271 / 320
271 歌の準備も進めよう
しおりを挟む
パラ高柔道部、冬の選手権・県予選の試合順も決まった。
部活後の勇太はリーフカフェに行って、1時間だけ接客の手伝い。
さっそく中学時代のクラスメイトが来てくれて、同窓会への参加歓迎と言ってくれた。
閉店後は梓、義母葉子と外食して別れた。
午後9時半。まだ家には帰らない。純子&麗子と合流して、柔道県予選のときに歌う歌の音合わせだ。
柔道連盟からの正式依頼も出ている。
今回は助っ人も来てくれる。風花が骨髄ドナーになったとき代役をやってくれたギタリスト中戸明日香さんだ。
純子は歌に関わってから多忙。出席日数ギリギリは覚悟している。進学もしないつもりだったが、特例で入れるところがあった。
風花と同じパラレル総合芸術大学。すでにパンの歌と、純子&風花で合計2枚のアルバムを出している。
プロで実績を作った人間の一芸獲得枠がある。
同じような制度が風花にも適用されることが分かった。デビューして大きな実績が作れたので、申請が通れば卒業させてもらえる。
スタジオに行って勇太は気づいた。
「そういや、純子のテーマソングだけ決めてなかった・・」
「ふふっ。最初のアルバムの『パンの歌』が私のテーマみたいなもんだね。全国の子供に受け入れられてるみたいよ」
「あ、そうか。子供中心に認知されてるし、今更他の歌はインパクトがないか・・」
「そういうこと。もう破格のプレゼントもらってんの」
「それじゃあ、麗子と純子の歌を考えてるんだ。それ聞いてよ」
「あ、それ大歓迎」
「実は間門嘉菜さんの提案。嘉菜さんと吉田真子委員長のふたりの歌が欲しいって言われて、ペアの曲も考えてるんだ」
嘉菜&真子、カオル&梓、そして純子&麗子。
「へえ~。ルナお姉ちゃんは勇太君とふたりの歌を希望」
「うん、考えてる」
「お姉ちゃん喜ぶよ」
「うん。それで純子と麗子にはこんなの」
♪♪♩♪♩₪♪
勇太がいきなり歌い出した。
純子と麗子が急接近した時のシチュエーションを勇太が考えると、前世のぱくり歌が浮かんだ。
題名もそのまま。『君が救ってくれたよね』
本当は男女のデュオで歌った曲。男子の方が女子に救われ、女子が苦しいときに男子が献身的に寄り添ったという内容。
孤立しかけた純子を麗子が助けた。そしてその次は、純子が病気で苦しんでいた麗子のハル母さんの手術代を出した。
ちょうど2人のイメージに合う曲をパクッた。
「あのとき君の♩♪♪♪♩」
またも新しい曲を勇太が作った。パクリ一本だけど、勇太の前世で売れていた曲。粗削りに見えて中身が濃い。
純子、風花、中戸明日香の3人は拍手した。
特に助っ人ギタリストの明日香は、すごい瞬間に立ち会ったと思った。
風花はドナーになって1か月。色々と不安もあるために、正式には6度呼ばれた。
けれど明日香自身も、純粋に純子&風花に関わり出した。パラ横商店街で麗子と純子の伴奏もしている。ギャラのあるなしは関係ない。
ここで勇太に勉強させてもらうことが一番だと思った。
シンガーソングライター志望だけど、ネットに上げて反響が大きかった曲はない。
ここで学んで、いい曲を作ろうと思っている。
勇太に才能があると勘違いしてるから・・
一時は風花に取って代わることをもくろんだ。
しかし風花、勇太、純子の絆の強さを目の当たりにして気持ちを変えた。
だけど勇太の歌には惚れた。邪念を捨て、貴重で響く男子作詞作曲の歌に触れるため、何度か助っ人をしている。
純子&風花だけのイベントも無償で手伝っている。
今回は柔道連盟会長・鬼塚一子の配慮で、純子のサイドギターとして正式依頼をもらった。
願ったりだ。ふたつ返事で受けた。
1時間半ほど、練習をした。そこで勇太は気付いた。
クリスマスの時の明日香のギターは主役の音色だった。
だけど今日は、あくまでも風花のサポートに徹してくれている。ユニット全体に深みが出るように配慮してくれたのが分かった。
だから勇太は、今日は今までで一番に歌いやすかった。これは風花には内緒だ。
明日香は、勇太の歌が前世の異世界産なんて思わない。
だから、プロを目指す人間として勇太に学びたいと思って足を運んでいる。
クリスマスの頃はモテ男、そして売れる曲に対して下心があった。性欲もあった。
だけど、この2週間で純粋に学びたいと考えるようになった。
勇太の明日香への好感度は上がっている。柔道と音楽、ベクトルは違うが柔道に賭けているカオルと似た匂いがする。
「中戸さん、今回もありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ。こんな場には、お金払ってでも来たい同業者ばかりですよ」
「あ、そうだ。年が明けたら食事に行こうって約束だったのに、まだでしたね」
「それは気にしないで下さい。勇太君も忙しそうだから」
確かに、かなりスケジュールが詰まっている。
「じゃあ、すごく世話になってるから、何かプレゼントしようかな」
「うーん。それなら曲がいいですね。あはははは」
冗談だ。軽い感じでみんなに笑ってもらおうと、明日香は言ってみた。
あくまで冗談なのに・・。
「あ、それいいですね」。勇太が軽く言った。
