*おしまい*
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。
全員クセが強くて、今一主役のわからない話ですみません。
作者的にはカインが主役かな、と思うのですが、ギャレットかも。いや、ジュエル?ミレイ?大穴でウィラント?やっぱりどれも甲乙つけがたい主役級の人物たちです。
いろいろわかりづらかったかもしれませんが、優しくご指摘いただけると、そっと直しているやもしれません。
このあと番外編をいくつかお届けいたします。
よろしかったらお付き合いください。
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