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72 希少男子によるプチ激励会
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茶薔薇学園柔道部の応援に来ただけなのに、勇太に注目が集まっている。
開会式も終わり、通路を区切って控え室がわりにしている今大会。多少の部外者が混じっても、問題視されない。
通路は、まずまずの混みよう。これを嫌ったのか、パラレル市にいたような学校代表の応援男子がいない。
男子は見える範囲に勇太のみだ。
だから、すごく注目を浴びている。梓とルナもちょっと及び腰だ。
パラ高、リーフカフェで勇太と一緒に注目を浴びている2人だけど、なんか東京では温度が違うのだ。
梓がカオルの姿を見つけた。
「カオルちゃ~ん!」
「カオル~、桜塚部長もこんにちは~」
「おっ、勇太」
「来てくれたか勇太君!」
勇太が茶薔柔道部を見つけて呼び掛けると、かなりの女子がざわついた。
「カオルちゃん頑張ってね」
「カオル、3人で応援してるからね」
「おう梓、ルナ!」
「みなさ~ん、頑張って下さいね」
「ありがとう勇太君」
「頑張るね!」
「よっしゃあ~」
「あ、あのな勇太君、みんなからお願いがあるんだが・・・」
なんと歌のリクエストだ。勇太がインターハイ前、最後に練習に出向いたとき、激励のために前世のパクり曲を歌った。
みんな、あの時の歌が聞きたいと言う。
カオルと桜塚部長を並んで胡座をかかせ、その前に勇太も胡座をかいた。すると他の部員もカオル達の横や後ろに座って扇状に勇太を囲んだ。
語るように歌い始めた。
もう40年以上前の歌。頑張れって歌詞はあるけど、無理に頑張らなくていい。自分の頑張りでいいんだ。そんな歌を歌った。
「♪♪♩♪♪♩♪♪♩♩♪♪♩、頑張れ♩♪♪♩戦う君のことを♪♩♪♪♩」
色んな歌いかたがネットにあがっていたが、勇太はオリジナルに忠実に『頑張れ』を静かに、サビも淡々と歌った。
「♪♩♪♪♩♪♪」
歌をチョイスした理由は、前世の今川薫。この歌が好きで、よく口ずさんでいた。勇太も自然と覚えた。
親友・今川薫が大切にしていた歌をパラレルカオルのために歌ってあげたくなった。
カオルは最近まで勇太の左手を怪我をさせたことを気にしていた。だから、カオルの右手に自分の左手を添えて、語りかけるように歌った。
3年前、前世で勇太が入院していた病院に薫、梓、ルナ、純子、伊集院君が一緒に来てくれたことがある。
薫が勇太の車椅子を押してくれて誰もいない廊下にこっそり出た。その時、薫にリクエストして歌ってもらった。
小さな声でも心に染みて、勇太は泣いた。
パラレルカオルのために歌ったら、カオルが泣いた。やっぱりこっちのカオルは女の子だなと、勇太の中のカオルが可愛くなってきた。
ただ、一緒に聞いていた茶薔薇の柔道部員も半分くらい泣いて、大変なことになった。
パラレルカオルの泣き顔は、前世薫とは全く重ならなかった。
だから勇太の中でカオルが完全な女の子として確立された。
それを今、思い出すと、もう親友の今川薫には会えないことを痛感した。そして少しだけ涙が出ている。
勇太の暖かくて切ない感情が込められている。カオルに向けられた特別な歌だ。
パンの歌を何度も歌って、声の響きもパワーアップしている。そして声は女神印だ。
「や、やん、この歌、なんだろ」
「もっと聞きたい・・」
「悲しいけど、力が沸いてくるような」
「涙出る・・」
これは、周囲の女子もどよめいた。顔も赤い子がたくさんいる。
歌声がし始めて約200人の女子に囲まれた。その大半が、女神印付きの勇太の生歌に免疫がない。
幾らか免疫がある茶薔薇の30人とルナ、梓も今の歌には、うるっとした。
「勇太君、ありが・・」
桜塚部長がお礼を言おうとしたとき・・
「ありがとう、頑張る!」
「やる気倍増!」
「勇太君の心に残る試合ができるように頑張ります!」
違う陣営から称賛とお礼の声が上がった。
勇太の生歌に免疫がない、違う県代表のハートに火をつけてしまった。
「あれ、勇太の歌が、なんか茶薔薇の敵を鼓舞したような・・」。呟くルナだ。
そして、パチパチパチと拍手しながら近づいてきたのは、ハンサム美女。
「素晴らしい。カオルに挨拶に来たんだけど、いい場面に遭遇できたわ。濡れたわ!」
「不知火さん」
北海道代表の不知火マイコ、そしてチームメイト、ファンを引き連れてやってきた。
