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293 冬の柔道選手権・県予選の決勝戦②
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冬の選手権、県予選の決勝戦、
茶薔薇学園の先鋒は山田ツバキ。
相手も同じ60キロの級で過去の対戦成績は7勝1敗でツバキ部長の圧倒的有利。
開始1分でツバキ部長が内股を仕掛けようとしたが・・
「うがあ。勝って勇太君にハグしてもらうんだあ!」
試合前の勇太の呼び出しでやる気倍増の敵校先鋒が、異様な力でツバキの内股をこらえた。
どんっと、ふたりして横に倒れた。
「な、なに、勇太君のブーストが相手にかかってる?」
意外に一発勝負は、それなりの実力が伴っていればメンタルで乗り越えられたりする。
モテ男勇太が、満員の観客の前で決勝戦の両校のエントリー選手を呼び上げた。
勇太慣れした茶薔薇側は平常心に近かったが、相手校からすると愛情こもった激励にしかとらえていない。
全員が試合前、嬉しくて跳び跳ねた。
勇太自身は茶薔薇側なのに、敵に『バーサクの呪文』をかけてしまった。
これを見ていた連盟会長の鬼塚一子は「世界柔道で勇太君にやらせたら、外国人がやる気になるな・・。なんか考えよ」
ある意味、リアルタイムで被害を受けている茶薔薇柔道部に悪いという気持ちは、まったく持っていない。
さて試合。
ツバキ部長も多彩な技を繰り出したけど、相手が強引に潰しにくる。
開始4分半。
「うりゃああ!」
「おっと」
突っ込んできた相手の足を払っても強引に相手に踏ん張られてしまう。
引き分けに終わった。
「すまん、みんな」
「ドンマイ、ツバキ。なんか相手の動きもキレキレだったし、仕方ないぞ」
しかし茶薔薇柔道部は、次鋒戦、中堅戦で引き分けに持ち込まれた。
残りは副将戦と大将戦。
副将カオル、大将ハラダ。カオルまで引き分けに持ち込まれたり、敗けたりしたら厳しくなる。
「ごめん、頼んだよカオル」
「おう、任せとけ」
勇太と目が合った。今の勇太は何故か仕事として柔道連盟の役員席に座っている。そういうものをわきまえる勇太は、決勝戦が始まってからひと言も発していない。
けれどアイコンタクトで頑張れと言ってくれている。
ぼそっ。「アタイの勇太ブーストは半年間ずっとかかってんだ。にわか女子には負けねえよ」
「始め!」
相手副将は、カオルをよく知っている。
速攻も得意なカオルだけれど、本領は組み手を整えてから。
相手の動きを封じて投げに行く。だから同年代では敵なしなのだ。
「そんでも勇太君に褒めえてもらうんだー」
「甘めえよ。それを目的にしちゃ、勇太は喜ばねえ」
「え?」
「勇太に喜んでもらうにはな、ただ、全力を出しゃいいんだよ!」
突っ込んできた相手の足を軽く払って牽制。態勢を入れ替えて、払い腰に持っていった。
パーンと小気味いい音が武道館に響いて、カオルの1本がコールされた。
「負けた・・。やっぱり、本物の愛とセッ●スを知ってる人には勝てないのね」
「あ、いや、そういうことじゃ・・」
困るカオルである。
カオルが変えた流れは大将ハラダヨシノにも引き継がれた。
「ありがとうカオル。これで私も普通に試合できるわ」
カオルよりも大きな身体を縮めて、カオルとタッチするハラダだ。
「あ、勇太君、頑張りま~す」
勇太に手を振って大将戦に挑むハラダは二重人格。
「始め」
「うらあああーー! きやがれコノヤロー!」
見事な修羅モードから1本勝ちを収めた。
そして言動注意を受けた。
結構近くで見た勇太は、呆気に取られている。
そして変なことを考えた。
「パラレルハラダさんって、俺の前世人物がふたり融合してできた訳じゃないよな・・」
久しぶりに女神様のイタズラを疑った。
茶薔薇学園の先鋒は山田ツバキ。
相手も同じ60キロの級で過去の対戦成績は7勝1敗でツバキ部長の圧倒的有利。
開始1分でツバキ部長が内股を仕掛けようとしたが・・
「うがあ。勝って勇太君にハグしてもらうんだあ!」
試合前の勇太の呼び出しでやる気倍増の敵校先鋒が、異様な力でツバキの内股をこらえた。
どんっと、ふたりして横に倒れた。
「な、なに、勇太君のブーストが相手にかかってる?」
意外に一発勝負は、それなりの実力が伴っていればメンタルで乗り越えられたりする。
モテ男勇太が、満員の観客の前で決勝戦の両校のエントリー選手を呼び上げた。
勇太慣れした茶薔薇側は平常心に近かったが、相手校からすると愛情こもった激励にしかとらえていない。
全員が試合前、嬉しくて跳び跳ねた。
勇太自身は茶薔薇側なのに、敵に『バーサクの呪文』をかけてしまった。
これを見ていた連盟会長の鬼塚一子は「世界柔道で勇太君にやらせたら、外国人がやる気になるな・・。なんか考えよ」
ある意味、リアルタイムで被害を受けている茶薔薇柔道部に悪いという気持ちは、まったく持っていない。
さて試合。
ツバキ部長も多彩な技を繰り出したけど、相手が強引に潰しにくる。
開始4分半。
「うりゃああ!」
「おっと」
突っ込んできた相手の足を払っても強引に相手に踏ん張られてしまう。
引き分けに終わった。
「すまん、みんな」
「ドンマイ、ツバキ。なんか相手の動きもキレキレだったし、仕方ないぞ」
しかし茶薔薇柔道部は、次鋒戦、中堅戦で引き分けに持ち込まれた。
残りは副将戦と大将戦。
副将カオル、大将ハラダ。カオルまで引き分けに持ち込まれたり、敗けたりしたら厳しくなる。
「ごめん、頼んだよカオル」
「おう、任せとけ」
勇太と目が合った。今の勇太は何故か仕事として柔道連盟の役員席に座っている。そういうものをわきまえる勇太は、決勝戦が始まってからひと言も発していない。
けれどアイコンタクトで頑張れと言ってくれている。
ぼそっ。「アタイの勇太ブーストは半年間ずっとかかってんだ。にわか女子には負けねえよ」
「始め!」
相手副将は、カオルをよく知っている。
速攻も得意なカオルだけれど、本領は組み手を整えてから。
相手の動きを封じて投げに行く。だから同年代では敵なしなのだ。
「そんでも勇太君に褒めえてもらうんだー」
「甘めえよ。それを目的にしちゃ、勇太は喜ばねえ」
「え?」
「勇太に喜んでもらうにはな、ただ、全力を出しゃいいんだよ!」
突っ込んできた相手の足を軽く払って牽制。態勢を入れ替えて、払い腰に持っていった。
パーンと小気味いい音が武道館に響いて、カオルの1本がコールされた。
「負けた・・。やっぱり、本物の愛とセッ●スを知ってる人には勝てないのね」
「あ、いや、そういうことじゃ・・」
困るカオルである。
カオルが変えた流れは大将ハラダヨシノにも引き継がれた。
「ありがとうカオル。これで私も普通に試合できるわ」
カオルよりも大きな身体を縮めて、カオルとタッチするハラダだ。
「あ、勇太君、頑張りま~す」
勇太に手を振って大将戦に挑むハラダは二重人格。
「始め」
「うらあああーー! きやがれコノヤロー!」
見事な修羅モードから1本勝ちを収めた。
そして言動注意を受けた。
結構近くで見た勇太は、呆気に取られている。
そして変なことを考えた。
「パラレルハラダさんって、俺の前世人物がふたり融合してできた訳じゃないよな・・」
久しぶりに女神様のイタズラを疑った。
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