明日香は驚いた。純子と風花も驚いた。
部活後の勇太はリーフカフェに行って、1時間だけ接客の手伝い。
さっそく中学時代のクラスメイトが来てくれて、同窓会への参加歓迎と言ってくれた。
閉店後は梓、義母葉子と外食して別れた。
午後9時半。まだ家には帰らない。純子&麗子と合流して、柔道県予選のときに歌う歌の音合わせだ。
柔道連盟からの正式依頼も出ている。
今回は助っ人も来てくれる。風花が骨髄ドナーになったとき代役をやってくれたギタリスト中戸明日香さんだ。
純子は歌に関わってから多忙。出席日数ギリギリは覚悟している。進学もしないつもりだったが、特例で入れるところがあった。
風花と同じパラレル総合芸術大学。すでにパンの歌と、純子&風花で合計2枚のアルバムを出している。
プロで実績を作った人間の一芸獲得枠がある。
同じような制度が風花にも適用されることが分かった。デビューして大きな実績が作れたので、申請が通れば卒業させてもらえる。
スタジオに行って勇太は気づいた。
「そういや、純子のテーマソングだけ決めてなかった・・」
「ふふっ。最初のアルバムの『パンの歌』が私のテーマみたいなもんだね。全国の子供に受け入れられてるみたいよ」
「あ、そうか。子供中心に認知されてるし、今更他の歌はインパクトがないか・・」
「そういうこと。もう破格のプレゼントもらってんの」
「それじゃあ、麗子と純子の歌を考えてるんだ。それ聞いてよ」
「あ、それ大歓迎」
「実は間門嘉菜さんの提案。嘉菜さんと吉田真子委員長のふたりの歌が欲しいって言われて、ペアの曲も考えてるんだ」
嘉菜&真子、カオル&梓、そして純子&麗子。
「へえ~。ルナお姉ちゃんは勇太君とふたりの歌を希望」
「うん、考えてる」
「お姉ちゃん喜ぶよ」
「うん。それで純子と麗子にはこんなの」
♪♪♩♪♩₪♪
勇太がいきなり歌い出した。
純子と麗子が急接近した時のシチュエーションを勇太が考えると、前世のぱくり歌が浮かんだ。
題名もそのまま。『君が救ってくれたよね』
本当は男女のデュオで歌った曲。男子の方が女子に救われ、女子が苦しいときに男子が献身的に寄り添ったという内容。
孤立しかけた純子を麗子が助けた。そしてその次は、純子が病気で苦しんでいた麗子のハル母さんの手術代を出した。
ちょうど2人のイメージに合う曲をパクッた。
「あのとき君の♩♪♪♪♩」
またも新しい曲を勇太が作った。パクリ一本だけど、勇太の前世で売れていた曲。粗削りに見えて中身が濃い。
純子、風花、中戸明日香の3人は拍手した。
特に助っ人ギタリストの明日香は、すごい瞬間に立ち会ったと思った。
風花はドナーになって1か月。色々と不安もあるために、正式には6度呼ばれた。
けれど明日香自身も、純粋に純子&風花に関わり出した。パラ横商店街で麗子と純子の伴奏もしている。ギャラのあるなしは関係ない。
ここで勇太に勉強させてもらうことが一番だと思った。
シンガーソングライター志望だけど、ネットに上げて反響が大きかった曲はない。
ここで学んで、いい曲を作ろうと思っている。
勇太に才能があると勘違いしてるから・・
一時は風花に取って代わることをもくろんだ。
しかし風花、勇太、純子の絆の強さを目の当たりにして気持ちを変えた。
だけど勇太の歌には惚れた。邪念を捨て、貴重で響く男子作詞作曲の歌に触れるため、何度か助っ人をしている。
純子&風花だけのイベントも無償で手伝っている。
今回は柔道連盟会長・鬼塚一子の配慮で、純子のサイドギターとして正式依頼をもらった。
願ったりだ。ふたつ返事で受けた。
1時間半ほど、練習をした。そこで勇太は気付いた。
クリスマスの時の明日香のギターは主役の音色だった。
だけど今日は、あくまでも風花のサポートに徹してくれている。ユニット全体に深みが出るように配慮してくれたのが分かった。
だから勇太は、今日は今までで一番に歌いやすかった。これは風花には内緒だ。
明日香は、勇太の歌が前世の異世界産なんて思わない。
だから、プロを目指す人間として勇太に学びたいと思って足を運んでいる。
クリスマスの頃はモテ男、そして売れる曲に対して下心があった。性欲もあった。
だけど、この2週間で純粋に学びたいと考えるようになった。
勇太の明日香への好感度は上がっている。柔道と音楽、ベクトルは違うが柔道に賭けているカオルと似た匂いがする。
「中戸さん、今回もありがとうございます」
「いえいえ、こちらこそ。こんな場には、お金払ってでも来たい同業者ばかりですよ」
「あ、そうだ。年が明けたら食事に行こうって約束だったのに、まだでしたね」
「それは気にしないで下さい。勇太君も忙しそうだから」
確かに、かなりスケジュールが詰まっている。
「じゃあ、すごく世話になってるから、何かプレゼントしようかな」
「うーん。それなら曲がいいですね。あはははは」
冗談だ。軽い感じでみんなに笑ってもらおうと、明日香は言ってみた。
あくまで冗談なのに・・。
「あ、それいいですね」。勇太が軽く言った。
明日香は驚いた。純子と風花も驚いた。
41
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる