232 / 320
232 前回の続き◇今川薫の称号◇
しおりを挟む
ところで、勇太前世の今川薫は硬派なのにロリコンと言われ続けてきた。
5歳離れた梓が美少女なせいだ。
現在は薫が21歳。梓は3月生まれだから15歳だけど、年上に見える高校1年生。勇太のことなどもあって一気に大人びている。
182センチでダイエットして80キロ、西郷隆盛像に少し似た薫。
梓は身長が160センチになって48キロ。早くも大人の体つき。すでに薫を押し倒して大人の階段も昇った。
女子高生と付き合う大学生は多少なりともいる。それに梓が美しく、大人っぽくなった。
街、大学構内を歩くふたりは『美女と野獣』と言われる。
薫は、この呼ばれ方をいたく気に入っている。
薫が梓から最初にアタックされたとき、薫は中3で梓は小4。恋というものに興味を持った、親友の可愛い妹として接してきた。
だけど次の年から状況が変わった。
勇太が病気に倒れた。そのあと、梓が本気だと薫は知った。
9月の終わり頃。薫は勇太の両親に、勇太は高校を卒業するまで身体が持たないだろうと聞かされた。
夏休みの入院は治療ではなく検査だったことも知った。
梓も一緒に聞いた。
梓に勇太が元気な姿を少しでも多く見せておこうと薫は頑張った。頑張りすぎた。
高校の文化祭でもエスコートする形となった。
薫は身体が大きな高1。梓は可愛い小5。
クラスメイトの手助けで、弱々しくも喫茶室に参加した勇太のところにいったあと。
悲しくなった梓が廊下で薫に抱きついてた。
すでに2人のデートシーンのようなものも見られていた。口が悪い同級生が、ロリコンと薫に言い出した。
美少女・梓は意味も考えずに言った。『ロリコンじゃない。ちゃんとした彼女だよ』
梓は火にガソリンを注いだ。
地元の大学に薫が入った頃、梓はもっとも気持ちが不安定だった。
年齢の影響プラス勇太の病気のことが主な原因だ。見ていて辛くなった薫は言った。
『梓、苦しくなったら、いつでも俺のことに来い』
薫は火にジェット燃料を注いだ。
梓は本当に来た。家ではない。家には前から入り浸っていた。
中2な梓なりの決断だ。
勇太が梓のウエディングドレス姿を見るまでは、頑張ると言った。
何を頑張るというのか。
勇太の本当の状態は知らされた。
病気の発症から3年。いつも勇太は梓に、いつか元気になるから心配するなと笑っていた。
だから梓も気恥ずかしいなんて言っていられなかった。残された時間が分からない。
薫のことが変わらず好きだ。だったら、勇太のために色んなことを前倒ししようと思った。
薫が通う大学に、大きなバスケットを持った155センチの美少女が制服のままやってきた。
『あの、お姉さん、柔道場はどっちでしょうか』
『どうしたのお嬢さん。中学生かな? お兄さんに会いに来たの?』
『中2です。婚約者におやつを持って来ました』
ええと、声が上がった。
偶然に梓の前を薫が歩いていた。
『薫ちゃーん』
『へっ、梓?』
『ほら行くよ』
『どこにだ』
『これから顔出すから、柔道の先輩方に挨拶しないと』
肉厚182センチ90キロのオッサン顔。かたや身長155センチ43キロ、ショートヘアの美少女。梓が薫に腕を組んでくっついた。
大学1年生と中学2年生。
危険な匂いがするカップル。そして薫は大学入学から1か月でロリコンの称号を手に入れた。
高校時代、小学生の梓と手を繋いで、手にした称号。
大学生になって称号をリリースしたつもりだった。わずか1か月で戻って来た。
◆
その回想が薫の頭の中を巡っている。
12月20日、ふたりで勇太の墓参りに来て思い出した。
今になったら笑える。
梓は持ってきた花を供えるために準備している。
薫の腕を梓が取って歩いていると、以前はロリコンと思われるか、親子に間違えられた。
一度だけど職務質問も受けた。そのときは梓の方が警官に食ってかかりそうになって薫が押さえた。
それに比べれば、美女と野獣は高貴な響きに感じる。
「ははっ。勇太、梓って、本当に綺麗になった・・」
梓が戻ってきた。
「なにが綺麗になったって、カオルちゃん」
「お前だよ」
梓は少し照れた。そして口を開いた。
「カオルちゃんも格好よくなったよ」
「おい、ここで言うな。勇太が怒るぞ」
「ユウ兄ちゃんは喜んでくれるよ、きっと・・」
勇太がいない日常が少しずつ進んでいる。
