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230 男子メシって、もっと重いもんだろう
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12月30日、午後6時前。
コーヒー豆以外の商品が売り切れて店じまいしたリーフカフェの前に、カオル、梓、ルナが来た。
プラス間門嘉菜と吉田真子。今日は嫁ズが5人。
「勇太ぁー腹へったあ」
「カオル、なに食いたい」
「今の気分はトンカツだな」
「ちょうど良かった」
「ん? どっかいい店でもあんのか?」
「今日は家でトンカツに挑戦しようと思って、材料買ってたんだ。食いに来いよ。委員長と嘉菜さんも時間ある?」
「はい」「もちろん」
「勇太のトンカツ初めて。楽しみー」
「ようし食うぞ!」
「こら、カオルちゃん、気が早い」
ということで、今日は勇太がトンカツを揚げることになった。
ざわっとする。まだ往来の中だ。最近はカオルにヘイトというか、やっかみが集まっている。
男子と1対1で食事をするのが貴重な世界。
それに輪をかけて貴重な男子メシ。そんなのを平気でむさぼるカオルが悪目立ちする。
まったく男子に縁がない柔道女子はカオルの評価が真っ二つに分かれている。
エロカワ男子に愛される神とあがめているか、サタン認定のどちらかだ。
純子&麗子は、今日はウスヤで母親2人と家ごはん。風花は葉子と軽くデート。
なので勇太は6人分のトンカツを揚げる。
◆
坂元家の台所は賑っている。
戦力が4人もいる。勇太、梓、ルナ、真子だ。
カオルは論外。嘉菜は『マカド』を経営していく跡継ぎとして育ってきたため、家事全般は苦手。
「ごめんなさい、みなさん」
「いいよ嘉菜さん。ゆっくり座ってて。ん」
ちゅっとされた。「はう・・」
勇太にちゅっとされてソファーに座ったというか、沈み込んだ。
「嘉菜さん、まだまだだな」
カオルのくせに、上から目線だ。
真子&嘉菜は勇太メシをごちそうになるのは3度目。最初が鶏の唐揚げ、次がシーフードカレー。
3度目の今回は、真子のスマホを固定して台所を撮影している。映像流せのリクエストが多いのだ。
トントントンと小気味よい音を立てて、ルナがキャベツを千切りにしていく。
ルナは幸せを感じている。
4月までは、あまり高校生活でいいこともなかった。部活の仲間もいるけど柔道部に同級生がいなかった。
それが5月に勇太に出会ってから婚約者が6人。双子の純子とは結婚しないけど、一緒に勇太の嫁になる。
横には仕込みをした豚肉にパン粉をまぶしていく勇太がいる。
「ん、どうしたルナ」
「・・むー」唇を尖らせた。
ちゅっ、と軽く合わせてくれた。
「あ、ずるーい、ふたりとも。あたちもー」
ちょっと幼いキャラを作った梓もちゅっ。
「・・いいな」
「委員長もおいでよ」
「え、え・・はい!」
真子にもちゅっとした。
真子は視線を感じた。カメラが自分に向いている。
「あ・・」
今日は男子メシをリアルタイム配信するため、自分がスマホを設置した。
そこでわざわざ自分のキスシーンを配信してしまった。
「ひゃあああ」
見事な自爆である。
さて、自分を取り戻した嘉菜が配膳だけでも手伝おうとカオルと一緒に台所に来た。
「あ、いいとこに来た。嘉菜さんとカオルも」
両手にパン粉を付けた豚肉を持ったまま勇太が近付いてきた。
「?」「?」
ちゅっ、ちゅっと嘉菜とカオルにキスした。
「はうっ」「はうっ」
料理の作業に戻った勇太の背中を見ながら、嘉菜とカオルは呆然としている。
「カ、カオルさん、勇太さんの男子メシをいただく前から胸がいっぱいなんですけど・・」
「嘉菜さん、そ、そのうち慣れるさ」
「・・さすがですね、カオルさん。私、まだまだ慣れる気がしません」
「ま、まーね」
本当は、勇太とキスするたびに膝がカクカクしているカオル。だけどファミリー歴は長いから、嘉菜に先輩風を吹かせている。
嘉菜が真っ赤な顔をしたまま、カオルを見ている。
そして頬にちゅっとした。
「な、なにを嘉菜さん」
「ふふ、カオルさんと私も数年後には籍を入れますよね。慣れておこうかなって」
ルナはカオルと嘉菜のやり取りも笑顔で見ている。
「ふふふ」
「どうしたのルナ」
「勇太、カオルが嘉菜さんに何か面白いこと言ってるよ」
「へえー」
やがてご飯が出来上がって、みんなで楽しく食べた。
ルナとしては、こんな生活が長く続くように祈るばかりだ。
そして夜、みんなで泊まった。
リビングにありったけの布団を持ってきた。
真子、嘉菜は、勇太と同じ部屋で眠るのは初めてだった。
夜中に目が覚めたルナ。
ルナは久しぶりに、勇太の過去のことを考えた。
自分は最初、勇太と仲良しだった『ルナ』と間違って声をかけられたと思っていた。
それは今も変わらない。
けれど、今は間違いなく愛されている自信がある。
その『ルナ』の話を勇太は絶対にしない。けれどたまに、こうやって気になることもある。
◇◇
