209 / 353
209 本当は兄妹ですが、なにか?
パラレル市から少し離れた街、日も暮れた駅前。
大きくない駅だけど、今日は12月23日。クリスマスのイルミネーションが光って周囲は明るい。
共に人工授精生まれの勇太、メイちゃんの、公的には認められない異母兄妹が向かい合って立っている。
有名になってきた勇太の次の嫁だと、同じ中学の生徒達は思っている。
雰囲気が夏からガラリと変わっている。
勇太と変わらぬ交流がある。
だから、まさかメイちゃんの変化の原因が勇太に失恋したからだと思っていない。
友人すらも。
優しくなった。
人のために、誰かに意見を言うようになった。
モブ顔は変わらないのに、笑顔が綺麗になった。
最近、メイちゃんが気になるけどアプローチに失敗している、同級生のヤマモトタロウ。彼が偶然に通りかかってメイちゃんを見ている。
タロウは彼女3人と肉体関係にある。女は声をかけたら1歩、キスしたら2歩、ヤッたら5歩という感じで勝手に距離を詰めてくる。
けれど、メイちゃんが纏う雰囲気はその子らと違う。
声をかけても喜ばない。ディスっても怒らず、ただ目をじっと見てくる。
もうひとりのクラスメイト男子、根が暗い冬木ゲンジには笑いかける。
モテる自分が声をかけているのに、熱を感じない。
駅前のメイちゃんは、なにか自分より先を行っている気がする。
勇太とメイちゃんが向かい合ったままだ。
ヤマモトタロウは見ていて、なんだか嫉妬心のようなものが沸いてくる。
それくらい絵になっている。どっちもモブ顔のくせに・・
寒さの中、イルミネーションに照らされながら弾んだ笑い声の2人。
メイちゃんが口を開いた。
「勇太お兄さん、ネットで見たんだけど、私もマフラーもらえるの?」
「うん」
「え~、やっぱり。まずいな~」
「ダメだった?」
「いえ、嬉しいけど、わ、私のプレゼントも・・」
お互いに用意したのはマフラーだった。
そしてメイちゃんのやつは手編みだった。
「初めてトライして、下手くそで恥ずかしい・・」
メイちゃんが恥ずかしそうに笑う。
勇太は目を細めた。
妹マフラーは前世にももらった。15歳の梓から。
編み目は不揃いでも、嬉しかった。すでに病気が進行していた勇太だったけど首に巻いてもらって優しい感触を堪能した。
今世でも妹マフラーをもらえる。
「メイちゃん、リクエストしていい?」
「な、なんでしょう」
「首に巻いて欲しいな」
「・・うん!」
大注目の中、メイちゃんが勇太の首に手編みのマフラーを巻いた。
勇太は目を閉じて、嬉しそうにしている。
「暖かいよ、ありがとう。メイちゃんも、ほら」
お返しに、勇太も用意したマフラーをメイちゃんの首に巻いた。ついでに頬をむにむにした。
「くすぐったい。・・ゆうた・・お兄ちゃん」
「ふたりのときは、お兄ちゃんって呼ばれると嬉しいな。ほれほれ。暖まったか?」
「むにゅにゅ、もうっ、お兄ちゃん」
メイちゃんは、勇太に失恋して悲しい時期を乗り越えつつある。大事にされているから、純粋に本物の妹枠を楽しもうと思えてきた。
勇太妹枠の大先輩・長谷川キヨミのように。
「メイちゃん、ご飯は?」
「お兄ちゃんが奢ってくれるってLIMEくれたから、お腹すかせて来ちゃった」
「行きたいお店は?」
「中学生の知ってるとこなんて、あまりないって。そこのパスタ屋さん、入ってみたかったの・・ダメ?」
上目遣いのメイちゃんに勇太が手を差し出した。メイちゃんも自然に手をつかんだ。
吉田真子の時のようなガチガチ感もなく自然だ。
「いこう。お兄ちゃん」
「よし、食うぞ~」
まるで兄妹のようだと、ギャラリーは感じている。
メイちゃんから、中3なら十分にあるはずの肉食女子らしさがにじみ出ていない。
もう15歳。結婚も可能である。
勇太という御馳走が目の前にぶら下がって、女子260人にひとりという、男子と駅前プレゼント交換までやっている。
その上に、ご飯まで一緒となる。花木ルナ&勇太の例から考えて、メイちゃんのデザートは勇太しかないでしょ、と。
そう考えるのが、この男女比1対12世界の一般的な肉食乙女だ。
「メイちゃんは、ピザ、パスタ、どっちが好き」
「う~ん、どっちも!」
「じゃあ、色々と頼もう」
「あはは」
パスタの店に入る前の笑顔はネットに上がった。勇太はメイちゃんの笑顔が綺麗になってきたと感じた。
それは、離れた場所から美人3人を侍らせながら見ていたヤマモトタロウも同じ。
伊集院君と勇太効果で偏差値が上がったパラ高を狙う受験生。そして、妹として勇太ファミリーとの付き合い方を考えるメイちゃん。
男女比1対12の世界で、モブの自分が男子に好意を寄せられることは2度とないと思っている。
だから周りを気にせず、自分ができることを続けている。
