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85 パラレル東京観光
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色々とあって、ルナと東京で2人きりになった勇太。
前世の東京に行ったことがないくせに、パラレル東京を見物することにした。
羽田空港がパラレルでは神奈川県川崎空港になっていたけど、パラレル山手線は存在した。
浅草に行くとパラレル雷門もあった。
パラレル浅草寺でルナと一緒に写真を撮っていると、日本語を話す外国人の女性旅行者らに声をかけられた。一緒に撮りたいと言われた。それも5組くらい。
この辺りには男子もそこそこいる。なのに何故、勇太とルナのところに来たのか分からない。
とりあえずは応じた。リクエストされて肩も組んだ。
東京は男性的には治安が特にいい街になっている。パラレル市では外で見ない普通顔の男子も何人かいた。
大ざっぱな勇太の感覚では、パラレル市の4~5倍の男子出現率だ。必ず女子と一緒というのは共通。
そして、それらを映している女性も見かける。
「これなら、ルナと俺も周囲から変な注目を浴びずに、普通にデートできるな」
「そうだね。気兼ねなくて、今日も楽しいね」
これはルナも少し間違っている。注目はすごい。
注意して見ると、歩いている男子は違う街より多いが、一緒にいる女性が最低でも3人。
そして男子は薄手でもギリギリまで露出を抑えた服を着ている。
勇太だけが完全な1対1の男女のデート。
その上に勇太は8月のアスファルトの上を歩くために、バミューダパンツ、固定具付きサンダル、薄茶の女物シャツにボタン2個空け。
さっきの旅行者は来日前、ネットで日本の男子を検索。そこで必ず現れる『YUUTA』の存在を知っていた。
そして勇太のフェロモンと優しさを浴びて、どんどんSNSに感想を書き込んでいる。
その勇太が大切に扱うルナ。そのルナは旅行者から勇太への図々しいお願いに嫌な顔をすることがなく、むしろシャッターを押してくれたりした。
敬意を込めて『KOKESIGIRL』と紹介している。悪口のつもりではない。
この世界にはコケティッシュという褒め言葉はない。
まあ勇太もルナも、昨日までの3日間は柔道会場で数百人単位からガン見され続けていた。
本当はすごく注目されているのに、感覚が麻痺している。
パラレル東京タワー、少し名前は変わっているが、スカイツリーのパラレルな塔にも行った。
そして2人でパラレル秋葉原に来た。
勇太は前世のテレビやネットで見て、秋葉原はメイドカフェやアニメなどサブカルの聖地だと認識していた。
画像は入院中も映像は見ていた。
だからパラレル秋葉原とのギャップを楽しもうと極力、予備知識を持たずに来てみた。
「ん、何か思ってたのと違うぞ・・」
至る所にアニメ柄の看板等があるが、モチーフは5割くらい男子。前世の映像で見た魔法少女などの少女柄はゼロかと思えば、5割くらいは女の子の絵だった。
「そういや、女子同士の恋愛も多いんだし、オタクも多様化するわな」
1人で感心して、ルナに笑われた。
メイドカフェはない。もしかしたらと思っていたが、少なくともルナは聞いたことがない。
代わりに執事系カフェが何軒もある。
女子に奉仕する男性設定だけど、店員に男子はゼロらしい。身長高めの男装女子が正統派のお店にいる。
あとは、小柄とかぽっちゃりとか、お客の性癖に合わせて何店舗かマニア店があるとか。
そのうち、男女比1対1の異世界貴族学院をテーマにした一軒に、ルナと入ってみることにした。
2人で店に入った。クラシック音楽が緩やかに流れている。
客席のテーブルや椅子は重厚な感じ。お金持ちのサロン風だ。
店は混んでいて、スーツか、13世紀イギリス風のコスチュームを着用した男装女子が5人、お客さん20人の間を動き回っていた。
店員さんの1人が、ルナ達のところに来て、右手を伸ばして腰を折った。
「お帰りなさいませ、お嬢様がた・・あれれ」
「あのー、この店って男子でも入っていいんですか」
「ああああ、パラレル市の男性カフェ店員、勇太君だ!」
「あの勇太君?」
「マジ!」
店員だけでなく、お客さんも立ち上がって勇太を見た。
勇太の方が驚いた。男性もそこそこいる大都会パラレル東京に、自分を知っていて、見分けられる人がいると思わなかった。
とにかく、さっきまでのシックなムードを壊してしまった。
「いい感じのお店なのに・・。なんか営業妨害してすみません」
「あ、いえいえ。こちらこそすみません」
店員さんが勇太を知っているのは、ある意味当たり前だった。
勇太は極めて珍しい本物の男性カフェ店員。仕事の参考にしようと思い、彼女らは勇太をチェックしている。
それよりも、勇太を接客しに来たオスカルこと、山田依子は感心している。
騒ぎになった瞬間、勇太はドヤ顔をするどころか、店側に迷惑をかけてしまったと謝った。
優しいと評判だったが本当だ。短慮な男性でなく、きちんと『女性的』な常識的視点もある。
希少で甘やかされている男子とは思えない対応。
ネットで見せている謙虚な態度は、作られたものではないと思った。
前世の東京に行ったことがないくせに、パラレル東京を見物することにした。
羽田空港がパラレルでは神奈川県川崎空港になっていたけど、パラレル山手線は存在した。
浅草に行くとパラレル雷門もあった。
パラレル浅草寺でルナと一緒に写真を撮っていると、日本語を話す外国人の女性旅行者らに声をかけられた。一緒に撮りたいと言われた。それも5組くらい。
この辺りには男子もそこそこいる。なのに何故、勇太とルナのところに来たのか分からない。
とりあえずは応じた。リクエストされて肩も組んだ。
東京は男性的には治安が特にいい街になっている。パラレル市では外で見ない普通顔の男子も何人かいた。
大ざっぱな勇太の感覚では、パラレル市の4~5倍の男子出現率だ。必ず女子と一緒というのは共通。
そして、それらを映している女性も見かける。
「これなら、ルナと俺も周囲から変な注目を浴びずに、普通にデートできるな」
「そうだね。気兼ねなくて、今日も楽しいね」
これはルナも少し間違っている。注目はすごい。
注意して見ると、歩いている男子は違う街より多いが、一緒にいる女性が最低でも3人。
そして男子は薄手でもギリギリまで露出を抑えた服を着ている。
勇太だけが完全な1対1の男女のデート。
その上に勇太は8月のアスファルトの上を歩くために、バミューダパンツ、固定具付きサンダル、薄茶の女物シャツにボタン2個空け。
さっきの旅行者は来日前、ネットで日本の男子を検索。そこで必ず現れる『YUUTA』の存在を知っていた。
そして勇太のフェロモンと優しさを浴びて、どんどんSNSに感想を書き込んでいる。
その勇太が大切に扱うルナ。そのルナは旅行者から勇太への図々しいお願いに嫌な顔をすることがなく、むしろシャッターを押してくれたりした。
敬意を込めて『KOKESIGIRL』と紹介している。悪口のつもりではない。
この世界にはコケティッシュという褒め言葉はない。
まあ勇太もルナも、昨日までの3日間は柔道会場で数百人単位からガン見され続けていた。
本当はすごく注目されているのに、感覚が麻痺している。
パラレル東京タワー、少し名前は変わっているが、スカイツリーのパラレルな塔にも行った。
そして2人でパラレル秋葉原に来た。
勇太は前世のテレビやネットで見て、秋葉原はメイドカフェやアニメなどサブカルの聖地だと認識していた。
画像は入院中も映像は見ていた。
だからパラレル秋葉原とのギャップを楽しもうと極力、予備知識を持たずに来てみた。
「ん、何か思ってたのと違うぞ・・」
至る所にアニメ柄の看板等があるが、モチーフは5割くらい男子。前世の映像で見た魔法少女などの少女柄はゼロかと思えば、5割くらいは女の子の絵だった。
「そういや、女子同士の恋愛も多いんだし、オタクも多様化するわな」
1人で感心して、ルナに笑われた。
メイドカフェはない。もしかしたらと思っていたが、少なくともルナは聞いたことがない。
代わりに執事系カフェが何軒もある。
女子に奉仕する男性設定だけど、店員に男子はゼロらしい。身長高めの男装女子が正統派のお店にいる。
あとは、小柄とかぽっちゃりとか、お客の性癖に合わせて何店舗かマニア店があるとか。
そのうち、男女比1対1の異世界貴族学院をテーマにした一軒に、ルナと入ってみることにした。
2人で店に入った。クラシック音楽が緩やかに流れている。
客席のテーブルや椅子は重厚な感じ。お金持ちのサロン風だ。
店は混んでいて、スーツか、13世紀イギリス風のコスチュームを着用した男装女子が5人、お客さん20人の間を動き回っていた。
店員さんの1人が、ルナ達のところに来て、右手を伸ばして腰を折った。
「お帰りなさいませ、お嬢様がた・・あれれ」
「あのー、この店って男子でも入っていいんですか」
「ああああ、パラレル市の男性カフェ店員、勇太君だ!」
「あの勇太君?」
「マジ!」
店員だけでなく、お客さんも立ち上がって勇太を見た。
勇太の方が驚いた。男性もそこそこいる大都会パラレル東京に、自分を知っていて、見分けられる人がいると思わなかった。
とにかく、さっきまでのシックなムードを壊してしまった。
「いい感じのお店なのに・・。なんか営業妨害してすみません」
「あ、いえいえ。こちらこそすみません」
店員さんが勇太を知っているのは、ある意味当たり前だった。
勇太は極めて珍しい本物の男性カフェ店員。仕事の参考にしようと思い、彼女らは勇太をチェックしている。
それよりも、勇太を接客しに来たオスカルこと、山田依子は感心している。
騒ぎになった瞬間、勇太はドヤ顔をするどころか、店側に迷惑をかけてしまったと謝った。
優しいと評判だったが本当だ。短慮な男性でなく、きちんと『女性的』な常識的視点もある。
希少で甘やかされている男子とは思えない対応。
ネットで見せている謙虚な態度は、作られたものではないと思った。
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