前世、『ルナ』達の元から勇太がいなくなって、半年以上が過ぎた。
そろそろ、勇太前世の近況を・・・
コーヒー豆以外の商品が売り切れて店じまいしたリーフカフェの前に、カオル、梓、ルナが来た。
プラス間門嘉菜と吉田真子。今日は嫁ズが5人。
「勇太ぁー腹へったあ」
「カオル、なに食いたい」
「今の気分はトンカツだな」
「ちょうど良かった」
「ん? どっかいい店でもあんのか?」
「今日は家でトンカツに挑戦しようと思って、材料買ってたんだ。食いに来いよ。委員長と嘉菜さんも時間ある?」
「はい」「もちろん」
「勇太のトンカツ初めて。楽しみー」
「ようし食うぞ!」
「こら、カオルちゃん、気が早い」
ということで、今日は勇太がトンカツを揚げることになった。
ざわっとする。まだ往来の中だ。最近はカオルにヘイトというか、やっかみが集まっている。
男子と1対1で食事をするのが貴重な世界。
それに輪をかけて貴重な男子メシ。そんなのを平気でむさぼるカオルが悪目立ちする。
まったく男子に縁がない柔道女子はカオルの評価が真っ二つに分かれている。
エロカワ男子に愛される神とあがめているか、サタン認定のどちらかだ。
純子&麗子は、今日はウスヤで母親2人と家ごはん。風花は葉子と軽くデート。
なので勇太は6人分のトンカツを揚げる。
◆
坂元家の台所は賑っている。
戦力が4人もいる。勇太、梓、ルナ、真子だ。
カオルは論外。嘉菜は『マカド』を経営していく跡継ぎとして育ってきたため、家事全般は苦手。
「ごめんなさい、みなさん」
「いいよ嘉菜さん。ゆっくり座ってて。ん」
ちゅっとされた。「はう・・」
勇太にちゅっとされてソファーに座ったというか、沈み込んだ。
「嘉菜さん、まだまだだな」
カオルのくせに、上から目線だ。
真子&嘉菜は勇太メシをごちそうになるのは3度目。最初が鶏の唐揚げ、次がシーフードカレー。
3度目の今回は、真子のスマホを固定して台所を撮影している。映像流せのリクエストが多いのだ。
トントントンと小気味よい音を立てて、ルナがキャベツを千切りにしていく。
ルナは幸せを感じている。
4月までは、あまり高校生活でいいこともなかった。部活の仲間もいるけど柔道部に同級生がいなかった。
それが5月に勇太に出会ってから婚約者が6人。双子の純子とは結婚しないけど、一緒に勇太の嫁になる。
横には仕込みをした豚肉にパン粉をまぶしていく勇太がいる。
「ん、どうしたルナ」
「・・むー」唇を尖らせた。
ちゅっ、と軽く合わせてくれた。
「あ、ずるーい、ふたりとも。あたちもー」
ちょっと幼いキャラを作った梓もちゅっ。
「・・いいな」
「委員長もおいでよ」
「え、え・・はい!」
真子にもちゅっとした。
真子は視線を感じた。カメラが自分に向いている。
「あ・・」
今日は男子メシをリアルタイム配信するため、自分がスマホを設置した。
そこでわざわざ自分のキスシーンを配信してしまった。
「ひゃあああ」
見事な自爆である。
さて、自分を取り戻した嘉菜が配膳だけでも手伝おうとカオルと一緒に台所に来た。
「あ、いいとこに来た。嘉菜さんとカオルも」
両手にパン粉を付けた豚肉を持ったまま勇太が近付いてきた。
「?」「?」
ちゅっ、ちゅっと嘉菜とカオルにキスした。
「はうっ」「はうっ」
料理の作業に戻った勇太の背中を見ながら、嘉菜とカオルは呆然としている。
「カ、カオルさん、勇太さんの男子メシをいただく前から胸がいっぱいなんですけど・・」
「嘉菜さん、そ、そのうち慣れるさ」
「・・さすがですね、カオルさん。私、まだまだ慣れる気がしません」
「ま、まーね」
本当は、勇太とキスするたびに膝がカクカクしているカオル。だけどファミリー歴は長いから、嘉菜に先輩風を吹かせている。
嘉菜が真っ赤な顔をしたまま、カオルを見ている。
そして頬にちゅっとした。
「な、なにを嘉菜さん」
「ふふ、カオルさんと私も数年後には籍を入れますよね。慣れておこうかなって」
ルナはカオルと嘉菜のやり取りも笑顔で見ている。
「ふふふ」
「どうしたのルナ」
「勇太、カオルが嘉菜さんに何か面白いこと言ってるよ」
「へえー」
やがてご飯が出来上がって、みんなで楽しく食べた。
ルナとしては、こんな生活が長く続くように祈るばかりだ。
そして夜、みんなで泊まった。
リビングにありったけの布団を持ってきた。
真子、嘉菜は、勇太と同じ部屋で眠るのは初めてだった。
夜中に目が覚めたルナ。
ルナは久しぶりに、勇太の過去のことを考えた。
自分は最初、勇太と仲良しだった『ルナ』と間違って声をかけられたと思っていた。
それは今も変わらない。
けれど、今は間違いなく愛されている自信がある。
その『ルナ』の話を勇太は絶対にしない。けれどたまに、こうやって気になることもある。
◇◇
前世、『ルナ』達の元から勇太がいなくなって、半年以上が過ぎた。
そろそろ、勇太前世の近況を・・・
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