転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

169話 フィオナと魔法

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「うーん、でもフィオナのためだし……いやいや、余計にこじれる可能性もあるしな……。」レイニーは苦笑いを浮かべながら、頭を掻く仕草を見せた。思考は堂々巡りで、具体的な行動には移せそうにない。

 フィオナのことを思い、彼女の寂しそうな顔がふと頭に浮かぶ。「……どうすればいいかな。」と、心の中で呟く。セリーナ王女に頼むべきか、それとも別の方法を模索するべきか――レイニーの心は揺れ続けるのだった。

「ねぇ、レイニーくん、どうしてそんなぼんやりしてるの?」フィオナは少し得意げな笑顔を浮かべながら、胸を張り堂々と続けた。「実はねっ、わたし……魔法、ちょっと上手くなったの! すごいでしょ!」

 その表情には自信が溢れており、どことなく褒めてもらいたい気持ちも見え隠れしていた。彼女の透き通るブルーの瞳がきらりと輝き、無邪気な喜びが彼女らしさを際立たせている。

 レイニーはその様子を見て思わず微笑みながら、「へぇー、そうなのっ!? どれくらい上手くなったんだろぉ?」と興味を示した。

 フィオナはさらに胸を張りながら、「ファイアショットが、すごーく上手になったんだからっ! 今度見せてあげるね!」と嬉しそうに付け加えた。その声には期待と誇らしさが込められており、彼女の努力を感じさせるものだった。

「それは楽しみだなぁ。フィオナ、頑張ったんだなー。」レイニーが笑顔でそう言うと、フィオナは頬を少し染めながら、「ふふん、でしょ? ちゃんと褒めてくれていいんだよー。」と軽く拗ねるように付け加えた。

 フィオナの無邪気な態度と、自分をアピールする仕草に思わず和やかな空気が広がる。その可愛らしいやり取りに、レイニーの心は自然と温かさに包まれていた。

「そんなに頑張ったんなら、今すぐにでも見てみたいなぁ♪ あ、でも……フィーは忙しいから難しいよねぇ。」レイニーが冗談めかしてそう言うと、周囲の従者たちが困ったような顔をしながら見守っていた。一方で、フィオナ本人は嬉しそうに微笑み、キラキラと輝く瞳でこちらを見ている。

「わっ、ほんと!? 見せてもいいの? あのね、近くの丘にね~、低級の魔物が現れる場所があるんだよ。行こっ!」フィオナは弾むような声でそう言いながら、勢いよくレイニーの手を握りしめ、立ち上がった。その無邪気な行動に一瞬驚いたが、すぐに彼女の楽しそうな様子に引き込まれる。

 しかし、従者たちは即座にフィオナを止めようと前に出た。「フィオナ様、そのような場所へ行かれるのは……!」

 だが、フィオナは毅然とした態度で彼らを見つめ、冷静な口調で言い放った。「……なに? わたし、レイニーくんと久しぶりに会えたのよ。それより大事なことなんてあるの? 邪魔する気なの!?」その言葉には鋭さと温かさが入り混じっていて、彼女の中でレイニーがどれほど特別な存在であるのかが伝わってくる。

 従者たちは彼女の強い意志を感じ取り、何も言い返せずに一歩引き下がった。その様子を見たフィオナは得意げな表情を浮かべながら、再びレイニーに向き直った。「さ、行きましょ! 魔法の成果を見てもらうのが楽しみなんだから!」と、無邪気な笑顔を浮かべるその姿は、普段の毅然とした王女の姿とはまた違う一面を見せていた。

 フィオナがしっかりとレイニーの手を握り、その瞳には嬉しさと期待が溢れていた。そんなフィオナの表情を見たレイニーも、自然と微笑みがこぼれる。彼女に寄り添われる形で、二人は馬車に乗り込んだ。

 フィオナからは甘い良い香りが漂ってくる。その香りはどこか懐かしく、心を癒してくれるような香りだった。遠い昔に匂いを嗅いだような……

 城に残された衛兵や職員たちは、その場面を目撃し、思わず二度見してしまう。冷たく素っ気ない態度を見せることが常だったフィオナが、これほどまでに愛嬌のある表情を浮かべている姿は、誰にとっても驚きの光景だった。

「……フィオナ様がこんな表情をするなんて……。」衛兵の一人が驚きの声を漏らしながら、信じられない様子で仲間に視線を交わした。

 馬車の中では、フィオナがまだレイニーの手を離さず、どこか誇らしげな様子で話し続けている。「今日は楽しい一日になりそうね!レイニーくんと一緒だと、いつもよりずっと素敵だもの!」と、無邪気な声で嬉しさを表現する。

 そんな彼女の様子にレイニーは少し照れながらも、その純粋な気持ちを受け止める。「……フィオナ、本当に嬉しそうだな。」彼は心の中で呟きつつも、その場の和やかな空気に安らぎを感じていた。

 それにしても……厳重というか重々しい護衛の数だなぁ。俺とはまるで違う。俺なんか、ほぼ放置状態で、護衛が一人つけば良いほうなんだよな……。まあ、王位継承順位が第3位だし、男だから軽視されてるのかもしれないけど。

 そんなことを考えながらふと気になり、「フィーの兄弟って?」と何気なく尋ねてみた。フィオナは少し首を傾げながら、「うん? わたし? わたしは一人っ子だよ?」とサラッと答えた。その言葉を聞いて、驚くべき事実を知った。
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