68 / 320
68 梓と、とうとうなのか?
しおりを挟む
7月30日。
勇太の実母の墓参りに行って、梓と一緒に今日泊まるシティホテルに向かった。
勇太は緊張してきた。
梓とバイトや学校、買い物から一緒に帰ることもよくある。やっぱり、そんな日常とは違う。
すごくお互いを意識している。いつものように会話が弾まない。
ホテルのレストランで1日早いが、ケーキも含めて料理の用意をお願いしている。
ホテル到着。
海沿いにあり、観光用としても人気がある。女性同士の簡易な結婚式などにも使ったりする施設も併設し、フロントスペースが広い。
「あれ、あの男の人って、隣の県に現れたっていうカフェ店員さんじゃない?」
「実物って、なんか映像で見るよりもエロ可愛い」
「今までの目撃情報って、パラレル市ばかりだったよね」
パラレル市すら出ていなかった勇太の出現。
正装した梓を連れて、本人もネクタイをしている。常識としては見知らぬふりが正解なのだが、やはり勇太は目立つのだ。
しかし勇太は、今日は梓のためだけに過ごす日だと思っている。
現在は午後6時。食事を予約している7時まで1時間ある。
フロントに荷物を預け、ホテルのテラスに出て2人で海を眺めたりした。
「・・なんか、緊張しちゃうね」
「・・うん。一緒に住んでるのに不思議だな」
「私だけじゃなかったんだね・・」
パラレル梓の笑顔が可愛い。前世梓と違って、女の色香も感じる。
食事はおいしかった。最後にケーキを食べ終えたところで、勇太は梓を見た。
目が合った。目をそらされ、赤い顔で下を向かれた。ああ、梓の緊張も解けてないなと思った。
「梓・・」
「なに?ユウ兄ちゃん」
「ありがとう」
「・・なにに?」
「5月までのダメすぎた俺も、今の俺も、ずっと支えてくれてたことにかな?」
「なんで疑問形なの。あはは、変なユウ兄ちゃん」
「感謝してるぞ、ほんと」
この世界に来てモテている。それは勇太の人生の中のほんの短期間。前の世界でもモブ顔の童貞だった。
気が利いたことを言えないけど、梓には感謝してる。
1人目の妻になる女の役割だと言って、甲斐甲斐しく動いてくれる。
だからルナやカオル、純子&麗子ともスムーズに交流できている。改めて思った。
前世の記憶が色濃い勇太。一夫一妻の感覚ではおかしい。けれど、ここは男女比1対12の世界。
ルナとの初体験のあとも、怒るどころか喜んでくれた。妻同士で仲良く連携するのは当たり前と強調された。
勇太の嫁が増えたとき、意見を言う立場が欲しい。だから勇太の1番目の妻になることの方が重要だったそうだ。
「私が厳しい意見を出すことがあると思う。けれど、これだけは信じて。私はユウ兄ちゃんの幸せのために動くから」
そう言われて、今では納得がいく。
これから本当に、梓はエッチをするんだろうか。勇太は変な緊張感に突き動かされ始めた。
ルナとカオルには、頑張ってと言われている。
400年間も、男性が不特定多数の女性と性行為をすることが『善』となっている世界。勇太は改めて感じた。
人工受精が普及しても、男女の交流と恋愛は、社会を動かす女性のモチベーションを上げるためにも重要。
現在も日本政府は、男性と女性の性交受精を推奨している。
8割に届きそうになっている人口受精率は、人工減少の懸念を減らしてくれる。
代わりに高い技術力と設備が必要で、各国は大きな予算を割いて人工受精を行っている。
ただ、こちらの世界の2008年に起きた四国沖の地震では、死者はゼロに近かったが停電が長引いた。
電力をライフライン優先で使った3ヶ月間があった影響で四国、九州南部で保存していた精子が全滅した。
こうした不測の事態に備えるべきと、方針が見直された。人工受精、自然受精の割合を5割にする方策が立てられている。
なので梓やルナに、勇太の子供ができたら、支援金がもらえる。DNA鑑定も簡単にやれる。
女性の育児休学と復学も、当たり前の制度としてある。
あと、この世界には避妊具という物はない。
◆
勇太としては、この世界に来て最初に梓がいてくれて良かったと感じている。
パラレル梓は決意が固いからか、芯が強く感じる。前世の妹だった梓とは、イメージが離れてきている。
食事を終えて、一度はテラスに出たが、海を見ていても落ち着かず予約した部屋に入った。
部屋に入るなり、梓に抱きつかれた。
いよいよかと思ったら、梓からいきなり謝られた。
「ごめんなさいユウ兄ちゃん、・・初エッチは、延期にしていい?」
「ん?」
