ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

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59 ダチョウって好戦的

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どでかいダチョウとターキーとの対戦。
流星錘が役に立ってる。

とにかく敵が突進してくる。

ドラゴンパピーの革で編んだひもは、簡単に鳥の足に絡んでくれる。

丈夫だし。

倒したら、反撃を気にせず頭を抱える。

ミスリルナイフで、猟奇的にがすがす刺しまくる。

32階で流星錘を利用してダチョウ、ターキーで計8体。

33階では、一回り大きくなった鳥たちを同じく8体とらえた。

頭しか狙わないから、素材は意外にもきれいだ。

「「等価交換」ゼロだから、それなりの経験値は得たかな」

ただ燃費が悪い・・

「等価交換」を使わないと、とにかく魔物からダメージを食らう。

戦いが1度終わるたび、テーブル1枚分くらいの材木を消費している。

肌はまたしても木目調だ。

思っていた以上に等価交換用の材料が残り少ない。

鳥のストックが大量にあるが、冒険者ランクを上げるためにも、獲物の消費は最小限にしたい。

35階。そろそろ、休憩したい。この階にあるセーフティーゾーンに向かった。


ドラゴンダンジョンの反省を生かし、休めるときはしっかり休む。

気持ちを変えるために、貴重なパンケーキを買った。

「孤独なティータイムとしゃれこむか・・。あちゃあ」

そこだけ人造のような、石で囲まれたようなスペース。そして滑らかな床。

それがセーフティーゾーン。

やっと見つけたが、宿屋で見た女性貴族の一行がいた。

関わらない。

私の場合、危険ゾーンでも何時間でも待っていられる。

彼らが立ち去るまで休もうと思って、草原に座った。

もちろん向こうも、こちらに気付いている。

貴族からの距離は150メートル。

20分くらいしたら、女性貴族の一団が出発の準備を始めた。

だが、護衛の長身女性1人が剣を持って走ってきた。

「え、なに?」

思わず女性に身構えると、背中に衝撃を受けた。

どんっ。「うわっ。なに?」

『超回復』

前に3回転して起き上がると、後ろに魔物。

3・5メートルのダチョウが2羽、ターキー2羽が、襲いかかってきていた。

「ラッキー。追加の獲物だ」

まずは、間引き。身長は、たまたま20センチ減。

左側から襲いかかってきたダチョウの攻撃に合わせ、頭にタッチ。

「等価交換」ぱちっ。

体に対し、ダチョウの頭は小さい。

頭の中身、吸い付くされて、ダチョウばったり。

「これは多分私の貢献度ゼロ。もったいないけど、しゃあないか」

「もう1羽を倒したの? とにかく助太刀するわ!」

どうやら剣を持って走ってきた護衛は、助けに来てくれたようだ。

Tシャツにズボン、ブーツという装備前の格好で、ダチョウに飛び掛かった。

そして、彼女はカウンターでダチョウの頭突きを食らった。

げしゃっ! 彼女は吹き飛んだ。


「えええ?やばっ」

慌て私は、ナイフを出して久々の切腹。

護衛女性に追撃を加えようとしたダチョウの頭に「等価交換」

ターキー2羽も、同じ手順でとりあえず無力化した。

「エイミー、しっかりして!」

かけつけた護衛仲間が彼女を寝かせたが、悲惨。

ダチョウに頭突きを食らった顔面は、鼻が右に曲がり、頬が陥没している。

「うわ。貴族に見せたくないけど、しゃーない」

エイミーさんの方に向かい、彼女の仲間の怒鳴り声も無視。

エイミーさんの顔を両手でつつんで唱えた。

「気功回復!」

マルタを治したときと名前が違っている気がする。

まあ、そもそもが『超回復』だ。細かなことは気にしない。

そのまま脱出しようとしたが、エイミーさん以上のガタイをした2人に肩をつかまれた。

「貴族家の人よね。私、貴族には嫌な印象しかないから、離さないと暴れるわよ」

「危害を加えるつもりはない。礼がしたいんだ、待ってくれないか」

「エイミーさんは、この人は私を助けようとして怪我を負った。だけど、私の緩い気功術で全快したから、軽傷だったのよ」

「いやいやいや、エイミー死にかけてた。頼むから少し待ってくれ」

これが私の弱点でもある。

ダンジョンに潜る前にやり合った貴族の護衛みたいな奴ら。
あんなのなら「等価交換」で、どうにでもできる。

だけど、こういう善人っぽい人間に振りほどくときが困る。

相手を壊す『超回復』関連の技能が使えない。

もちろん、純粋な力では彼女達にかなわない。

「・・逃げないから、離して」

「うん」

意外とすんなり離してくれたが、私の警戒度はマックスだ。

着飾った女が接近している。

「そこの女、あなたは回復スキルが使えるのね」

上から目線の時代遅れ貴族。

すでにアウトです。

私がカナワの街を出る原因になった、カスガ男爵家のワルダーを思い出す。

「返事をしなさい」

「・・お姉さんがた、その馬鹿女と話をさせるために、私を呼び止めた訳じゃないよね」

「馬鹿女?」

「あなたに何も話す義理はない」

「数日前にオルシマの街で、我がルシア男爵家の人間が捕まったわ。その時にいた女が回復スキルを使ったと聞いてる。・・あなたよね」

「ああ、人を轢いて逃げた御者と、護衛は普通に捕まるよね。私と関係ないよ」

「馬車に乗っていた私まで、父から謹慎を言い渡されたわ」

「なら私に感謝しなよ。被害者の女性を私が治さなかったら、殺人犯の仲間だったわよ、あなた」

「うるさい!黙って従いなさい」

お嬢様は剣を抜いた。

従者はまともだが、主人は阿呆なパターン。

全員を「等価交換」で再起不能にして放っておくのがベスト。

だけど、そこまで憎い相手でもない。

困ってるうちに、向こうは臨戦態勢に入っている。
    
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