モブ顔の俺が男女比１対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

とみっしぇる

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288 伊集院君の暴走で歓喜の渦が巻き起こる

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冬の柔道選手権初日の夜。

３回戦敗退のパラ高は伊集院君の招待で打ち上げをした。

なぜか勝ち上がった茶薔薇学園のみんなも来た。

「伊集院君、ホントに楽しい。ありがとう！」

満面の笑顔の勇太を見た伊集院君は、自分ではマックスと思っていたテンションに、なおさら拍車がかかった。

貸しきりにしているスペイン料理店の厨房に走った。

そして魚介類を使ってパエリアを作ってくれた。

女の子達は興奮しまくり。

料理の画像をまず、許可を取ってネットに流しまくった。

伊集院君の歌、料理は高１までは婚約者とその家族にしか振る舞われないのは、意外に知られていた。

勇太と友達になって、まず歌を披露。今日はとうとう料理まで、婚約者ではない女の子に振る舞われた。

「どうだい勇太君」
「・・うまっ。これ、お世辞抜きに激ウマ」

やはり完璧超人伊集院君は、料理もハイレベル。

この世界の、男子メシは不味いという常識など関係ない。

追加で伊集院メシが出来上がっていく。種類も山のようにある。女の子達が、我先にとお皿に料理を捕っていく。

「なんで、こんなに美味しいんだろう」
「ホント、こんなの食べたことない」
パラ高、茶薔薇の１年生が頬を赤くして感想を言っている。

「それは、勇太君への愛と友情が詰まっているからさ」

キラリと伊集院君の歯が光った。そして勇太の肩に手を置いた。

本人は純粋な友情をアピールしただけ。

けれど勢い余って『愛』も付け加えてしまった。

一瞬の間が空き、きゃ～、きゃ～と黄色い声が上がった。

パラ高柔道部と茶薔薇柔道部の『隠れ腐女子』が、速やかに腐った女子仲間に映像を流した。

次の夏のマクハラメッセては、貴腐男子モノの作品が並ぶことになる。

そして店の隅では、マイペースなふたりがいる。

「おいしい・・俺、こんな料理作れないな」
「ふふ。伊集院さんに対抗心を燃やさなくていいよ、ゲンジ君」

「うん。俺、メイちゃんの唐揚げも好きだよ」
「ありがと・・」

伊集院君が作ってくれたスペイン料理をお互いにあ～ん、するメイ&ゲンジ。

ふたりは付き合っていない。

店内には音楽が流れている。カスタネットが鳴ったり、アップテンポの曲だ。

「この世界にも、フラメンコってあるのかな？」

勇太の呟きを伊集院君は聞き逃さなかった。

政略婚約者・南条華子の手を取って、フラメンコを踊り始めた。

こちらの世界にも、勇太前世と類似したフラメンコがある。

放浪の民・ジプシーの躍りが起源と言われる。男子減少が始まった西暦１６００年頃には躍りの骨格が出来上がっていた。

男女のパートはあるが、フラメンコの踊り手はやはり女子ばかり。

男性パート、女性パートの専門家がプロとして活動している。

妖艶で激しく、そして見つめ合う伊集院君と政略婚約者。

親が決め、本人の意志が関係ない縁なのに、そんなものを感じさせないほど愛情を感じる。

「光輝さん・・楽しい」
「ふふ、華子さんに喜んでもらえて、僕も嬉しいよ」

そしてパラ高婚約者３人もリードして、次々と踊った。

この辺りが、伊集院君だ。連れてきた婚約者はみんな幸せそうだ。

勇太とゲンジも挑戦したが、基本ステップさえ知らないから無茶苦茶。

女の子達と適当な振り付けで踊りまくった。

最後は勇太もゲンジ闘牛の真似をして、女の子の間で跳ね回った。

勇太は何人かの女子をリフトしたり大サービスだ。

女の子達は、希少な男子と手を取って踊るという貴重な体験ができて満足そうだった。

「ありがとう伊集院君」

「こちらこそ。また遊ぼうね」

夜８時。お開きの時間が来た。

今日の伊集院君の友情パワーは、それなりに正常な方向に向いたようだ。

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