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私のために争わないでー
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「その頭を踏みつけたら拷問する?」
あざとく可愛い感じで聞いてみた。
「いいえ、絶対にそんなこといたしません!あなた様のお気が済むならどうぞ踏みつけてくださって構いません!」
念のため聞いてみたらこれだよ。だったら踏んでやる義理などない。マジで役に立たねぇな。アザトカワイイを返せ。
「ずるい!ずるいです殿下!ガーディニー嬢!踏むなら私を!」
「いいえ、サファイア様!これからの私たちの未来のために私にその祝福をお与えください!」
「うわああああああ!!」
舞い戻って来たホストにビビりすぎて、令嬢にあるまじき叫び声を上げながら、隠れマッチョの頭を咄嗟に掴んでホストの頭に叩きつけた。
「「ありがとうございます!!」」
二人はくらくらしながら私に礼を述べた。解せぬ。
「貴様!ガーディニー嬢を尊い御名で呼ぶとは!極刑に値する!」
「あなたには関係ないでしょう!私たちの間に入らないでいただきたい!」
「私たちぃ?!ふざけるな!もう我慢ならん!!」
「おまえたち落ち着け!ここは学園だ!」
「何ですか!殿下も殿下ですよ!天使呼びした挙げ句、ちゃっかり踏んでいただこうとするなんて!」
「一緒にするな!そんなことに悦びなど覚えん!」
三人の様子を少し遠巻きに見ていた娘さんたち。
「男性に囲まれる方は、サファイア様以外見たことがございませんのよねぇ」
「男性に限らず、ですけれど。性別問わず人に囲まれているらっしゃる方は、サファイア様だけですわよねぇ」
「まあ、権力を笠に着た何人かのご令嬢が、数人を従えている場面は時々見かけますが」
「それは、お慕いになって、というものではなさそうですものねぇ」
「本当、不思議な方ですわ、サファイア様は」
「鬼畜令嬢。うふふ。これほど似合わない呼び名をつけられるなんて」
「本当に。きっと、サファイア様を取られたくないどなたかが、サファイア様に近付かせないために撒いた噂なのでしょう」
サファイアのやっていることは本当に鬼畜なのだが、娘さんたちには特殊フィルターがかかっているため、サファイアの行動すべてが正当化される。
「サファイア様と生涯を共に出来る殿方は、本当に羨ましいですわねえ」
まだ見ぬ未来に思いを馳せ、どこまでも青い春の空を、みんなが見上げて微笑んだ。
………
……
…
「ガーディニー嬢は、何故サーティスにあれほど過剰な反応をするのだ?」
隠れマッチョをブン回してホスト野郎を学園の外にホームランしてやり、這々の体で教室に辿り着く。
「わかりません。ですが、ああいうホスト感が本能的にダメなようです」
「ホスト?何か主催でもしているのか?」
詐欺が椅子を引いてくれたので遠慮なく座る。隠れマッチョが持ってくれていた私の鞄を、国宝でも扱うようにそっと机の上に置いた。
「そういう意味ではありません。とにかくああいう男がホストなのだと認識なさいませ」
「よくわかりませんが、わかりました。ガーディニー嬢に近付けないようにいたします」
隠れマッチョが騎士の最上級の礼を取る。何て頼もしい。その隠された筋肉で殴ってくれれば、この胸の不快感がスッキリしそう。
「ありがとう、ありがとう隠れマッチョ様。お礼にわたくしを殴ってもよくてよ」
「リードがそこまで日頃の恨みを溜めていると思っているなら、もっと行動を改善すべきではないかな」
「ガーディニー嬢を殴るなど!ですがその尊い細腕で私を殴ってくださるなら、恐悦至極に存じますっ」
何で私が喜ばせないといけないんだ。あ、お礼だからか。
*最終話につづく*
あざとく可愛い感じで聞いてみた。
「いいえ、絶対にそんなこといたしません!あなた様のお気が済むならどうぞ踏みつけてくださって構いません!」
念のため聞いてみたらこれだよ。だったら踏んでやる義理などない。マジで役に立たねぇな。アザトカワイイを返せ。
「ずるい!ずるいです殿下!ガーディニー嬢!踏むなら私を!」
「いいえ、サファイア様!これからの私たちの未来のために私にその祝福をお与えください!」
「うわああああああ!!」
舞い戻って来たホストにビビりすぎて、令嬢にあるまじき叫び声を上げながら、隠れマッチョの頭を咄嗟に掴んでホストの頭に叩きつけた。
「「ありがとうございます!!」」
二人はくらくらしながら私に礼を述べた。解せぬ。
「貴様!ガーディニー嬢を尊い御名で呼ぶとは!極刑に値する!」
「あなたには関係ないでしょう!私たちの間に入らないでいただきたい!」
「私たちぃ?!ふざけるな!もう我慢ならん!!」
「おまえたち落ち着け!ここは学園だ!」
「何ですか!殿下も殿下ですよ!天使呼びした挙げ句、ちゃっかり踏んでいただこうとするなんて!」
「一緒にするな!そんなことに悦びなど覚えん!」
三人の様子を少し遠巻きに見ていた娘さんたち。
「男性に囲まれる方は、サファイア様以外見たことがございませんのよねぇ」
「男性に限らず、ですけれど。性別問わず人に囲まれているらっしゃる方は、サファイア様だけですわよねぇ」
「まあ、権力を笠に着た何人かのご令嬢が、数人を従えている場面は時々見かけますが」
「それは、お慕いになって、というものではなさそうですものねぇ」
「本当、不思議な方ですわ、サファイア様は」
「鬼畜令嬢。うふふ。これほど似合わない呼び名をつけられるなんて」
「本当に。きっと、サファイア様を取られたくないどなたかが、サファイア様に近付かせないために撒いた噂なのでしょう」
サファイアのやっていることは本当に鬼畜なのだが、娘さんたちには特殊フィルターがかかっているため、サファイアの行動すべてが正当化される。
「サファイア様と生涯を共に出来る殿方は、本当に羨ましいですわねえ」
まだ見ぬ未来に思いを馳せ、どこまでも青い春の空を、みんなが見上げて微笑んだ。
………
……
…
「ガーディニー嬢は、何故サーティスにあれほど過剰な反応をするのだ?」
隠れマッチョをブン回してホスト野郎を学園の外にホームランしてやり、這々の体で教室に辿り着く。
「わかりません。ですが、ああいうホスト感が本能的にダメなようです」
「ホスト?何か主催でもしているのか?」
詐欺が椅子を引いてくれたので遠慮なく座る。隠れマッチョが持ってくれていた私の鞄を、国宝でも扱うようにそっと机の上に置いた。
「そういう意味ではありません。とにかくああいう男がホストなのだと認識なさいませ」
「よくわかりませんが、わかりました。ガーディニー嬢に近付けないようにいたします」
隠れマッチョが騎士の最上級の礼を取る。何て頼もしい。その隠された筋肉で殴ってくれれば、この胸の不快感がスッキリしそう。
「ありがとう、ありがとう隠れマッチョ様。お礼にわたくしを殴ってもよくてよ」
「リードがそこまで日頃の恨みを溜めていると思っているなら、もっと行動を改善すべきではないかな」
「ガーディニー嬢を殴るなど!ですがその尊い細腕で私を殴ってくださるなら、恐悦至極に存じますっ」
何で私が喜ばせないといけないんだ。あ、お礼だからか。
*最終話につづく*
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