大きくない駅だけど、今日は12月23日。クリスマスのイルミネーションが光って周囲は明るい。
共に人工授精生まれの勇太、メイちゃんの、公的には認められない異母兄妹が向かい合って立っている。
有名になってきた勇太の次の嫁だと、同じ中学の生徒達は思っている。
雰囲気が夏からガラリと変わっている。
勇太と変わらぬ交流がある。
だから、まさかメイちゃんの変化の原因が勇太に失恋したからだと思っていない。
友人すらも。
優しくなった。
人のために、誰かに意見を言うようになった。
モブ顔は変わらないのに、笑顔が綺麗になった。
最近、メイちゃんが気になるけどアプローチに失敗している、同級生のヤマモトタロウ。彼が偶然に通りかかってメイちゃんを見ている。
タロウは彼女3人と肉体関係にある。女は声をかけたら1歩、キスしたら2歩、ヤッたら5歩という感じで勝手に距離を詰めてくる。
けれど、メイちゃんが纏う雰囲気はその子らと違う。
声をかけても喜ばない。ディスっても怒らず、ただ目をじっと見てくる。
もうひとりのクラスメイト男子、根が暗い冬木ゲンジには笑いかける。
モテる自分が声をかけているのに、熱を感じない。
駅前のメイちゃんは、なにか自分より先を行っている気がする。
勇太とメイちゃんが向かい合ったままだ。
ヤマモトタロウは見ていて、なんだか嫉妬心のようなものが沸いてくる。
それくらい絵になっている。どっちもモブ顔のくせに・・
寒さの中、イルミネーションに照らされながら弾んだ笑い声の2人。
メイちゃんが口を開いた。
「勇太お兄さん、ネットで見たんだけど、私もマフラーもらえるの?」
「うん」
「え~、やっぱり。まずいな~」
「ダメだった?」
「いえ、嬉しいけど、わ、私のプレゼントも・・」
お互いに用意したのはマフラーだった。
そしてメイちゃんのやつは手編みだった。
「初めてトライして、下手くそで恥ずかしい・・」
メイちゃんが恥ずかしそうに笑う。
勇太は目を細めた。
妹マフラーは前世にももらった。15歳の梓から。
編み目は不揃いでも、嬉しかった。すでに病気が進行していた勇太だったけど首に巻いてもらって優しい感触を堪能した。
今世でも妹マフラーをもらえる。
「メイちゃん、リクエストしていい?」
「な、なんでしょう」
「首に巻いて欲しいな」
「・・うん!」
大注目の中、メイちゃんが勇太の首に手編みのマフラーを巻いた。
勇太は目を閉じて、嬉しそうにしている。
「暖かいよ、ありがとう。メイちゃんも、ほら」
お返しに、勇太も用意したマフラーをメイちゃんの首に巻いた。ついでに頬をむにむにした。
「くすぐったい。・・ゆうた・・お兄ちゃん」
「ふたりのときは、お兄ちゃんって呼ばれると嬉しいな。ほれほれ。暖まったか?」
「むにゅにゅ、もうっ、お兄ちゃん」
メイちゃんは、勇太に失恋して悲しい時期を乗り越えつつある。大事にされているから、純粋に本物の妹枠を楽しもうと思えてきた。
勇太妹枠の大先輩・長谷川キヨミのように。
「メイちゃん、ご飯は?」
「お兄ちゃんが奢ってくれるってLIMEくれたから、お腹すかせて来ちゃった」
「行きたいお店は?」
「中学生の知ってるとこなんて、あまりないって。そこのパスタ屋さん、入ってみたかったの・・ダメ?」
上目遣いのメイちゃんに勇太が手を差し出した。メイちゃんも自然に手をつかんだ。
吉田真子の時のようなガチガチ感もなく自然だ。
「いこう。お兄ちゃん」
「よし、食うぞ~」
まるで兄妹のようだと、ギャラリーは感じている。
メイちゃんから、中3なら十分にあるはずの肉食女子らしさがにじみ出ていない。
もう15歳。結婚も可能である。
勇太という御馳走が目の前にぶら下がって、女子260人にひとりという、男子と駅前プレゼント交換までやっている。
その上に、ご飯まで一緒となる。花木ルナ&勇太の例から考えて、メイちゃんのデザートは勇太しかないでしょ、と。
そう考えるのが、この男女比1対12世界の一般的な肉食乙女だ。
「メイちゃんは、ピザ、パスタ、どっちが好き」
「う~ん、どっちも!」
「じゃあ、色々と頼もう」
「あはは」
パスタの店に入る前の笑顔はネットに上がった。勇太はメイちゃんの笑顔が綺麗になってきたと感じた。
それは、離れた場所から美人3人を侍らせながら見ていたヤマモトタロウも同じ。
伊集院君と勇太効果で偏差値が上がったパラ高を狙う受験生。そして、妹として勇太ファミリーとの付き合い方を考えるメイちゃん。
男女比1対12の世界で、モブの自分が男子に好意を寄せられることは2度とないと思っている。
だから周りを気にせず、自分ができることを続けている。
あなたにおすすめの小説
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。