モブ顔の俺が男女比１対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

297 大航海時代は、一度終わった

この世界、男女比１対12。

それを引き起こした疫病は１６００年から蔓延。ヨーロッパ諸国、オスマン帝国、アジアで一気に広がった。

アフリカは記録が発達してなくて不明。日本は少し遅れて男子現象が起こった。

さて、その時点で影響を受けていないのはアメリカ大陸。

大航海時代は始まっていたけど、船を動かす男子が多く死亡。残った男子は貴重な存在。ヨーロッパ列強による香辛料を求めた強気な貿易は始まっていたけどけれど、計画が狂った。

列強の東インド会社の設立が１６０３年。男子がばたばたと倒れていったのと同時期。

要になる大型船が動かせない。

女子主導に変わったヨーロッパ諸国では国内の建て直しで大忙し。１度は大航海時代が終わった。

しかし、ヨーロッパの人々は胡椒を使った料理の旨さを知ってしまっていた。

１６８３年に再び大航海時代が始まった。なのでこちらの世界『第１次大航海時代』『第２次大航海時代』と別れる。

第１次は男子の最後の歴史、第２次は女子の新たな世界進出の始まり。

ここでヨーロッパの主要各国で話されたのはアメリカの扱い。すでに発見されていたアメリカ大陸。

最初に話し合いが持たれたのは１６３３年。紆余曲折の末に、１７００年までは渡米しないということで取り決めた。

すでに人種は関係なく、男子が貴重という考えが一般的だった。

そう、大西洋を渡れるほどの船はあっても船乗りがいなくなった。

お陰で、その時点でアメリカ大陸、オーストラリア大陸などは男女比１対１のままだったのだ。

それは維持しようという考えは自然の摂理。

男女比１対12のヨーロッパ。アメリカ大陸には男子がわんさかいるという、噂とともに期待が膨らんでいた。

１７００年、イギリスの男子と縁がなかった女子中心に編成された船団がパラレルマンハッタン島に到着した。

命懸けで渡航したのは、全員が女子だ。

すでに男子は少ししか生まれないけど、例の疫病で亡くなる人はいなくなっていた。

なので国もアメリカ進出を推進した。

気がいいインディアン男子に歓迎された女子は舞い上がった。

資産を母国からガンガン注ぎ込み、アメリカ東海岸からガンガンと発達させた。

すでに女子が働くのが当たり前の国イギリスから来た女の子。垢抜けて技術と資産も持っているのに、原住のインディアン男子を大事にする。

そりゃ、インディアン男子もいい気分。懸念されてい疫病も発生せず、どんどん子作りが行われた。

そして、勇太の前世では少数派だったインディアン系アメリカ人が、アメリカの国を牽引していくことになる。

ただ、遺伝子学が発達していなかった時代。

現代なら当たり前のことを考えていなかった。いや、先進的な医学者は警鐘を鳴らしたけれど、アメリカ大陸の男子に希望を抱く女子にシカトされた。

疫病は世界的に終息した。けれど、１００年経過しても男女の出生率が１対12。１対１に戻らない。

ここで、すでにおかしい。

遺伝子ゲノムが男女比を狂わす情報に書き換えられていると、現代の化学者なら考える。

けれど当時の学術レベルでは、証明できなかった。証拠がないから、人々は希望的観測で動いてしまった。

１７０６年には、狩猟で鍛えたインディアン男子ジェロがイギリス初上陸。

すでにイギリスでは見かけない逞しい男子。横にはイギリス社交界で有名だったブス、デブの令嬢。

そして令嬢は小さな男の子に胸に抱き、インディアン男子がブス令嬢の肩を抱いて頬にキスした。

最初のアメリカンドリームといわれる事件だった。

貴族を中心とした社交界に激震が走った。

イギリスにもっと男子を呼びたい。

さすがに希少な男子の大人数にリスクが伴う大西洋横断はさせられない。それも常識になっていた。

だからモテない女子は命懸けで渡米した。

インディアン男子とイギリス女性の間に最初に生まれた子供は男の子。

混血第一世代は、なんと男女比１対２。

報告を聞いたイギリス当局は沸いた。

イギリス人が北米全体に、インディアン男子を大陸を駆け巡った。

希望の時代は30年続いた。