ルナに聞いていた通り、周りは可愛い女子だらけだ。態度も堂々としている。
むしろ、ハンサムで洗練された男子に見える。
そして、堂々と変なことも言っている。
開会式も終わり、通路を区切って控え室がわりにしている今大会。多少の部外者が混じっても、問題視されない。
通路は、まずまずの混みよう。これを嫌ったのか、パラレル市にいたような学校代表の応援男子がいない。
男子は見える範囲に勇太のみだ。
だから、すごく注目を浴びている。梓とルナもちょっと及び腰だ。
パラ高、リーフカフェで勇太と一緒に注目を浴びている2人だけど、なんか東京では温度が違うのだ。
梓がカオルの姿を見つけた。
「カオルちゃ~ん!」
「カオル~、桜塚部長もこんにちは~」
「おっ、勇太」
「来てくれたか勇太君!」
勇太が茶薔柔道部を見つけて呼び掛けると、かなりの女子がざわついた。
「カオルちゃん頑張ってね」
「カオル、3人で応援してるからね」
「おう梓、ルナ!」
「みなさ~ん、頑張って下さいね」
「ありがとう勇太君」
「頑張るね!」
「よっしゃあ~」
「あ、あのな勇太君、みんなからお願いがあるんだが・・・」
なんと歌のリクエストだ。勇太がインターハイ前、最後に練習に出向いたとき、激励のために前世のパクり曲を歌った。
みんな、あの時の歌が聞きたいと言う。
カオルと桜塚部長を並んで胡座をかかせ、その前に勇太も胡座をかいた。すると他の部員もカオル達の横や後ろに座って扇状に勇太を囲んだ。
語るように歌い始めた。
もう40年以上前の歌。頑張れって歌詞はあるけど、無理に頑張らなくていい。自分の頑張りでいいんだ。そんな歌を歌った。
「♪♪♩♪♪♩♪♪♩♩♪♪♩、頑張れ♩♪♪♩戦う君のことを♪♩♪♪♩」
色んな歌いかたがネットにあがっていたが、勇太はオリジナルに忠実に『頑張れ』を静かに、サビも淡々と歌った。
「♪♩♪♪♩♪♪」
歌をチョイスした理由は、前世の今川薫。この歌が好きで、よく口ずさんでいた。勇太も自然と覚えた。
親友・今川薫が大切にしていた歌をパラレルカオルのために歌ってあげたくなった。
カオルは最近まで勇太の左手を怪我をさせたことを気にしていた。だから、カオルの右手に自分の左手を添えて、語りかけるように歌った。
3年前、前世で勇太が入院していた病院に薫、梓、ルナ、純子、伊集院君が一緒に来てくれたことがある。
薫が勇太の車椅子を押してくれて誰もいない廊下にこっそり出た。その時、薫にリクエストして歌ってもらった。
小さな声でも心に染みて、勇太は泣いた。
パラレルカオルのために歌ったら、カオルが泣いた。やっぱりこっちのカオルは女の子だなと、勇太の中のカオルが可愛くなってきた。
ただ、一緒に聞いていた茶薔薇の柔道部員も半分くらい泣いて、大変なことになった。
パラレルカオルの泣き顔は、前世薫とは全く重ならなかった。
だから勇太の中でカオルが完全な女の子として確立された。
それを今、思い出すと、もう親友の今川薫には会えないことを痛感した。そして少しだけ涙が出ている。
勇太の暖かくて切ない感情が込められている。カオルに向けられた特別な歌だ。
パンの歌を何度も歌って、声の響きもパワーアップしている。そして声は女神印だ。
「や、やん、この歌、なんだろ」
「もっと聞きたい・・」
「悲しいけど、力が沸いてくるような」
「涙出る・・」
これは、周囲の女子もどよめいた。顔も赤い子がたくさんいる。
歌声がし始めて約200人の女子に囲まれた。その大半が、女神印付きの勇太の生歌に免疫がない。
幾らか免疫がある茶薔薇の30人とルナ、梓も今の歌には、うるっとした。
「勇太君、ありが・・」
桜塚部長がお礼を言おうとしたとき・・
「ありがとう、頑張る!」
「やる気倍増!」
「勇太君の心に残る試合ができるように頑張ります!」
違う陣営から称賛とお礼の声が上がった。
勇太の生歌に免疫がない、違う県代表のハートに火をつけてしまった。
「あれ、勇太の歌が、なんか茶薔薇の敵を鼓舞したような・・」。呟くルナだ。
そして、パチパチパチと拍手しながら近づいてきたのは、ハンサム美女。
「素晴らしい。カオルに挨拶に来たんだけど、いい場面に遭遇できたわ。濡れたわ!」
「不知火さん」
北海道代表の不知火マイコ、そしてチームメイト、ファンを引き連れてやってきた。
ルナに聞いていた通り、周りは可愛い女子だらけだ。態度も堂々としている。
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