5歳離れた梓が美少女なせいだ。
現在は薫が21歳。梓は3月生まれだから15歳だけど、年上に見える高校1年生。勇太のことなどもあって一気に大人びている。
182センチでダイエットして80キロ、西郷隆盛像に少し似た薫。
梓は身長が160センチになって48キロ。早くも大人の体つき。すでに薫を押し倒して大人の階段も昇った。
女子高生と付き合う大学生は多少なりともいる。それに梓が美しく、大人っぽくなった。
街、大学構内を歩くふたりは『美女と野獣』と言われる。
薫は、この呼ばれ方をいたく気に入っている。
薫が梓から最初にアタックされたとき、薫は中3で梓は小4。恋というものに興味を持った、親友の可愛い妹として接してきた。
だけど次の年から状況が変わった。
勇太が病気に倒れた。そのあと、梓が本気だと薫は知った。
9月の終わり頃。薫は勇太の両親に、勇太は高校を卒業するまで身体が持たないだろうと聞かされた。
夏休みの入院は治療ではなく検査だったことも知った。
梓も一緒に聞いた。
梓に勇太が元気な姿を少しでも多く見せておこうと薫は頑張った。頑張りすぎた。
高校の文化祭でもエスコートする形となった。
薫は身体が大きな高1。梓は可愛い小5。
クラスメイトの手助けで、弱々しくも喫茶室に参加した勇太のところにいったあと。
悲しくなった梓が廊下で薫に抱きついてた。
すでに2人のデートシーンのようなものも見られていた。口が悪い同級生が、ロリコンと薫に言い出した。
美少女・梓は意味も考えずに言った。『ロリコンじゃない。ちゃんとした彼女だよ』
梓は火にガソリンを注いだ。
地元の大学に薫が入った頃、梓はもっとも気持ちが不安定だった。
年齢の影響プラス勇太の病気のことが主な原因だ。見ていて辛くなった薫は言った。
『梓、苦しくなったら、いつでも俺のことに来い』
薫は火にジェット燃料を注いだ。
梓は本当に来た。家ではない。家には前から入り浸っていた。
中2な梓なりの決断だ。
勇太が梓のウエディングドレス姿を見るまでは、頑張ると言った。
何を頑張るというのか。
勇太の本当の状態は知らされた。
病気の発症から3年。いつも勇太は梓に、いつか元気になるから心配するなと笑っていた。
だから梓も気恥ずかしいなんて言っていられなかった。残された時間が分からない。
薫のことが変わらず好きだ。だったら、勇太のために色んなことを前倒ししようと思った。
薫が通う大学に、大きなバスケットを持った155センチの美少女が制服のままやってきた。
『あの、お姉さん、柔道場はどっちでしょうか』
『どうしたのお嬢さん。中学生かな? お兄さんに会いに来たの?』
『中2です。婚約者におやつを持って来ました』
ええと、声が上がった。
偶然に梓の前を薫が歩いていた。
『薫ちゃーん』
『へっ、梓?』
『ほら行くよ』
『どこにだ』
『これから顔出すから、柔道の先輩方に挨拶しないと』
肉厚182センチ90キロのオッサン顔。かたや身長155センチ43キロ、ショートヘアの美少女。梓が薫に腕を組んでくっついた。
大学1年生と中学2年生。
危険な匂いがするカップル。そして薫は大学入学から1か月でロリコンの称号を手に入れた。
高校時代、小学生の梓と手を繋いで、手にした称号。
大学生になって称号をリリースしたつもりだった。わずか1か月で戻って来た。
◆
その回想が薫の頭の中を巡っている。
12月20日、ふたりで勇太の墓参りに来て思い出した。
今になったら笑える。
梓は持ってきた花を供えるために準備している。
薫の腕を梓が取って歩いていると、以前はロリコンと思われるか、親子に間違えられた。
一度だけど職務質問も受けた。そのときは梓の方が警官に食ってかかりそうになって薫が押さえた。
それに比べれば、美女と野獣は高貴な響きに感じる。
「ははっ。勇太、梓って、本当に綺麗になった・・」
梓が戻ってきた。
「なにが綺麗になったって、カオルちゃん」
「お前だよ」
梓は少し照れた。そして口を開いた。
「カオルちゃんも格好よくなったよ」
「おい、ここで言うな。勇太が怒るぞ」
「ユウ兄ちゃんは喜んでくれるよ、きっと・・」
勇太がいない日常が少しずつ進んでいる。
45
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる