転生したら王族だった

みみっく

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第三章 ‐ 戦争の影

171話 フィオナの魔法の実力

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 フィオナの瞳は真剣そのもので、彼女の一挙手一投足が堂々としている。普段の柔らかな一面とは打って変わり、魔法の訓練の成果を示そうという強い意志が感じられる。その姿を見て、レイニーは彼女の成長を実感しながら静かに頷き、次の展開に期待を寄せた。
 
 林の中からガサガサという音がさらに大きくなり、ついに動物型の魔物がその姿を現した。鋭い爪と赤く光る目を持つその魔物は、低く唸り声を上げながらこちらを見据えている。

 フィオナは魔物であることを確認すると、迷いなく手を構え直した。ふんわりと輝く彼女の体からさらに強い魔力が放たれ、手の中に浮かぶ小さな火球は徐々に熱と光を増していく。彼女の金髪が軽やかに揺れ、ドレスの裾が風を受けてふわりと舞った。

『ファイアショット!』フィオナが力強い声で詠唱を終えると同時に、彼女の手の中の火球が一直線に放たれた。鮮やかな赤の軌跡を描きながら、その火球は魔物へと真っ直ぐに向かっていく。 

 火球が命中すると、爆発音と共に魔物が後退し、火の粉が辺りに舞い上がった。フィオナの瞳が一層輝きを増し、自信に満ちた表情を浮かべているのがわかる。「どう? わたし、結構上手くなったでしょ!」と、少し息を弾ませながらも誇らしげにレイニーへと振り返る。

 レイニーはその姿に目を細め、「確かに、すごいなぁ! しっかり仕留めたねぇ~♪」と穏やかな笑みを返しながら彼女を褒めた。

 フィオナは満面の笑みを浮かべて「ふふーんっ♪ わたし、がんばったもん! もっと褒めてくれてもいいんだよー、ねぇ~?」と言いながら、無邪気な仕草でレイニーの腕を軽く掴んできた。声には甘えるような調子が混ざっていて、その瞳は期待に満ちている。

 彼女の柔らかな金髪が微かに揺れ、その無邪気で純粋な笑顔に、周りの空気がふっと和らぐのを感じた。普段は毅然としている彼女だけに、こういった無邪気な一面がいっそう愛らしく映る。

「はいはい、よく頑張ったな、フィー。」と、レイニーは少し照れながらも優しく声をかける。するとフィオナはさらに満足げな顔をしながら、「ふふっ、もっと言ってもいいのよ! 本当にすごいって~!」と胸を張り、ますます得意気な態度を見せた。

 その無邪気な様子にレイニーは思わず苦笑しながらも、彼女の努力を改めて認め、「本当にすごいよ、フィー。こんなに成長してるなんて思わなかったな~。」と穏やかな声で伝える。するとフィオナは一層嬉しそうに笑顔を浮かべ、その瞳はさらなる自信に輝いていた。

「えへへっ。レイニーくんと会えなかった間ね、わたし、一生懸命魔法の練習をしてたんだよ!」フィオナは満面の笑顔でレイニーに語りかけながら、その瞳には嬉しさと誇らしさが輝いていた。「それにね、レイニーくんが魔法に興味あるって言ってたから……もっと一緒に話せるようにと思って、勉強も頑張ったんだぁ!」と、無邪気な声を弾ませながら続けた。

 彼女の言葉を聞いて、レイニーは思わず驚いたような表情を浮かべた。「そんなことまでしてくれてたのか……フィー、本当にすごいな。」と優しい声で答えると、フィオナはさらに嬉しそうに顔を輝かせた。

「ふふんっ、レイニーくんに褒めてもらえるなんて嬉しい!だからね、もっともっと頑張るんだよ。次はもっとすごい魔法を見せてあげるからね!」フィオナは得意気に胸を張りながら、無邪気な笑顔を浮かべている。

 その後も、林の中に入ることなく、丘の上から安全に魔物の討伐――というよりは、魔法の練習を続けていた。フィオナは林から次々と現れる低級の魔物を相手に、魔法の腕を磨いていく。火球を発生させるたびに自信に満ちた笑みを浮かべ、その姿はどこか誇らしげだった。

「これでどう! ファイアショット!」と元気よく詠唱し、放たれた火球が見事に魔物を撃退するたび、フィオナは満足そうに胸を張る。その様子を見ていたレイニーは、彼女の成長を実感しつつも、時折アドバイスを交えながら優しく見守っていた。

 護衛や従者たちは、万が一に備えて周囲を警戒しつつも、フィオナの楽しそうな表情に驚きを隠せない様子だった。「フィオナ様がこんなに積極的に魔法を使われるなんて……」と小声で話し合う姿も見受けられる。

 フィオナの努力と情熱が紡ぎ出す穏やかなひとときが流れる中、場の空気を切り裂くように、重々しい魔物のうめき声とは異なる威嚇するような低い声が響いてきた。音の方向に目を向けると、林の奥から鋭い気配が漂ってくるのがわかる。

 レイニーは軽く眉をひそめながらその方向を見据えた。「……多分、縄張りを荒らされたと思っているのかもしれないな。」心の中でそう呟きつつ、警戒を強める。

 一方で、フィオナはその声に反応しつつも、怯える様子はまるで見せない。むしろ興味深そうに視線を送りながら、「今の、なんの声だろう? もっと強い魔物が出てきたのかな!」と小さく呟いた。その瞳には緊張感と同時にどこか期待が混ざっている。
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