ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる

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178 モテすぎミシェル

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私の「等価交換」用材料を集めるのは、ミシェルが付き合ってくれる。

新婚旅行? えへへ。

予定は15日間。

私とミシェルが、ジランド中級ダンジョン。

ミールは一度、オルシマに帰って弟子5人の様子見。そこで27階ミノタウロスを食べさせるそうだ。

ついでにスライム集めもしてきてくれる。

ノエルは今回関わった伯爵家に行って、狙っている大容量収納指輪2個、肉の代金をもらいに行く。

別行動になる前にレベル測定をした。私は69で据え置き。ノエル97、ミシェル78で1つずつアップ。

ミールは81と3つも上がった。

ミノタウロス変身で、ただでさえ高い基礎ステータスが跳ね上がった。

すべてが想定以上。

ミシェルを全80階クリア時にレベル80と予測していた。加速している。


草原型のジランドダンジョンに速攻で行った。

アマク家に行かなかったのは、ミシェルとメリンダ嬢を合わせたくないからではない。

時間が読めない。

私とミシェルの2人だけでダンジョンに潜るのは初めて。

全40階の30階に一息に降りて、その周辺で狩りをする。ダンジョンボスのレベルが50だから、もう脅威でもない。

ただ、私達2人は「アイリス」の中ではステータスが低い。

休憩を入れて30時間で30階に駆け降りたいが、可能かどうか試すまで分からない。

「ユリナ、よろしくね」
「うん。体力面は不安がないようにサポートするから、私から離れないでね」

ダンジョンに飛び込んだ。

10階まで足が遅いヤギとコーアラばかり。戦わず突破。10階フロアボスを倒して、ここまで3時間。

ミシェルは普通に走って、私の「超回復走法」に7キロも並走できるようになった。

ミルクミノタウロスでパワーを上げたステータスありきでも、仲間のことなので嬉しい。

ミシェル自身も楽しくて仕方ないそうだ。

彼のレベルは78。HP468がミノタウロス変換で1・7倍になり、HP795。永続的ではないとはいえ、Bランク下位のパワーとスピードを持っている。

一度だけ2時間の休憩を取り、4時間追加で20階へ。

私が3度ほどカンガーラに追い付かれたが、ミシェルが一撃で倒してくれた。

とにかく早い。


だけど今、20階で困っている。

ここも人気ダンジョン。20階フロアボス部屋前に4組も待っている冒険者がいる。

そして、ここでは美白変身したミシェルがモテている。

「ミシェルって基本はソロなんだ」

「私達の街に来ない?」
「お礼したいから、一緒に行こうよ」

10分前に、ここに着いた。

4組のパーティー計15人のうち12人が女。

最低の偶然だ。

怪我人が10人もいた。

ミシェルが怪我人に霊薬をかけて私が気功で治す。
そんな設定で、『超回復』をかけまくった。

すると、あ~ら不思議・・

私は空気と化し、ミシェルがモテている。

「ねえ私達、ボスを倒す自信がないの」
「ミシェル君、一緒に来てくれない?」

「そこのお連れさんも一緒でいいから、ね」

ボス待ち1番目のお姉さん3人組が悪いのか、それとも拒絶できないミシェルが悪いのか・・

ゴゴゴゴ!

とりあえず、ストレスマックスでボス部屋に入った。

ボス部屋には、2メートルシープと、1・5メートルカンガーラ3匹。

大剣を構えたミシェルがカンガーラ1匹を斬って仕留めた。

「ミシェル、かっこい・・」
「ミシェル君、強い!」
「素敵!」

私の声はかき消された。


はっきり言おう。

私は嫉妬している!

大きなシープが迫ってきた。

「うめえへえぇぇ!」

「うっさい!」

条件反射。

ミスリルタンクトップ1枚ということも気にせず、左手にスライム。

「スライム変換、スライムバンチ、『超回復』、等価交換」

どむっ! 秒で作業を終えた。

私に突進してきたシープの頭が弾け、5メートルくらいすっ飛んだ。

腹いせである。

どうせ私は普通に強くならない。

最近はスライム変換↓スライムパンチ↓獲物の肉を「等価交換」。一連の流れを秒でやる訓練をしている。

そうすりゃ、ドクロユリナになったことも、幻覚で片付けられる。

ミスリルタンクトップも千切れ、右乳ぽろり。

「ミシェルう~」

「なにユリナ」

「ここいらの敵~、私のパンチ一発で~、爆発しちゃうよう~。どうしよう~」

ない胸を寄せて、可愛いしぐさをした。

「うん。予定通りに早く下に降りようよ。それよか、前を隠してよ」

苦笑いしてる。

残りのカンガーラをミシェルが倒す間に、服を着た。

唖然としているお姉さん達に20階の獲物を全部あげて、21階で休んだ。


「ユリナはやっぱり強いな」
「・・ごめんね」
「なにが?」

「何でもないよ」

闇属性、魔法適正の低さ、差別意識が根強かったミシェルの故郷。

数々のハンデの中で生きてきた彼だけど、初めて会ったときから優しかった。

そして、その態度は強くなった今でも変わらない。

「それは喜ばしいことだけど」

今回のことも、ノエルとミールに報告せねば。


あまりにモテるようなら、緑ミシェルにしてしまおうか。


そんな悪い考えを頭の中に巡らせながら、下に向かって走った。

ダンジョン侵入からわずか18時間後、私達は30階に到着した。



    
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