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第二章
Ⅳ
しおりを挟む「…え?」
「僕たちはいわば、妹さんが死んだ原因だ。
この度は本当に申し訳ない。」
兄さんと立ち上がり、頭を下げる。
「…帰ってください。」
…予想の範囲内の反応。
「…謝って済む話じゃないよね。」
「謝りに来てくださったのは分かりました。
でももう紅はいません。
謝る相手は私じゃないでしょう。」
少しずつ、口調が早くなっている。
「何で妹が死ななきゃならなかったんですか。
そちらの勝手な殺しあいで、何で私の妹が。
死ぬなら勝手に死になさいよ。
紅を撃ったやつも!こんなこと始めたやつも!
何で、何で…」
混乱し始めている。
辛そうで、見ていられなくなった。
「おい」
思わず声をかける。
「何ですか。勝手に死ねっていったことにお怒りですか。関係のない私の妹は死んだのに?!
あなた達の仲間が紅を撃った訳じゃない。
撃ったやつはとっくの昔に自分の国に帰ってる!」
「……」
彼女の怒りに、何もいえない。
…初めてあったとき、若いのに落ち着いている女だと思った。
「もう、訳がわからない…
お願い、帰って…」
すすり泣く彼女に手が伸びそうになる。
でも、手を伸ばしたところでどうすればいいのか。
「…龍海、帰ろうか。」
兄さんに声をかけられる。
「…ああ。」
「翠さん、今日は帰るよ。
こんなことになってしまった責任が、僕たちにはある。
力になれることは、なんでもするから。」
「……」
部屋を出る前に、もう一度振り返る。
彼女の瞳はまた真っ黒になって、涙を流しながらカーペットを見つめていた。
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