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252 嘉菜と初デートスタート
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1月5日になった。
今日の勇太は間門嘉菜との初デートだ。
リクエストは聞いた。
すると、みんなと同じ感じでと言われた。
彼女は『マカド』という大きな服飾企業の跡取り。
色んな地域に行って、接待する側でも、される側でもお高い料理を食べたりしている。そう言った。
高校も、勇太の前世からしたらお嬢様学校。修学旅行でイギリスに行ったそうだ。
豪華なものは求めていない。だけど、しっかり目立ちたいと言われた。
待ち合わせはパラレル駅の在来線改札口近く。嘉菜は勇太に午前10時ジャストに来て欲しいとお願いされた。
「勇太さ~ん、おはようございます」
「おはよ、嘉菜さん」
「お待たせしました」
ちらっと嘉菜が勇太の手元を見ると、定番の花一輪を持っていてくれた。
15分ほど前には勇太がいたから、注目されている。早くも防犯目的にスマホを構えている人がいたりする。
けれど年末からスキンシップを外でやったりしてるから、吉田真子との初デートのように、変なヘイトはない。
「あ、勇太君の1対1デートだ」
「今日はマカドの跡継ぎの人だ」
「マコソングの、マコちゃんの仲良しなんだよね」
「どこに行くんだろ」
嘉菜は緊張気味。真子や他の嫁ズから聞いてはいた。勇太は、女子と1対1デートができる珍しい男子だと。
けれど心地いい。
ルナには言われた。『余計なことは考えずに、わがままになって尽くされて下さい』
思い出して笑っている。
今までは最低でも真子と一緒に勇太と待ち合わせをした。
本当の単独は初めてだ。そして期待してる。
すると勇太は、みんなと同じことをやってくれた。
「はい嘉菜さん。花はいかがですか」
「ありがたく頂戴いたします」
「ははっ」
「ふふっ」
わあぁ、と女性の声。
すごく注目されてるけど、勇太と距離が縮まる前に梓、ルナ、カオルがやってもらっているのを嘉菜はネットで見ていた。
憧れていたシーンを自分も体験することができた。
そう、嘉菜が他の嫁ズと違いがあるとするなら、最初に歌から勇太を知ったこと。
日付も忘れはしない。名前しか知らなかった勇太が9月3日にゲリラライブをした。
そこに偶然居合わせて、魅了された。
最初はひとりのファンとして勇太を好きになった。なので、自分がリアルに勇太とデートをするとは思っていなかった。
だから特に梓とルナのお出掛けシーンを見ては、彼女達と自分を置き換えて、乙女チックなことを思い浮かべていた。
あくまでも妄想だった。
こんな日が来るとは思わなかった。ただの知り合いではなく、婚約者として会える。
早くも、目がうるうるしている。
「どうしたの嘉菜さん」
「ふふ、嬉しすぎて・・」
頬を赤くして涙ぐむ嘉菜が可愛くて、左目にキスしてしまった。
「・・ゆ、勇太さん」
「ほら、電車に乗って2駅移動しよう。あんまり時間ないよ。急ごう」
左目にキスされ注目倍増の中、力強く手を引かれて改札口を通った。
今日は勇太の家がある方向と反対側に向かう。
手を繋いで駆けて、在来線のホームに出た。もう電車の発車ベルが鳴っていた。
「あ、勇太さん、間に合わない」
「大丈夫、飛び込むよ」
勇太と嘉菜が走り込むと、電車のドアが閉まった。
「セーフ」
「はあっ、はあっ。よかった間に合いました。きゃっ」
電車が発車して、息が整わない嘉菜がよろけた。
「おっと」
すると勇太が、しっかり自分の方に嘉菜の腰を抱き寄せた。
「ご、ご、ごめんなさい」
「こっちもギリセーフ」
「あ、あの・・」
勇太は嘉菜と密着したまんま。
電車はまずまず混んでいて、ベンチシートに空きはない。
車輌に男子も勇太のみ。
そして勇太は、いきなりよろけた嘉菜の腰を抱いて立っている。
いいな~の声半分、なんじゃありゃ!の声半分。
「嘉菜さん、パラ東会館でやってるB級グルメの祭典に行こうと思ってるんだけど、いいかな」
「・・あ、・・は、はい」
嘉菜は勇太の言葉が頭に入ってこない。
花をもらって嬉しすぎた。
次の喜びに備えようとしたら、感極まっているところを目にキスされた。
早速、予想を上回った。
そして電車に一緒に飛び込んで転びそうになり、支えられた。妹に見せてもらった少女漫画のシチュエーションを体験した。
今、勇太に腰をしっかりホールドされている。電車が揺れるたび、勇太と密着してしまう。
こんなの予想だにしてなかった。
これが真子が言うところの、勇太の追加攻撃というやつかと思う。
