モブ顔の俺が男女比１対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

とみっしぇる

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186 病院の中心で勇太が何かを叫ぶ

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勇太はルナ、カオルを伴って家に帰った。

梓の部屋にノックもせず入ると、梓はベッドの脇で座っていた。いや、へたり込んでいた。

「あれ、おはようユウ兄ちゃん・・う・・」

腹を押さえている梓を見ると、顔は真っ青を通り超して土気色だ。

勇太、カオル、ルナは血の気が引いた。

「梓！」「おい梓！」

「私、救急車呼ぶから」

「・・大げさだよ、ルナさ・・うぐ」

吐いた。

カオルに梓を支えてもらい、勇太は葉子を呼びに行った。

救急車が梓を運び、勇太達は葉子の車で駆けつけた。

梓は診察室に連れていかれた。

診察室の前の椅子に、４人で座っている。

勇太は悪寒がしている。

前の世界で西郷隆盛は西南戦争で没した。だから調べた。

するとパラレル世界で西郷隆盛子がいて、パラレル西南戦争が起こって亡くなっている。

その時、何かが引っ掛かっていた。けれど、それから忘れていた。

男女比が１６００年に狂い始め、社会の基盤が一度はおかしくなった。

なのにパラレルなアメリカ合衆国も成立して、成立年のずれはあると思えるが、前世と同じ国が存在する。

近年の人の没年齢は分からないけど、意外に歴史モノが好きだった勇太は幕末の有名人で調べた。

桂小五郎と桂小五郎子は同じ年に没している。大村益次郎はパラレル世界にもいて、同じ年まで生きていた。

あと勇太が自信を持てるところでは、新撰組の土方歳三。パラレルな土方歳三の土方歳子が、函館のパラレル五稜郭で討ち死にしたところまで同じだった。

だから再び嫌な予感と繋がる。

あっちの世界では、令和６年５月10日に勇太が梓の代わりに召された。

こっちの、梓を巡る因果はどうなる？

頭の中を不安ばかりを巡る。

診断を待つ間、勇太は震えだした。

ルナとカオルが背中をさすってくれた。

けれど勇太は落ち着かない。そして呟いてしまった。

「あっちで俺が死んで、梓が助かった・・俺が、邪魔？」

カオルとルナがぎょっとした目で見ている。

まさか、勇太が何かとんでもないことを考えているようなムードがある。

ルナ、カオル、梓のそれぞれが勇太との運命を感じる『自分達が好きな勇太の根っ子』が、久々に出てきた感覚がある。

「おい勇太、梓はたまたま病気になっただけだ」
「勇太、変なこと考えないの・・」

医師が診察室から飛び出してきた。そして葉子の方を見た。

「お母様ですね。緊急手術が必要です」

葉子が辛うじて返事をした。

勇太は目の前が真っ暗になりそうだった。

目の前をストレッチャーで運ばれていく梓。

不安、不安、不安。

「梓、死ぬなーーー！」

「・・勇太」「勇太」

「あの、勇太君・・」
振り向くと、看護師の山口キミカがいた。

ここは、勇太が転生した日に運ばれたパラレル総合病院だ。最初に会った看護師がいる。

「キミカさん、梓・・梓は」

男子の叫びに、すごく注目が集まっている。看護師、患者さんが集まってきた。

「勇太君、落ち着いてよく聞いて」

「・・はい」

「梓さんは、盲腸炎だよ」

「は？」

かなり、間抜けな声を出してしまった。

盲腸が破裂寸前で梓は危なかった。しかし勇太、ルナ、カオルの機転で迅速に病院に連れてきたから、普通の手術で済むそうだ。

「梓の命は？」

「手術が終わらないと勝手なことは言えないけど多分、命に別状ないわよ」

「・・」
「・・」
「・・」

医師にも言われ、ルナとカオルは自分の学校へ行った。

勇太は学校を休んで梓に付き添った。

勇太は、もっと怖い病気を予想していたけれど、考えすぎたったようだ。

手術が終わるまでの1時間半、あることに気付いた。

「あ、そうだ。あっちの世界で俺が梓の代わりになったみたく、こっちの世界でもパラレル勇太がパラレル梓の代わりになったのかもな・・」

間門のことといい、ろくなことをしていないパラレル勇太。身代わりが本当なら、ちっと可哀想だなとは思った。

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