モブ顔の俺が男女比１対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

とみっしぇる

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204 この世界の普通の女の子◆初デート序盤

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放心状態でも、勇太にもらった一輪の花はがっちり持って離さない吉田真子。

気を取り直して、勇太と並んで校門から出ることになった。

浮気者とは言われない。むしろ応援されている。

勇太も、そういう世界なんだと受け入れている。なので、ここは真子に恥をかかせないためにも堂々としている。

本当は、半分が前世のモブ校生でできている勇太。校門前の花一輪なんて恥ずかしい。けど絶対に顔に出さない。

「さ、委員長、行こうよ」

多くのギャラリーが見守るなか、勇太が手を差し出した。

緊張しすぎて判断できない真子は思う。この手はなんだろう？

「手、繋ご」

勇太に言われて、ぷるぷるしながら手を差し出した。モロに震えている。

ぼそっ。「ヤ、ヤ、ヤバい。私、嘉菜さんとセットでないとき、元のまんまの自分だ・・」

涙目になった。

勇太にも聞こえてしまったようだけど、勇太は馬鹿にしたりしない。

笑顔で、真子の手をぎゅっと握った。

緊張に耐えきれずうつむいた真子だけど、勇太がゆっくりと引っ張ってくれる。

ガチガチな上に、スマホと視線を同性から向けられている。

駅に近付くにつれ、他校らしき女子、恐らく勇太のファンから真子は睨まれている。

萎縮して歩調は、さらに遅くなった。

こんな状況でルナ、梓、カオルの３人は、よく平気な顔をしているな、なんて思考も浮かんでこない。

勇太は、ようやくカオルに言われてきたことに気付いた。

勇太にキスされるたび真っ赤になる自分でも、女子では男子耐性が高い方だと。

普通は勇太と２人きりなんぞ、まともでいられねえぞと。

前世の自分に照らし合わせた。

彼女の花木留奈や、幼馴染みの山根純子、妹の坂元梓と１度も話すことなく17歳になったとする。

で、いきなり目立つ女性に誘われて大注目の中でデート。

「うん、緊張でまともでいられないな」

それが目の前にいるパラレル吉田真子の状況。

なので、本当は今からアクセサリーのお店に行こうかと思ったけど、ワンクッション置くことにした。

学校と駅の間にある個人経営の喫茶店に入った。

ここに来るのは３回目。

カウンターと、テーブルは４人掛けが４つ。40代の渋いママさんがひとりでやっている。

「勇太君、ここは・・」

「予定を少し変更。委員長に落ち着いてもらうため、ここで休憩かな」

「あ、助かる・・」本音が出てしまった。

緊張は解けないけど、頭は回ってきた。

真子も少し前までのルナと同じく、目立つのは得意でない。

けれど、勇気を出して言ってみた。

「ここのケーキ、美味しいって評判だよね」

「じゃあ、頼もうか」

コーヒーセットで２人ともイチゴのショートケーキを選んだ。

「ゆ、勇太君、ケーキを食べる前に、何か歌って欲しい」

真子は初めて、勇太にリクエストをした。

別に派手な場所も、大きなケーキもいらない。１度だけでいいから、自分だけのために何かしてもらいたいと思った。

勇太がママさんの方を見ると、頷いてくれた。

他のお客さんも２組ともOKサイン。そしてスマホを構えた。

勇太は歌い出した。

「ハッピバースデー、トゥーユー、♪♪♩♪♩♩」

真子は少し驚いた顔をして、そしてうっとりした顔で勇太を見ている。

「♪♪♪♩♪ディア♪♪マ～コ～♩♩ハッピバースデー、トゥユー」

歌い終わった。

真子は笑顔で余韻に浸っている。そして涙ぐんでる。

勇太は、そこまで感動することか？と思った。

「勇太君、ありがとう。そこまでしてくれると思わなかった」

「ふむ？」

「私の誕生日を祝ってくれるために歌を作ってくれてたんだね・・」

「・・・あ」

勇太は、スタンダードなハッピーバースデーを歌っただけ。

ただし前世の・・

感動して涙が止まらない真子。

２人のスマホが同時に鳴り出した。

勇太ファミリーのグループLIMEだ。

この光景は他のお客さんがリアルタイムでネット上に流している。

嘉菜『良かったね真子ちゃん。勇太君に歌を作ってもらえたんだね』

ルナ『真子さんおめでとう』
梓『いい歌だった』
純子『おめでとう真子ちゃん』
麗子『ハッピーバースデー』

カオルは柔道の練習中で、まだ見ていないようだ。

この歌は、前世では外国から入ってきたもの。当然、パラレル世界でもアメリカ、ヨーロッパで馴染んで誕生日ソングとして広がっていく。

そして真子の価値も他の嫁同様に上がっていく。

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