勇太の実母の墓参りに行って、梓と一緒に今日泊まるシティホテルに向かった。
勇太は緊張してきた。
梓とバイトや学校、買い物から一緒に帰ることもよくある。やっぱり、そんな日常とは違う。
すごくお互いを意識している。いつものように会話が弾まない。
ホテルのレストランで1日早いが、ケーキも含めて料理の用意をお願いしている。
ホテル到着。
海沿いにあり、観光用としても人気がある。女性同士の簡易な結婚式などにも使ったりする施設も併設し、フロントスペースが広い。
「あれ、あの男の人って、隣の県に現れたっていうカフェ店員さんじゃない?」
「実物って、なんか映像で見るよりもエロ可愛い」
「今までの目撃情報って、パラレル市ばかりだったよね」
パラレル市すら出ていなかった勇太の出現。
正装した梓を連れて、本人もネクタイをしている。常識としては見知らぬふりが正解なのだが、やはり勇太は目立つのだ。
しかし勇太は、今日は梓のためだけに過ごす日だと思っている。
現在は午後6時。食事を予約している7時まで1時間ある。
フロントに荷物を預け、ホテルのテラスに出て2人で海を眺めたりした。
「・・なんか、緊張しちゃうね」
「・・うん。一緒に住んでるのに不思議だな」
「私だけじゃなかったんだね・・」
パラレル梓の笑顔が可愛い。前世梓と違って、女の色香も感じる。
食事はおいしかった。最後にケーキを食べ終えたところで、勇太は梓を見た。
目が合った。目をそらされ、赤い顔で下を向かれた。ああ、梓の緊張も解けてないなと思った。
「梓・・」
「なに?ユウ兄ちゃん」
「ありがとう」
「・・なにに?」
「5月までのダメすぎた俺も、今の俺も、ずっと支えてくれてたことにかな?」
「なんで疑問形なの。あはは、変なユウ兄ちゃん」
「感謝してるぞ、ほんと」
この世界に来てモテている。それは勇太の人生の中のほんの短期間。前の世界でもモブ顔の童貞だった。
気が利いたことを言えないけど、梓には感謝してる。
1人目の妻になる女の役割だと言って、甲斐甲斐しく動いてくれる。
だからルナやカオル、純子&麗子ともスムーズに交流できている。改めて思った。
前世の記憶が色濃い勇太。一夫一妻の感覚ではおかしい。けれど、ここは男女比1対12の世界。
ルナとの初体験のあとも、怒るどころか喜んでくれた。妻同士で仲良く連携するのは当たり前と強調された。
勇太の嫁が増えたとき、意見を言う立場が欲しい。だから勇太の1番目の妻になることの方が重要だったそうだ。
「私が厳しい意見を出すことがあると思う。けれど、これだけは信じて。私はユウ兄ちゃんの幸せのために動くから」
そう言われて、今では納得がいく。
これから本当に、梓はエッチをするんだろうか。勇太は変な緊張感に突き動かされ始めた。
ルナとカオルには、頑張ってと言われている。
400年間も、男性が不特定多数の女性と性行為をすることが『善』となっている世界。勇太は改めて感じた。
人工受精が普及しても、男女の交流と恋愛は、社会を動かす女性のモチベーションを上げるためにも重要。
現在も日本政府は、男性と女性の性交受精を推奨している。
8割に届きそうになっている人口受精率は、人工減少の懸念を減らしてくれる。
代わりに高い技術力と設備が必要で、各国は大きな予算を割いて人工受精を行っている。
ただ、こちらの世界の2008年に起きた四国沖の地震では、死者はゼロに近かったが停電が長引いた。
電力をライフライン優先で使った3ヶ月間があった影響で四国、九州南部で保存していた精子が全滅した。
こうした不測の事態に備えるべきと、方針が見直された。人工受精、自然受精の割合を5割にする方策が立てられている。
なので梓やルナに、勇太の子供ができたら、支援金がもらえる。DNA鑑定も簡単にやれる。
女性の育児休学と復学も、当たり前の制度としてある。
あと、この世界には避妊具という物はない。
◆
勇太としては、この世界に来て最初に梓がいてくれて良かったと感じている。
パラレル梓は決意が固いからか、芯が強く感じる。前世の妹だった梓とは、イメージが離れてきている。
食事を終えて、一度はテラスに出たが、海を見ていても落ち着かず予約した部屋に入った。
部屋に入るなり、梓に抱きつかれた。
いよいよかと思ったら、梓からいきなり謝られた。
「ごめんなさいユウ兄ちゃん、・・初エッチは、延期にしていい?」
「ん?」
70
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる