モブ顔の俺が男女比１対12のパラレルワールドに転生。またも同じ女の子を好きになりました

298 パラレルアメリカの一部の歴史

１７００年からイギリスで始まった、アメリカ大陸の男子獲得政策。

最初にイギリスにインディアン男性を連れ帰った女性は、男子を生んでいた。すでにヨーロッパではあり得ない一夫一妻の夫婦となっていた。

ヨーロッパは沸いた。

ポルトガルとスペインのモテない女性達は命がけの航海の末に南米に進出した。

自給自足の暮らしをする人達に、多くの物資を持ってきてくれるヨーロッパ人女性は救世主に見てた。

逆にスペイン、ポルトガルのモテない女性は、その程度の援助で情熱的な男子が歓迎してくれることに驚いた。

アマゾン川流域は、ヨーロッパで男日照りだった女性達に『エルドラド』だった。

ここでも、ベビーラッシュが起こった。やはり第一世代は、イギリス人女性が子供を作りまくった北米と同じく男女比１対２。

出生率の男女比１対12が当たり前となっていたヨーロッパ人からしたら、驚異の数字だ。

しかし、遺伝子に組み込まれた『男女比１対12因子』は、代を重ねるごとに顔を出していった。

なぜ、ヨーロッパで疫病が終息して１００年後も生まれる子供の男女比が１対12なのか。感覚的に分かっていった。

１００年後、西暦１８００年を過ぎると、男子が生まれにくくなった。

やはり、結局は男女比１対12に落ち着いた。

時代が進み、アメリカの例から、疫病にさらされた人間から生まれた子供は男女比１対12因子を持ってると推測された。

その因子を抑えることで、男子が生まれやすくなると思うのは当たり前のこと。

しかし、特定はいまだにできていない。

男女比を狂わせた疫病が20世紀に起こっていれば、難を逃れた地域から遺伝子サンプルが取れる。

それらの比較から、一気に研究が進む。

しかし１７００年以降、世界中を女子が男子を探して駆け巡った。

純然たる男女比１対１の遺伝子サンプルは残っていない。

勇太も、そこでは役に立たない。身体自体はパラレル勇太のものを使っている。


勇太の世界と違うのは、人種差別が少ないこと。

男子流出を防ぐ方策を、近代になっても各国がやっていた。

大国アメリカがインディアン系主流。そして各国も、近隣諸国から見れば人種が特徴的。

人口維持のために、陸続きの国だけは男子の交流を図る。

できるだけ多様な因子を広げるために、近代になって始まった方策もある。

みなさんが知っている通りに『セックス留学』という国主導の子作り親善隊も存在する。

男女比偏り世界で怖いことのひとつは、知らないうちに近親婚が重なり、人が弱くなっていくこと。

ただそれは近代的な考え。

『子種的な鎖国』の国が多かったから、人種のるつぼ、などで表現される国はパラレル世界にはない。

勇太には分からないが、ルナでも大国と人種の分別はできる。

嫁ズの中では、『マカド』の跡継ぎである間門嘉菜が詳しい。海外進出もしているし、取引先にも外国人は多い。

◆◆◆
人気歌手、ABガールズのふたりはひとまず退散した。

ただ、明日のコンサートのリハ前に勇太のところに現れたから、話題になった。

そしてルナが再び脚光を浴びている。

簡単に言えば感覚が麻痺した効果。

勇太という刺激物に触れてきて８か月。徐々に慣れてきたから、普通の女の子には毒物にもなりかねない勇太の魅力にも耐えられる。

そこに伊集院君もいたりするし、周りが強烈。

今日は大人気のアメリカンシンガーと、片言ながら普通に英語で話していた。

ルナがいればブレない勇太と同じく、ルナも勇太が横にいれば他人は気にならない。

ルナのテーマソングをABシスターズが、今年中にカバーしていいかと聞いてきた。

「ダメですよ。あれは、私が勇太にもらった宝物です。今のところ、純子&風花にしか歌って欲しくありません」

きっぱりと断った。

それで逆に、ABシスターズに、むっちゃ握手されていた。

それがネットに流れた。

やはり反発的な意見もあるが、『ルナちゃん、格好いい』の声が多く寄せられた。