ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

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60 剣姫アイリーン戦

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そんなに対人戦の経験があるわけではないが、初めてのパターンだ。

敵、そうでない人が入り交じった一団。

そして、集団のトップが剣を抜いている。

「・・お嬢様、剣を収めるなら今よ。私が鳥4羽を無力化するとこを見たでしょ」

「ふふん。「剣姫」のスキルを持つこのアイリーン様に、あんな力任せの技は通じないわ。安心しなさい、護衛には手を出させない。私が勝ったら、奴隷ね」

「護衛の人たち、止めないの?」
「い、いや・・」

「手を出さないなら、殺さない。死ぬのは、お嬢様だけね」

右手にビス付き手甲をはめた。

「ほざけ!」

沸点が低いお嬢様が、すごいスピードで踏み込んできた。

だけど氷のシクルに比べると遅い。

剣筋が見えなくても、体の軌道が分かる限り、私の勝ち。

私は、タイミングが分かれば勝てる。

私の右パンチはかわされた。左腕を狙ってショートソードで突いてきた。

普通なら、私は腕を斬られて、降参だ。

「剣姫スキル」補正された剣技。
肩から下10センチ位置、5センチの深さで剣が入った。

「ごめんね。素晴らしい剣技だけど無駄」

『超回復』バチ!

腕に食い込んだ剣は力学の流れを無視。

体ごと前に動く彼女の腕だけ、5センチ外に「瞬間移動」させた。

お嬢様の体が右に弾かれるように流れる。

左脇腹が、空くことが解っていた私は、パンチを振っていた。

カウンターでヒット。ドンッ。

「ぐっ、くそっ」

さすがは「剣姫」スキル持ち。私の追撃に反応し、お嬢様は剣で突いてきた。

狙いは胸。殺意アリ。

遠慮は必要なし。

抵抗せず胸に刺させて剣が胸に潜り込んだ瞬間。

『超回復』ばちっ。

のけ反った彼女。その顎に、ビス付き手甲の一撃を食らわした。

ゴキッ!

「お嬢様!」
「動くな!」

倒れたお嬢様の首を地面に押さえつけた。

「私はEランク冒険者ユリナ。魔力ゼロの劣等人」

「え?」

ドゴッ。鼻を潰した。

再び構えて『超回復』

彼女の傷が治ると同時に、今度は左目をぐしゃっ。

「ぎゃあああ」

『超回復』

「あ、え?治った?」

「イリュージョンよ。怪我なんてしてない。幻覚よ」

ドゴッ、トゴッ、ドゴッ。

歯がなくなった。

「あびゃびゃびゃ!」

『超回復』

「ほら、幻覚でしょ」
「あ、あ、あう、うう」

バキッ。眉間の急所に一発入れた。

「もうやめてくれ」

護衛の人が叫んでいる。

お嬢様の髪をつかんで起こし、ナイフを出した。

「人を奴隷にすると言った上に、胸を刺した。許せると思う?」

ザクッ。首を刺した。

「ごぷっ、かひゅひゅひゅ」

『超回復』

ドスッ。今度は下腹部。何かが飛び出した。

『超回復』

鼻と耳をそいだ。

『超回復』

「も、もういや・・。許して、お願い、許して」

バキッ、バキッ、バキ!

ぷ~ん。お嬢様の股間の方から異臭がして、完全に力が抜けた。


「さ、イリュージョンも解けたわ。連れて帰って」

服は血まみれだけどね・・

「あ、あんた何をした?」
「あら、冒険者の生命線、スキルのことを聞くのね」

「あ、いや・・」

「私は下層に向かう。あなた方は帰った方がいい。次に会ったら、こっちから仕掛けるよ」

「・・帰らせてもらう」

「地上に帰っても、そっちが仕掛けてこないなら、Eランクに負けたなんて言わないから」

「・・あ、ああ。お嬢様にもよく言っておく」


お嬢様の名前は、もう忘れた。冒険者登録もしていて、Bランク。

護衛は普段は冒険者をしていて、お嬢様とは一度きりの関わりだそうだ。

私はスキルを応用すれば、対人戦もイケることがわかった。

お嬢様も漏らした。
恥ずかしくて、私に負けたなんて言わないだろう。

どうせ、冒険者ランクを上げるまでは、人との交流は極力控えるつもり。

この周辺ではアンタッチャブルで構わない。


5時間かけて35階セーフティーゾーンから離れて狩り。再びセーフティーゾーンに戻った。

もう誰もいなかったから、今度こそ、ぐっすり寝た。


12時間寝て、何かの物音で起きた。

男女5人のパーティーがセーフティゾーンに来ただけ。

特に何もなく、あいさつをかわして出発をした。

セーフティーゾーンを出た直後。ダチョウ、プラスターキー登場。真っ向からナイフ1本で戦った。

見ている人からすれば超劣勢。

休んでいた冒険者が心配して来てくれた。
面倒をかけては悪いし、急いで「等価交換」で鳥を倒した。

不思議な技に驚かれたが、今後の活動のためにも「気功武道家」を強調しておいた。

「あ、そうだ」

敵ばかり作るのも得策ではない。

「私は気功回復術も使える。良ければ傷を治すわよ。そうね1000ゴールドでどう?」

「低級ポーションも買えない値段だよな」

「その程度よ。効果を見て、後払いでいいわよ」

返事を待たずに手を取って『超回復』

「へ?肩の傷だけじゃなくて、ターキーにやられた腹の傷も治っている・・。本当に1000ゴールドでいいのか?」

「これを商売にすると治療師なんかとトラブルになる。ここ限定ね。今、助けようとしてくれた感謝の気持ちよ」

「俺はオルシマを拠点に置くCランク冒険者ガルだ」

「私は同じオルシマで登録をしたばかりの、Eランク冒険者ユリナ」

「低ランク、ユリナ・・。ああ、うわさの」
「もしかして、この人が話題の冒険者?」

「何かあったの?」

セーフティーゾーンに戻って、ちょっとお話することにした。



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