デートが始まって、わずか10分。
早くもドキドキだ。
今日の勇太は間門嘉菜との初デートだ。
リクエストは聞いた。
すると、みんなと同じ感じでと言われた。
彼女は『マカド』という大きな服飾企業の跡取り。
色んな地域に行って、接待する側でも、される側でもお高い料理を食べたりしている。そう言った。
高校も、勇太の前世からしたらお嬢様学校。修学旅行でイギリスに行ったそうだ。
豪華なものは求めていない。だけど、しっかり目立ちたいと言われた。
待ち合わせはパラレル駅の在来線改札口近く。嘉菜は勇太に午前10時ジャストに来て欲しいとお願いされた。
「勇太さ~ん、おはようございます」
「おはよ、嘉菜さん」
「お待たせしました」
ちらっと嘉菜が勇太の手元を見ると、定番の花一輪を持っていてくれた。
15分ほど前には勇太がいたから、注目されている。早くも防犯目的にスマホを構えている人がいたりする。
けれど年末からスキンシップを外でやったりしてるから、吉田真子との初デートのように、変なヘイトはない。
「あ、勇太君の1対1デートだ」
「今日はマカドの跡継ぎの人だ」
「マコソングの、マコちゃんの仲良しなんだよね」
「どこに行くんだろ」
嘉菜は緊張気味。真子や他の嫁ズから聞いてはいた。勇太は、女子と1対1デートができる珍しい男子だと。
けれど心地いい。
ルナには言われた。『余計なことは考えずに、わがままになって尽くされて下さい』
思い出して笑っている。
今までは最低でも真子と一緒に勇太と待ち合わせをした。
本当の単独は初めてだ。そして期待してる。
すると勇太は、みんなと同じことをやってくれた。
「はい嘉菜さん。花はいかがですか」
「ありがたく頂戴いたします」
「ははっ」
「ふふっ」
わあぁ、と女性の声。
すごく注目されてるけど、勇太と距離が縮まる前に梓、ルナ、カオルがやってもらっているのを嘉菜はネットで見ていた。
憧れていたシーンを自分も体験することができた。
そう、嘉菜が他の嫁ズと違いがあるとするなら、最初に歌から勇太を知ったこと。
日付も忘れはしない。名前しか知らなかった勇太が9月3日にゲリラライブをした。
そこに偶然居合わせて、魅了された。
最初はひとりのファンとして勇太を好きになった。なので、自分がリアルに勇太とデートをするとは思っていなかった。
だから特に梓とルナのお出掛けシーンを見ては、彼女達と自分を置き換えて、乙女チックなことを思い浮かべていた。
あくまでも妄想だった。
こんな日が来るとは思わなかった。ただの知り合いではなく、婚約者として会える。
早くも、目がうるうるしている。
「どうしたの嘉菜さん」
「ふふ、嬉しすぎて・・」
頬を赤くして涙ぐむ嘉菜が可愛くて、左目にキスしてしまった。
「・・ゆ、勇太さん」
「ほら、電車に乗って2駅移動しよう。あんまり時間ないよ。急ごう」
左目にキスされ注目倍増の中、力強く手を引かれて改札口を通った。
今日は勇太の家がある方向と反対側に向かう。
手を繋いで駆けて、在来線のホームに出た。もう電車の発車ベルが鳴っていた。
「あ、勇太さん、間に合わない」
「大丈夫、飛び込むよ」
勇太と嘉菜が走り込むと、電車のドアが閉まった。
「セーフ」
「はあっ、はあっ。よかった間に合いました。きゃっ」
電車が発車して、息が整わない嘉菜がよろけた。
「おっと」
すると勇太が、しっかり自分の方に嘉菜の腰を抱き寄せた。
「ご、ご、ごめんなさい」
「こっちもギリセーフ」
「あ、あの・・」
勇太は嘉菜と密着したまんま。
電車はまずまず混んでいて、ベンチシートに空きはない。
車輌に男子も勇太のみ。
そして勇太は、いきなりよろけた嘉菜の腰を抱いて立っている。
いいな~の声半分、なんじゃありゃ!の声半分。
「嘉菜さん、パラ東会館でやってるB級グルメの祭典に行こうと思ってるんだけど、いいかな」
「・・あ、・・は、はい」
嘉菜は勇太の言葉が頭に入ってこない。
花をもらって嬉しすぎた。
次の喜びに備えようとしたら、感極まっているところを目にキスされた。
早速、予想を上回った。
そして電車に一緒に飛び込んで転びそうになり、支えられた。妹に見せてもらった少女漫画のシチュエーションを体験した。
今、勇太に腰をしっかりホールドされている。電車が揺れるたび、勇太と密着してしまう。
こんなの予想だにしてなかった。
これが真子が言うところの、勇太の追加攻撃というやつかと思う。
デートが始まって、わずか10分。
早くもドキドキだ。
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